キャットフードのナトリウム。細胞内外の浸透圧の調節や神経伝達に関与する必須多量ミネラル。

キャットフード ナトリウム

キャットフードの成分:ナトリウム(Na)

細胞外(血液)でカリウムと細胞の浸透圧を調節

ナトリウム(英:Sodium、羅:Natrium)は、カリウムとともに体内の細胞内外の浸透圧の調節を行う猫の必須多量ミネラルのひとつです。

体の機能維持には欠かせない栄養素で、ナトリウムは細胞外液(血液中)に多く存在し、他にも筋肉収縮や神経情報の伝達、栄養素の吸収や細胞への栄養移行などに関与しています。

ナトリウムが豊富な食材

ナトリウムは様々な食べ物に含まれている他、塩素と化合した食塩(塩化ナトリウム:NaCl)として摂取することも多いと思います。

  • 食塩
  • 味噌
  • インスタント食品
  • 梅干し

ナトリウムが多い食品はあげるとキリがありませんが、猫にとって味が付いている人用加工食品のほとんどは高塩分です。

一見薄味だと思われる食品でも塩分相当量は高めの可能性もあるので、人用の食品は与えるべきではありません。

キャットフードに必要なナトリウム量

ナトリウムの最低基準は0.2%以上(AAFCO)

キャットフード ナトリウム画像引用元:2016 AAFCO Midyear Meeting Committee Reports

ペットフード公正取引協議会が採用している総合栄養食の栄養基準を定めるAAFCOでは、ドライタイプのキャットフードのナトリウムの最低基準は0.2%以上と定められています。

子猫・成猫で必要量は変わりません。ただシニア用キャットフードではナトリウム量を抑えて最低基準に近づけた低ナトリウム食の商品が多いです。というのも高齢猫は次で紹介する慢性腎臓病や肥大型心筋症などの病気になりやすいためです。

腎臓病や心臓病の猫はナトリウム制限

心疾患や腎疾患がある猫は、ナトリウム制限が必要な場合があります。

心臓は血液を送り出すポンプのような役割を担っていますが、ナトリウムは血液中に存在し水を体にため込む性質があります。このためナトリウムを多く摂取すると、循環する血液量が増え、心臓に負担がかかります。

腎臓は不要・過剰な成分や毒素を体外に排泄しpH値や血圧を調節していますが、ナトリウムの過剰摂取は浸透圧のバランスを崩し高血圧を引き起こします。このため、過剰なナトリウムを排泄するために腎臓には負担がかかり、すでに腎機能が正常に機能していない場合、ナトリウムが十分に排出されず、血圧が上がり続けます。

上記の理由から、心疾患や腎疾患のある猫には、最低基準よりさらにナトリウム制限した療法食が勧められます。

ナトリウムの欠乏/過剰摂取

ナトリウムの欠乏症

  • 吐き気
  • 疲労感
  • 元気喪失
  • 痙攣
  • 意識障害

ナトリウムの過剰摂取は血圧を上昇させる?

キャットフード ナトリウム 血圧画像引用元:正常犬・猫の高ナトリウム摂取における血圧および飲水量の変動

腎機能の正常な雑種成犬5頭と雑種成猫4頭に低塩食と高塩食を与えたときの血圧および、飲水量の変動を観察した。低塩食に馴致させた後,高塩食を与えると飲水量が犬・猫ともに増加し,低塩食に戻すと低下した (P<0。05)。犬1例において,食塩負荷時に変化率 10%を超える上昇が収縮期,拡張期および平均血圧に認められたが,群としてみると犬・猫ともに有意な血圧変動は実験期間を通して認められなかった。今回の実験から,腎機能の正常な犬および猫に高塩食を短期間与えても飲水を自由にするかぎり血圧に影響はないと考えられた。

2010年の日本小動物獣医学会誌に掲載された報告によると、高塩分食グループとの低塩分食グループで、高塩分食を食べていた犬や猫の方が飲水量は増えたものの、血圧上昇は確認されなかったとのこと。

このことから、正常に腎臓が機能しナトリウムを排泄できる健康な猫であれば、高塩分食でも問題はないかもしれませんが、猫がかかりやすい慢性腎臓病の場合、ステージが進むまで症状が現れないため、気にせず高塩分食を与え続けると、初期の腎臓病の悪化につながる可能性もあります。このため、病気が発覚する前、たとえば中高齢時期から塩分量には注意が必要かもしれません。

まとめ

  • 細胞内外の浸透圧や栄養移行、pH値の調整を行う
  • 細胞外(血液中)に存在することが多い
  • 人用の加工食品のほとんどは高塩分
  • 腎臓病や心臓病の猫はナトリウム制限
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2018年7月27日

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鈴木利奈

一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。