キャットフードの原材料:パイナップル(Pineapple)
パイナップルはブラジルなど南米国熱帯地方を原産とする南国フルーツの代表格で、キャットフードにも使用されることがあります。
硬い皮と葉が特徴で、熟した果実は甘みと香りが非常に強く、果汁も沢山含まれています。猫に毒性のある成分は含まれていないので、熟したパイナップルの果実を少量程度であれば、猫が食べても大丈夫です。
この2メーカーに共通している点はどちらもイタリア産であること。イタリアではそこまでパイナップルの需要は高くないようですが、シシアはウェットフード、モンジはドライフードのラインナップにそれぞれパイナップルを使用したキャットフードがあります。
パイナップルの栄養素と猫におけるメリット
タンパク質の消化酵素「ブロメライン」が豊富
パイナップルには「ブロメライン」というタンパク質分解酵素が含まれています。猫はタンパク質が主なエネルギー源となりますが、ブロメラインにはタンパク質の消化や吸収を助けてくれる働きがあるので、胃もたれや食欲不振、消化不良の改善などが期待されています。
ただブロメラインは熱に弱いため、フードや料理に使用すると失活して効果がなくなってしまいます。このためブロメラインを目的とするなら、おやつとして生の状態で摂取するのがおすすめされます。
パイナップルの注意点
未熟なパイナップルにはシュウ酸カルシウムが含まれる
熟していない未熟なパイナップルには「シュウ酸カルシウム」が含まれています。
シュウ酸カルシウムは猫の尿路結石の原因になる針状の結晶で、舌がイガイガとして荒れるのもこれが原因です。
通常、シュウ酸カルシウムはシュウ酸とカルシウムが体内で結晶化してつくられますが、未熟なパイナップルには結晶の状態でシュウ酸カルシウムが含まれるので、より注意が必要と言えます。
葉や皮はNG
また、パイナップルの香りがする硬い葉や皮に興味を示して噛み噛みしたがる猫もいるようです。
ただし、パイナップルの葉や皮は非常に固いので、飲み込んでしまうと食道や内臓を傷つけてしまう場合があります。また葉や皮には農薬などが付着している可能性もあるので、猫の手が届かない場所に保管しましょう。
食物アレルギー
パイナップルなどのフルーツは食物アレルギーの原因になることがあります。
パイナップルの食物アレルギーの症状では、口や喉の違和感、下痢やじんましんなどを起こすことが一般的です。
また、天然ゴムに対して反応が出るラテックスアレルギーの場合、交差反応でパイナップルにもアレルギー反応が出る可能性があるので注意しましょう。
フルクトース(果糖)が潜在的に腎負担となる可能性
パイナップルにはフルクトースという糖質が豊富に含まれています。
猫の肝臓はフルクトキナーゼ活性が低く、フルクトース(果糖)は腎臓の負担になる可能性が考えられているため、キャットフードではフルクトースの使用は避けた方が良いともいわれています。
画像引用元:ペットフードで使用される主な炭水化物源原料|ペット栄養学会誌,第21巻
(一部抜粋)少なくともネコは血糖値調整が不得手な動物とは言えるため、ペットフード中にグルコースのような急激に血糖値が上がるような原料を多く配合する事は勧めない。また、ネコにおいては肝臓のフルクトキナーゼ活性も低いと考えられており、フルクトース(果糖)は潜在的に腎負担となる可能性もあるため、キャットフードでは避けた方が良いと思われる。
まとめ
- 熟したパイナップルの果実は少量与えても大丈夫
- タンパク質の消化酵素「ブロメライン」が豊富
- シュウ酸カルシウム結晶を含むので注意
- ラテックス(天然ゴム)アレルギーの場合は交差反応の可能性