キャットフードの成分:塩素(chlorine)
胃酸を構成する必須ミネラル
塩素(元素記号:Cl)は、1810年にイギリスのサー・ハンフリー・デーヴィによって名付けられた元素で、猫の体内では必須ミネラルとして胃酸を構成し、食べ物の消化を行ったり、体液のpHバランスを保っています。
塩素はナトリウムと化合した「食塩(塩化ナトリウム:NaCl)」として摂取することが多いため、メーカーによっては成分分析値に食塩相当量が追記されていることもあります。
塩分は生命維持に必要不可欠ですが、高塩分食は高血圧の原因となり、心臓や血管にも負担をかけるため、過剰摂取にも注意が必要です。
塩素が多く含まれる食材
- 食塩
- 海藻類
- オリーブ
- 調味料全般
塩素は塩や醤油、味噌など様々な調味料に含まれています。また、食材では海水で育つ海藻にも多く含まれています。
塩素の働きと作用
胃酸を構成し消化を助ける
塩素は胃酸を構成し、食べ物の消化を行います。
また、食べ物は消化酵素ペプシンによって分解されますが、胃酸はペプシンの働きを活性化させる働きがあります。他にも膵液や消化にかかわる重要な働きを担っていることから、塩素は食べ物の消化には欠かせない物質です。
殺菌効果
塩素には強い殺菌作用があります。塩素は水に溶けると「次亜塩素酸」という強い殺菌力を持った物質に変化し、より強い殺菌作用を発揮するので、プールや水道水の殺菌にも利用されています。
キャットフードに必要な塩素量
ペットフード公正取引協議会が採用している総合栄養食の栄養基準を定めるAAFCOでは、ドライタイプのキャットフードの塩素の最低基準は0.3%以上と定められています。
上限値は設定されていないため、中には高塩分食のキャットフードも存在します。
塩素の欠乏症・過剰摂取
過剰摂取
高塩分な人間の食べ物や、ミネラルウォーターなどの硬水は、塩素の過剰摂取の原因となります。
- 腎臓へ負担がかかる
- 腸内環境のバランスが崩れる
健康体の猫であれば過剰な塩素は尿中に排泄されるため重大な問題にはならないとされていますが、塩素の過剰摂取は同時にナトリウム過剰になっている可能性が高いです。また塩素などミネラル分の過剰摂取は腎臓へ負担をかけるため、慢性腎臓病にかかりやすい猫に高塩分な食べ物は禁物です。
欠乏症
塩素が欠乏することはめったにありませんが、不足すると消化酵素や胃酸の働きが弱くなるため、消化不良等を引き起こします。
まとめ
- 食塩(塩化ナトリウム)として摂取
- 胃酸を構成し食べ物の消化を助ける働き
- 消化酵素のペプシンを活性化させる
- 殺菌作用がある
- 過剰摂取には注意