【2021年】リコールされたキャットフード製品とメーカー。緊急リコールと自主回収との違い

キャットフード リコール
猫田
今回はキャットフードにおけるリコールについてお話します。
鈴木さん
リコールって企業や国が問題有りと判断した商品の回収・無償交換・返金などをすることですよね。キャットフードでもリコールされるんですか?
猫田
キャットフードではカビ毒や重金属、細菌汚染などでリコールされることが多いです。猫の健康に重大な障害を与える商品が該当します。

キャットフードのリコールとは?緊急リコールと自主回収の違い

リコールとは製品に欠陥や問題、過誤などがあると判断された時に、国や企業が回収、交換、返金などの対応を行うことです。

リコールには大きく分けて、国(法令)によるリコールと、企業や業者による自主的なリコール(自主回収)の2つがあります。

国・法令によるリコール

法令に基づく国からのリコールは、重大な欠陥製品に対して命じられる緊急リコールです。具体的には、以下のような消費者に重大な危険や障害が出る可能性のある製品や、法令違反の製品などが挙げられます。

  • 一酸化炭素中毒による死亡事故が発生した石油暖房機
  • 発火事故が発生した加湿器
  • 医薬成分が混入した健康食品
  • 規定外の残留農薬や食品添加物が検出された食品

販売側のリコール対応が遅れている場合や、立入調査で問題が発覚してリコールされる場合もあります。リコールされた商品は国ごとにある「リコールリスト」に記録され、問題や原因が改善されたとしても項目から消えることはありません。

企業によるリコール(自主回収)

企業によるリコールは、その製品を販売する製造業者や販売者が自主的に行うリコールです。法令違反や危険性の高い製品だけでなく、たとえば賞味期限の印字ミスや一部原材料や成分の誤記、他なども含まれます。

2021年6月から、企業が食品のリコールを行う場合は、行政へ届出をすることが義務になりましたが、キャットフードは日本では「雑貨」に分類されてしまうので、届出義務の対象にはなりません。

キャットフードのリコール品とメーカー

<2021年8月>イギリスで300匹以上の猫が汎血球減少症により死亡、一部リコール製品からカビ毒検出

2021年8月、イギリスで330匹以上の猫がネコ汎血球減少症により死亡したことが発表されました。発症した6割の猫が死亡。現在、原因を調査中ですが、リコールとなっていた一部キャットフード製品からカビ毒が検出されており、原因の可能性として挙げられています。

緊急リコールとなった製品はFold Hill Foods社の工場で製造されたSainsbury’sの低アレルギー性レシピと、Pets at Home社が販売するApplaws、AVAです。これを受けてFold Hill Foodsも一部自社製品を自主回収しています。

300匹 猫  キャットフード 画像引用元:abc NEWS|Over 300 cats die in the UK from illness that could be linked to toxic pet food

イギリス リコール キャットフード

2021年8月イギリスで猫330匹以上が死亡。リコールキャットフードで猫汎血球減少症を発症?

2021年8月19日

2018年 リコールリスト

国内

2018年リコールメーカー・商品名理由
2018年8月17日日清ペットフード「ドッグフード」賞味期限の誤表示
2018年7月23日クリエイティブヨーコ「MPFデンタルウォーターセット」カビが発生
2018年7月19日ドギーマンハヤシ「紗プレーン」異物混入
2018年5月31日アース・ペット「ペットフード」品質検査後の合格判定前に誤って出荷

海外(アメリカ)

2018年リコールメーカー・商品名理由
2017年1月17日Blue Ridge Beefリステリア・モノサイトゲネス汚染の
可能性
2018年2月7日Rough-N-Readyモネンシンのレベルの上昇
2018年2月8日Sunseed Sunsations, All Living Things and moreリステリア・モノサイトゲネス汚染
2018年2月8日BLUE Wilderness, Rocky Mountain Recipe甲状腺ホルモンのレベルの上昇
2018年2月8日9LivesTM, EverPetTM, and Special KittyTMチアミン(ビタミンB1)のレベルが低い
2018年2月8日Smallbatchサルモネラ菌

2019 リコールリスト

国内

2019年リコールメーカー・商品名理由
2019年12月5日ネスレ日本「フリスキードライ 子ねこ用」ゼアラレノン自主基準超過
2019年5月22日ユニ・チャーム「国産鶏ささみパウチ ジュレ 成犬用」賞味期限の誤表示
2019年2月5日日本ヒルズ・コルゲート「ペットフード」ビタミンD過剰

