キャットフードのトマト。栄養素と特徴、リコピンの作用は?猫に有害なトマチンについて。

キャットフード トマト

キャットフードの原材料:トマト

野菜といえば、真っ先に思いつくトマト。そのまま生の状態から、ケチャップやソース、カレー、パスタ、スープなど、幅広く利用される万能な野菜です。

キャットフードでもトマトは割とよく使われますが、肉や魚などを抑えてメイン食材として使われることはほとんどありません。

トマトの栄養素とメリット

トマトの成分分析表

トマト(生)の栄養成分
水分94%
脂質0.1%
炭水化物総量4.7%
食物繊維1.0%
灰分(ミネラル)総量0.5%
ビタミンビタミンA74.25μg
ビタミンE1.49mg
ビタミンC24.75mg
カロリー100g19kcal

トマトは生の状態では、94%が水分、4.7%が炭水化物です。

ドライフードで使用されるトマトは乾燥させたトマトなので、上記の数値はあくまで他の野菜との比較として参考にしていただけたらと思います。

ビタミンCが豊富

トマトにはビタミンCが豊富に含まれています

ただ猫や犬は人と違ってビタミンCを体の中で合成できるので、必ずしもキャットフードから摂取しなければならない成分ではありません。

ですがビタミンCは抗酸化作用や免疫機能を高めたり、カルシウムの吸収と代謝に関与するなどの効果があるので、メリットはあります。

またビタミンCは水溶性ビタミンの一つなので多く摂り過ぎても問題ありません。

リコピンの効果といつかいに注目

トマトで最も注目されている成分が「リコピン」です。リコピンはカロテンの一種で、リコピンの色素によってトマトは濃く鮮やかな赤い色をしています。

ニンジンの記事でもお話しましたが、猫はカロテンをビタミンAに分解して利用することができません。

しかしリコピンにはカロテンの状態で強い抗酸化作用があり、細胞の老化やガン予防の効果が期待されています。

またリコピンは熱や乾燥にも強く油に溶けやすい性質を持っているため、ドライフードでもリコピンが壊れず栄養素として摂取することができます。

トマトに含まれる有害物質「トマチン」の心配

毒性があるトマチン

トマトの青い果実や茎・ヘタの部分に含まれている「トマチン」は毒性がある物質です。ジャガイモの芽に含まれるソラニンに似た構造をしています。

猫がトマチンを摂取すると下痢や嘔吐などの症状を引き起こすため、トマチンが含まれる青いトマトやトマト自体を大量に与えることはNGと言われています。

赤く熟すまで待てばトマチンは急激に減少するので、トマトを直接与えたい場合には、青い実を除くか赤く熟すまで待ってから与えるといいでしょう。

多量摂取しなければ問題ない

猫やキャットフードに関するものではありませんが、一般社団法人日本植物生理学会でトマチンに関する質問にJSPPサイエンスアドバイザーがこのように回答しています。

トマチン キャットフード
トマチンの毒性は、マウスの腹腔内に投与したときの半致死量(LD50)が32mg/kgであり、これを単純に50kgのヒトに換算すると、半致死量は1600mg(1.6g)になります(マウスとヒトで効果が同じかどうかはわかりませんが)。この量は完熟果実では、4000kg (4トン!)、熟した青い果実では、33kg、未熟果実では3.4kg、に相当します。中ぐらいの大きさのトマトは約100gですから、未熟果実でも34個を一挙に食べないと半致死量には達しません。通常、そのような場合は考えられません。
引用元:日本植物生理学会 植物Q&A トマチン

人に関する回答なので猫に当てはめられるとは限りませんが、キャットフードの場合、トマトが配合される場合でも大量に使用されること自体少ないため、問題になることはほとんどないかと思います。

トマトを使用したキャットフード例

カントリーロード

トマトのリコピンを押し出しているキャットフードとして注目なのがカントリーロードのウェットフードです。

ウェットフードなので、病気の猫にも与えやすく、また肉の種類もホース(馬)など珍しい食材を使っていたりと注目のキャットフードです。

原材料の生産国を細かく公開したりといったフードへのこだわりも感じられます。

ロニーキャットフード

キャットフードの総合ランキングでも1位に輝くロニーキャットフード。41種類の素材を使用しているとあるだけあり、トマトもしっかり配合されていました。

トマトは少量の配合なので、そこまで大きな効果は期待できませんが、様々な野菜がバランス良く配合されているので、トマト配合のキャットフードの中でもおすすめのキャットフードと言えます。

アボ・ダーム

アボカドを配合しているアボ・ダームのキャットフード。乾燥トマトも使用されています。

野菜の配合が多い印象のアボ・ダームはアボカドの心配を除けばおすすめのキャットフードです。

モンプチ

国内メーカーが販売するウェットフードのシリーズ「モンプチ」。

チキンやツナなどメインのウェットフードにトマトが入っています。トッピングやおやつとして摂取させやすいと口コミでも見られました。

ただ増粘剤や小麦グルテン、大豆、着色料など、他の原材料で心配が見られるので、当サイトとしてはあまりおすすめのキャットフードとは言えません。

キャットフードのトマトまとめ

猫田

他にもトマトが入ったキャットフードはありましたが、とりあえずこのくらいにしておきましょう。

今回はキャットフードに使われることがあるトマトについて、有害物質や栄養素による働きや効果をご紹介してきました。

鈴木さん
トマトにはビタミンCやリコピンが豊富なんですね。リコピンは食品でも注目されている成分ですし、これから研究が進んだら、さらにトマトの効果が分かってくるかもしれませんね。

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。