キャットフードの原材料:えごま油(perilla oil)
α-リノレン酸が豊富に含まれている
最近ではキャットフードの成分としても注目されているえごま油。えごま油はシソ科の植物「えごま」から抽出される植物油です。
体内で生成できない必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸を豊富に含み、とくにα-リノレン酸は全食材の中でトップの含有量を誇ります。α-リノレン酸は体内でEPAやDHAに変換され、抗炎症作用や免疫機能の向上、血行促進などさまざまな健康効果が期待される成分です。
えごま油はこんな猫におすすめ
えごま油はキャットフードやおやつなどに原材料として配合されるだけでなく、ペット用えごま油も販売されています。
えごま油が配合されたキャットフードやおやつは、皮膚の健康維持や被毛のツヤをサポートする目的とするものが多くみられます。パッケージには「EPA・DHA配合」「EPA・DHA源」「オメガリッチ」などと記載されているものもあり、メーカーによって表記が異なります。
えごま油は下記のような悩みを持つ猫におすすめです。
- 皮膚の乾燥や痒み、フケなどの皮膚トラブルを抱える猫
- 血流が滞りぎみの肥満猫
- 関節炎や循環器の健康が気になる高齢猫
- アレルギー体質の猫
えごま油の成分と健康効果
えごま油の栄養素(100gあたり) | |||
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エネルギー | 897 | kcal | |
ビタミンE | α-トコフェロール | 2.4 | mg |
β-トコフェロール | 0.6 | mg | |
γ-トコフェロール | 59.0 | mg | |
δ-トコフェロール | 4.6 | mg | |
不飽和脂肪酸 | α-リノレン酸 | 58000 | mg |
植物性油脂のα-リノレン酸含有量 | 100gあたり/mg |
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えごま油 | 58000 |
あまに油 | 57000 |
菜種油 | 7500 |
大豆油 | 6100 |
とうもろこし油 | 760 |
オリーブオイル | 600 |
※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
α-リノレン酸は全食材の中でトップの含有量
なんと、えごま油に含まれるα-リノレン酸は全食材の中でトップの含有量です。
α-リノレン酸は体内でEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)に変換されます。α-リノレン酸やEPA、DHAなどの不飽和脂肪酸は体内で生成することができないため、食事からの摂取が必要となります。
EPAやDHAは体内でさまざまな健康効果を発揮します。
- 抗炎症作用:関節炎などの炎症性の症状を軽減する
- 被毛や皮膚の健康維持:皮膚の乾燥や痒み、フケなどの皮膚トラブルの改善
- 血液をサラサラにする:心血管系の健康をサポート
- 認知症の予防:DHAは脳に多く存在するため認知機能低下を予防
- 免疫力の向上:免疫細胞の機能に関わり、感染症や病気を予防
ビタミンEの抗酸化作用
えごま油はビタミンEが豊富に含まれていることも特徴です。ビタミンEは強い抗酸化作用を持ちます。体内の活性酵素を除去したり酸化ストレスから細胞を守る働きにより、老化の予防に期待できます。
とくにキャットフードにおいて、酸化は気になる点の一つです。
脂質の多いキャットフードは熱や空気に触れることで酸化しやすい傾向にあります。しかしえごま油は強い抗酸化作用のビタミンEが豊富に含まれているので、他の油脂と比べると酸化しにくいという特徴があり、酸化防止剤などの添加物の使用を抑えることができます。
将来的に総合栄養食基準が設定される可能性がある
αリノレン酸のEPAへの変換率は低いため、αリノレン酸の必要性はEPA・DHAに比べると低いと言われることが多い。しかし、αリノレン酸も皮膚以外の組織ではEPA・DHAに変換されており、イヌ・ネコにおいて免疫応答や脂肪酸代謝の変化、炎症反応の調整が確認されている事から、今後注目される可能性の高い栄養素の一つであり、将来的には成犬・成猫維持期における総合栄養食基準も設定される可能性がある。
えごま油は現在それほど主流な原材料ではありませんが、その高い栄養価や健康効果から、将来的に成犬や成猫維持期における総合栄養食基準が設定される可能性があるとされています。
まとめ
- えごま油は全食材でα-リノレン酸がトップの含有量
- α-リノレン酸は体内でEPAやDHAに変換される
- ビタミンEは強い抗酸化作用を持つ