海外(アメリカ)

2019年リコールメーカー・商品名理由
2019年4月4日Museゴム片の混入
2019年9月20日Ultralyx非タンパク質窒素(NPN)のレベルの上昇。
2019年12月5日Special Kitty製品が当社の品質および安全基準を満たしていない

2020 リコールリスト

国内

2020年リコールメーカー・商品名理由
2020年10月30日クリエイティブヨーコ 「愛犬用やわらか鶏なんこつ」異物混入
2020年11月30日日本ペットフード「ミオ子猫のミルク 250g」溶けにくい等の問題が確認
2020年12月25日クリエイティブヨーコ「デンタルトリーツ」異物混入

海外(アメリカ)

2020年リコールメーカー・商品名理由
2020年2月4日NutreBeef高レベルのモネンシン(抗生物質)が含まれている可能性
2020年3月11日Columbia River Natural Pet Foodsサルモネラ菌とリステリア・モノサイトゲネス汚染の可能性
2020年3月11日Columbia River Natural Pet Foodsリステリア・モノサイトゲネス汚染の可能性
2020年3月11日9Livesチアミン(ビタミンB1)の値が低い
2020年3月16日NutriscaビタミンDレベルの上昇
2020年3月19日G&C Raw, Kim’s Special, Pat’s Catリステリア・モノサイトゲネス汚染の可能性
2020年3月20日Rad Catリステリア・モノサイトゲネス汚染の可能性
2020年3月23日Icelandic+ボツリヌス菌の可能性
2020年3月23日G&C Raw, moreリステリア・モノサイトゲネス汚染の可能性
2020年3月24日Rad Catリステリア・モノサイトゲネス汚染の可能性
2020年4月8日Rad Catリステリア・モノサイトゲネス汚染の可能性
2020年7月3日Natural Balance塩化コリンのレベルが上昇
2020年7月17日Multiple brand names過剰な鉛
2020年12月30日Sportmixアフラトキシンレベルの上昇

2021 リコールリスト

国内

2021年リコールメーカー・商品名理由
2021年4月8日ドギーマンハヤシ「Doggy Snack バリュー」一部中身が別製品
2021年6月16日アイシア「MiawMiawやわらか小粒」プロピレングリコール少量検出
2021年7月6日九州ペットフード「あふれるささみのほたて味、ほか31商品」プロピレングリコール少量検出
2021年7月28日ペットライン「JPスタイル<和の究み>超小粒1歳からの成犬用、ほか4商品」工場内のベルトコンベアのベルトの欠片が混入の可能性 
2021年8月17日カインズ「Pet's One 豚耳カット 140g、ほか5商品」サルモネラ菌検出

海外(アメリカ)

2021年リコールメーカー・商品名理由
2021年1月11日Sportmix, Nunn Better, ProPac, その他アフラトキシンが許容レベルを超えている
2021年3月27日Multiple brandsサルモネラ汚染の可能性
2021年4月12日Meow Mixサルモネラ汚染の可能性
2021年5月20日Natural Balanceサルモネラ汚染の可能性

キャットフードのリコールの原因

キャットフードでリコールの原因は様々ですが、日本国内のリコールで多いのは誤表記や印字ミス、パッケージと中身が別物、異物混入などです。またキャットフードに使用禁止されているプロピレングリコールが含まれる製品などのリコール例もあります。

海外製品を見ると、サルモネラ菌やリステリア・モノサイトゲネスによる細菌汚染の例が最も多いです。他カビ毒やメラミン、過剰な亜鉛や塩分の過剰混入など、猫に重大な健康被害が出る可能性のあるリコール案件も多く見られます。

  • カビ毒
  • 細菌汚染
  • 情報の印字ミス
  • 誤表記
  • 異物混入
  • 成分基準に合わない

サルモネラ菌

キャットフードの細菌汚染、特にサルモネラ菌は猫の食中毒の原因としてリコールされることが多いです。サルモネラ菌といえば卵ですが、他にも、キャットフードでよく使用される鶏肉、牛肉、豚肉などにも生息しています。

猫がサルモネラ菌に感染すると下痢や血便、嘔吐、腹痛などを引き起こします。免疫力の弱い子猫に感染すると重症化しやすく命に関わることもあります。

キャットフード サルモネラ菌 リコール

キャットフードのサルモネラ菌汚染。原因と症状、リコールされた商品

2020年2月20日

リステリア・モノサイトゲネス菌

リステリアモノサイトゲネス菌は、サルモネラ菌などと同じ食中毒を引き起こす菌の一つで、日本ではリステイアによる食中毒の報告例は確認されていませんが、サルモネラ菌とボツリヌス菌についで、死亡件数が多いと言われています。

