そうですね。野菜やフルーツにはよく「与えてはいけない」ものがありますが、実際はその食材の特定の成分であることがほとんどです。ホウレン草にも猫にとって有害物質が含まれています。
ただ有害物質を除く加工や調理がされていれば猫も食べることができます。
キャットフードの原材料:ホウレン草
ホウレン草について
おひたしやソテーなどの料理でよく見られるホウレン草。緑黄色野菜の一つで素材の味が強く、ビタミンやミネラルが豊富です。
キャットフードにも使われることはありますが、他の野菜に比べて、そこまでメジャーに使われている原材料というわけではありません。
ホウレン草入りのキャットフードを考える上で気になる有害物質「シュウ酸」についても下で解説しています。
ホウレン草の栄養素
成分分析値表
タンパク質 | 2.2g | |
脂質 | 0.4g | |
食物繊維 | 2.8g | |
灰分(ミネラル) | 16mg | |
カリウム | 690mg | |
カルシウム | 49mg | |
マグネシウム | 69mg | |
鉄 | 2mg | |
亜鉛 | 0.7mg | |
銅 | 0.11mg | |
マンガン | 0.32mg | |
セレン | 3μg | |
モリブデン | 5μg | |
ビタミン | ビタミンA | 350μg |
ビタミンE | 2.1mg | |
ビタミンK | 270μg | |
ビタミンB1 | 0.11mg | |
ビタミンB2 | 0.2mg | |
ビタミンB6 | 0.14mg | |
葉酸 | 210μg | |
ビタミンC | 35mg | |
カロリー | 100g | 54kcal |
ホウレン草といえば、鉄分!というイメージが強いかもしれませんが、ホウレン草には他のビタミンやミネラルも豊富に含まれています。
特にビタミンA、ビタミンK、葉酸、シュウ酸が多く含まれているので、栄養や体への影響について触れたいと思います。
ビタミン
ホウレン草にはビタミンA(βカロテン)、ビタミンK、ビタミンEなどが豊富に含まれています。ホウレン草に含まれるビタミンKは熱に対しても強いため、ドライタイプのキャットフードでも壊れずに摂取されやすいです。
またビタミンB群の一つ、葉酸もホウレン草には特に多く含まれています。葉酸には赤血球の生産を助け、細胞を増やしたり再生を助けたりもする働きがあります。
ホウレン草に含まれるシュウ酸の尿路結石の心配
ホウレン草のシュウ酸
ホウレン草には様々な栄養素が含まれている一方、猫の尿路結石の原因にもなる「シュウ酸」という物質が含まれています。
シュウ酸はカルシウムと結合して猫の尿管・膀胱・尿道に結晶・結石をつくる原因物質となるものです。
シュウ酸カルシウム結石は厄介なことに手術で取り除く必要がある結石です。さらに猫の尿路結石はストルバイト結石よりもシュウ酸カルシウム結石の方が多くなってきています。手術となれば猫の体への負担も大きく、再発の危険もあるため気になる方も多いかと思います。
シュウ酸の除去方法
シュウ酸は水に溶けやすい性質があるため、茹でた後しっかり水でさらすなどすれば、猫も食べることができます。
ホウレン草のシュウ酸は簡単に取り除くことができるため、キャットフードに使用する場合にも、シュウ酸を除去して製造することは可能です。
ホウレン草は食べ過ぎない方がいい
ですが、シュウ酸を多く含むホウレン草は食べない方がいいという研究もあります。
朝日新聞デジタルに、ホウレン草を日頃から多く食べている人とそうでない人の尿路結石発症のリスクを調査したアメリカの研究を紹介した記事がありました。
ただ、この研究以外のさまざまな研究も合わせて考えるに、ホウレンソウをたくさん食べると尿路結石になりやすいというのは概ね妥当だと考えます。少なくとも「生で1 kg毎日食べ続けない限り心配ない」という 主張は不適切です。誰かが根拠なく書いたものがコピーされているのでしょう。出典が明記されていない医学情報には注意が必要です。
引用元:朝日新聞デジタル ホウレンソウはやっぱり食べ過ぎないほうがよいらしい(現在該当記事は削除)
人においての話ですが、ホウレン草を食べている人の方が尿路結石のリスクが高まることは概ね妥当だとあるため、猫においてもホウレン草の尿路結石リスクは0ではないのではないかと推測します。
キャットフードメーカーがシュウ酸の除去を行っている場合、そのようなリスクもかなり低いかと思いますが、尿路結石を対策されたい方はホウレン草は避けた方がいいかもしれません。
ホウレン草を使用したキャットフード例
ネスレ ツナのホウレン草添え
ネスレ フィリックス 我慢できない隠し味ゼリー 味&ほうれん草味
モンプチ ツナのグリル ホウレン草入り
ネイチャーズロジック チキンディナー
キャットフードのホウレン草まとめ
ビタミンA、ビタミンK、ビタミンB群などが豊富なホウレン草。鉄分のイメージが強かったですが、ホウレン草はビタミンも豊富だったんですね。
ですが、シュウ酸カルシウム結石についての話を見るとあまり良い食材でもないのかな?という感想です。
ビタミンは生物の体で他のビタミンと作用し合って体の正常な機能を保ってくれるので、栄養添加物だけに頼らず、原材料からも摂取したいところです。
シュウ酸の注意点はありますが、猫におけるホウレン草の影響が分かっているわけではないので、個人的に注意はした方がいいと思いますが、完全に避けるべきというわけでもない気がします。