キャットフードを選ぶとき、多くの飼い主が注目するのは原材料や成分表です。しかし実は、それらと同じくらい重要なのが製造方法。
そんな中でも今回は、素材をオーブンでじっくりと焼き上げる「ベイクド製法」について、ほかの製造方法と比べてどんな違いがあるのか、猫の健康にどのような影響があるのかを解説していきます。
ベイクド製法とは?
低温で時間をかけて焼く製法
ベイクド製法とは、キャットフードの原材料をオーブンでじっくり焼き上げて作る方法です。英語では「Oven Baked Method(オーブンベイク製法)」とも呼ばれ、まるでパンやクッキーのように、低温で時間をかけて焼くというシンプルな工程が特徴です。
日本製の主流はエクストルーダー方式
日本国内の多くのペットフード工場は、高温・高圧で一気に加工する「エクストルーダー方式(エクストルージョン製法)」を主流としています。
これに対し、ベイクド製法にはオーブンベイク専用の焼成設備が必要で、加熱時間が長く、生産効率が低いため、「コスパ重視」や「大容量・お得感」が好まれる日本では導入例が少ないのが現状です。
海外ブランドではよく使用される
現在、日本市場で流通しているベイクド製法のキャットフードは、カーナ4やオーブンベイクドトラディションなどカナダやヨーロッパなど海外ブランドが中心です。
ベイクド製法は「ナチュラルフード」や「無添加フード」との相性が良く、自然志向の飼い主から高い支持を受けています。
ベイクド製法の工程
キャットフードにおけるベイクド製法の工程は、以下のように進行します。
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原材料の選定と計量
肉、魚、野菜、穀物などをレシピに基づいて選び、適切な量を計量する -
混合(ミキシング)
原材料を均一に混ぜ合わせ、必要に応じて水や天然オイルなどを加える -
生地の成型
混ぜた生地を成型し、フードの粒の形やサイズに整える -
オーブンでの焼成(ベイク)
130〜180℃前後のオーブンで、10〜30分ほどじっくりと焼き上げる -
冷却
焼き上がったフードを冷却し、湿気を飛ばしながら安定させる -
パッケージング
品質を保持するために、密封性の高いパッケージに詰める
このように、ベイクド製法は「オーブンで焼く」工程が中心で、時間と手間をかけて栄養と風味を守る作り方が特徴です。エクストルーダー方式のような高圧・高温の押し出し工程はありません。
ベイクド製法のメリットとデメリット
メリット
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低温加熱で栄養素の損失が少ない
ビタミンや酵素が壊れにくく、自然な栄養が保たれやすい -
原材料の風味や香りが活かされる
素材本来の味や香ばしさで、嗜好性を高める -
添加物や香料を抑えた製品づくりに適している
ナチュラル志向・無添加志向の飼い主に支持されやすい製法 -
適度なアルファ化で消化性が良い
ゆるやかに加熱するため、炭水化物も穏やかに消化されやすい - 噛み砕きやすい
クッキーのようにサクサク食感なので噛み砕きやすい
デメリット
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製造コストが高く、製品価格が高くなる傾向
長時間かかる分、コストも反映されやすい -
製造数が限られるため、流通が少ない
選べるブランドや種類がまだ少なく、手に入りにくい
まとめ
- ベイクド製法はオーブンでじっくり焼き上げる製造方法
- エクストルーダー方式に比べ、栄養素の損失が少ないのが特長
- 製造に時間とコストがかかるため、製品の価格は高め