キャットフードの成分:オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸とは
オメガ3(n-3脂肪酸)は、脂質を構成する脂肪酸のひとつで、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、α-リノレン酸などがあります。オメガ3は炎症を抑える働きがあり、炎症を促すオメガ6脂肪酸とバランスよく摂取することで、猫の健康な皮膚や被毛を維持します。
キャットフードの大部分を占める肉類など、様々な食材に多く含まれるオメガ6は不足することはまずありませんが、オメガ3は不足しがちなので食材からの摂取が重要です。
オメガ3は、脂肪分の多い魚介類(魚油、サバ、サンマ、イワシ、サーモン、オキアミ、緑イ貝)や、植物油(亜麻仁油、エゴマ油)などに多く含まれますので、キャットフードではこれらの食材がオメガ3供給源として利用されています。
オメガ3脂肪酸の働きと作用
抗炎症作用(皮膚・被毛・爪・関節・腸)
オメガ3脂肪酸には、炎症を緩和する抗炎症作用・組織を守る組織保護作用があります。
猫の炎症部位の痛みを緩和したり、健康な皮膚や毛並みの維持、関節炎や炎症性腸炎、アレルギー性皮膚炎への効果も研究されています。
血圧・血流の改善、動脈硬化や心筋梗塞の予防
また、オメガ3には血液中の中性脂肪や血糖値を低下させる働きがあります。
猫の血液をさらさらにし、血流や血圧の改善することで、動脈硬化や心筋梗塞、血栓の予防への効果が期待されています。
学習能力や運動機能の向上、認知症予防
オメガ3の中でDHAは非常に小さく猫の脳神経まで入り込んで、脳を活性化させる働きがあります。
脳の神経機能を高めることで、学習能力や記憶力、運動機能の向上を促し、高齢猫では認知症予防への効果も報告されています。
キャットフードのオメガ3脂肪酸の必要量
画像引用元:2016 AAFCO Midyear Meeting Committee Reports
- alpha-Linolenic acid(αリノレン酸) 0.02%(幼猫)
- Eicosapentaenoic + Docosahexaenoic acid(EPA・DHA) 0.012%(幼猫)
ペットフード公正取引協議会が採用するAAFCOのガイドラインでは、ドライタイプのキャットフードのオメガ3脂肪酸の最低基準は、幼齢・成長期猫でαリノレン酸が0.02%以上、EPA・DHAの合計量が0.012%以上と定められています。ただ幼齢猫用のみで、成猫用フードではデータがなく、基準は示されていません。
オメガ3脂肪酸の欠乏/過剰摂取
欠乏
- 皮膚の炎症、かさつき
- 被毛に艶がなくパサパサになる
- 睡眠が浅い
- 記憶力や学習能力の低下
- 関節痛の悪化
過剰摂取
- 黄色脂肪症(イエローファット)
- 肥満の悪化
- 不整脈を増やす可能性
まとめ
- オメガ3は炎症を抑える働きがる不飽和脂肪酸
- 皮膚被毛の健康維持や学習能力、関節の健康、アレルギーへの効果