世界のペットフードのリコールを見ても、サルモネラとリステリアが原因である件数が特に多く見られるので、海外産キャットフードを使用される方は注意した方がいいかもしれません。

カビ毒

カビ毒は、カビの二次代謝産物としてつくられる毒で、摂取量や種類によっては死に至ることもあります。穀物に発生しやすい毒で、加熱しても無毒化されないことから、穀物を多く使用するペットフードで問題になりやすく、いくつかのキャットフードでリコールを確認しています。

カビ毒の中でもアフラトキシンB1は最も発癌性が高く、大量摂取による肝毒性などの急性毒性もあることから、ペットフード安全法でも規制対象となっています。

カビ毒 猫 キャットフード

キャットフードのカビ毒。アフラトキシンB1やゼアラノレンの発がん性や肝毒性のリスク

2021年1月19日

プロピレングリコール

保湿剤や保存料として利用されるプロピレングリコールは、犬用製品には使用が認められていますが、キャットフードへのプロピレングリコール使用は禁止されています。

猫がプロピレングリコールを摂取すると、猫の体内で免疫が赤血球を大量に壊し、免疫改善性溶血性貧血を引き起こすため、ペットフード安全法で規制対象となっています。

プロピレングリコール キャットフード

キャットフードのPG(プロピレングリコール)は使用禁止。犬猫飼育者は要注意

2020年4月13日

メラミン

メラミンはペットフードのリコールが始まるきっかけとなった物質で、「ペットフード大量リコール事件」で知っている方もいるかもしれません。2007年に中国の食品メーカーがタンパク質含有量を多く見せるためにペットフードにメラミンを混入して輸出したことで、メラミン入りペットフードを食べた沢山の犬や猫が急性腎不全を引き起こし、亡くなりました。

この事件をきっかけに日本でもペットフード安全法が制定され、メラミンも現在は規制対象となっています。ただ規制されているからといって混入の可能性が0になるわけではありません。

2007年アメリカで発生したメラミン混入によるペットフード大量リコール事件

2016年12月12日

問題のある製品すべてがリコールされるわけではない

リコールに明確な基準や決まりはない

問題があったキャットフードにリコールされるとお話しましたが、問題があった商品やキャットフードすべてがリコールされるわけではありません。

リコールされるキャットフードには明確な決まりや基準がなく、リコールの判断は企業と国に任されることになります。リコールは、基本的にこれ以上の被害の拡大を防ぐために申告されるので、問題があってもこれ以上被害がないと考えられるキャットフードや、ただちに健康被害が出ると分からない物や、大きな危険がないと思われる場合はリコールされないことが多いです。

自国で正規輸入で販売される物が対象

リコールされたキャットフードが、その国で販売されていない場合は、リコールリストには記録されません。

海外から正規輸入で販売されているキャットフードは、外国産のキャットフードでもリコールリストに掲載されますが、個人輸入や並行輸入でしか販売されていないキャットフードは、日本のリコールリストに載りません。

キャットフードのリコールまとめ

猫田
今回はキャットフードのリコールについて紹介しました。
鈴木さん

リコールってけっこう頻繁に出ているんですね…知りませんでした。でも猫の健康や安全を守るためには、飼い主としてチェックしておかないといけないなと反省しました。

猫田

すべてのリコールを把握するのは無理でも、今使っているキャットフードや、これから試すキャットフードは、リコール対象になっていないか、過去に問題になっていないか知っておいた方がいいかもしれませんね。

ただ、リコールは原因や理由が様々なので、一概にリコールになったからもう買わない!と切り捨てる必要もないと思います。中には、ミスや問題があっても見過ごしたり、見て見ぬふりをしてやり過ごされることもあるので、そういった問題に企業側が気付いて対応できる企業と考えることもできます。

鈴木さん
確かに誰も気付かないようなところだったら、発表せずにうやむやにしたいと考えるところもありそうですよね。そこをきちんとリコールという形で公表して対処してくれるのは、かえって信頼できるような気もしていました。
猫田
もちろん猫の健康や安全に関わることであればたった一度のことでも、今後の不安要素となると思いますが、リコールの発生原因と合わせて検討してただくのが宜しいと思います。

ABOUTこの記事をかいた人

一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。