猫の皮膚炎や花粉症、アレルギー疾患を軽減する食べ物を紹介。不向きな食べ物は?

猫 アレルギー 緩和 食べ物
鈴木さん
最近はアトピー性皮膚炎や花粉症、食物アレルギーを発症する猫が増えてきていますよね。
猫田

かゆみによる皮膚の炎症や脱毛、消化器疾患(下痢・嘔吐など)など長年アレルギー症状に苦しむ猫も少なくありません。

そこで、今回は、猫のアレルギーの対策として治療や投薬以外にできること。アレルギー症状を抑える働きがあるとされている食材や成分をご紹介したいと思います!

猫も食物アレルギーや花粉症になる!

食物アレルギーや花粉症は人間だけがなるものではなく、猫も食物や花粉に対して免疫が反応し、アレルギー症状を引き起こすことがあります。

猫が何かしらのアレルギーを発症した場合、できることといえば、今愛猫に出ている症状の緩和や抑制のための投薬、そしてアレルゲンの特定とそれを排除したフードを猫に与えることくらいです。

アレルギーの治療では、時間と手間がかけてアレルゲンの特定と治療をしていく中で、飼い主さんにできることの一つが食事管理になります。

アレルギー疾患の緩和や軽減、予防に役立つ食べ物、また反対にアレルギーを悪化させる可能性のある食べ物を知っておくことで、食事管理や回復後のフード選びの参考にもなると思いますので、是非ご覧いただければと思います。

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2019年4月18日

アレルギー症状を軽減・緩和する食べ物や成分は?

オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)

抗炎症作用がある成分として有名なDHA・EPA(オメガ3脂肪酸)は、気管支喘息やアレルギー反応など、炎症反応に関与するロイコトリエンなどの産生を抑制する働きがあります。猫のアレルギーの治療にもロイコトリエンを抑える薬が使用されています。

猫 EPA DHA
引用元:エイコサペンタエン酸・ドコサヘキサエン酸の抗アレルギー作用について

これまでにアトピー性皮膚炎の治療あるいは予防という観点から、n-3系多価不飽和脂肪酸のアトピー性皮膚炎に対する臨床成績が国内外で報告されている。-中略- 2003年には、アトピー性皮膚炎の妊娠中の母親にオリーブ油カプセルを対照群として、魚油含有カプセルを1日4g(3.7gn-3PUFA)経口投与したランダム化比較試験において、魚油摂取群の母親から生まれた子供(1歳児)のアトピー性皮膚炎の発症率および症状を対照群と比較した結果、発症率には差がないけれども症状の重篤な症例数が有意に減少することが報告15)された。このことから、アトピー性皮膚炎の予防という観点からもEPA,DHAを含む魚油の摂取が有望であるかもしれない。一方、国内ではEPA,DHA含有精製魚油を材料とした栄養補助食品等を用いた臨床試験がいくつか報告16-20)されており、その大部分は、アトピー性皮膚炎に対する改善効果を示している。

上記の資料によると、EPAやDHAが豊富仁含まれる魚油の摂取していた母親から生まれた子どものうち、アトピー性皮膚炎が重症化する割合が有意に減少したことを報告しています。このことから猫のアトピー性皮膚炎の予防の観点からもEPAやDHAの摂取が効果的と予想できます。

DHAやEPAは魚介類に多く含まれる栄養素で、他にも生活習慣病の予防や脳の活性化など、様々な働きがあります。

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2022年7月12日

プロバイオティクス(乳酸菌)やオリゴ糖など

乳酸菌などのプロバイオティクスは、炭水化物の分解で乳酸を作り出す乳酸菌は、猫の過剰な免疫反応を抑える働きがあります。また、抗体が多く集まる腸内で善玉菌として働き、腸内環境を整えることで腸管免疫を正常に保ちます。

また、同じく善玉菌の餌となり腸内環境を整えるオリゴ糖や食物繊維(プレバイオティクス)は、善玉菌を増やす助けとなります。善玉菌が増えて猫の腸内免疫機能が高まることでアレルギー症状への作用も期待されます。

  • 乳酸菌
  • オリゴ糖
  • 納豆(※大豆アレルギーの場合はNG)
  • 海藻
  • 昆布
  • わかめ
  • 味噌

乳酸菌はラクトバチルス類、エンテロコッカ類、ビフィズス菌などがありますが、キャットフードの原材料として配合されていることもあるので、チェックしてみてください。

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2019年5月23日

フラボノイドなどのポリフェノール

ポリフェノールには強力な抗酸化作用や活性酸素の抑制などの働きの他に、アレルギー症状の原因物質の発生を抑える働きがあることが分かっています。

ポリフェノールは植物に含まれる苦味や色素を構成する成分で何千種類もありますが、その中でも「フラボノイド」が特にアレルギーに効果があると考えられています。

アレルギー 猫 食事 フラボノイド引用元:アレルギーとフラボノイド 大阪大学大学院医学系研究科呼吸器・免疫アレルギー・感染内科学講座

この数十年間でアレルギー疾患の有病率が増加しているが、種々の環境変化の中で食習慣の変化も有病率の増加に関与していると推測されている。果物、野菜やお茶に含まれるフラボノイドは、好塩基球や肥満細胞からのヒスタミンやIL-4、IL-13などのサイトカインまたCD40 リガンドの発現を抑制する活性を有する。ルテオリン、アピゲニンフィセチンに強い活性(IC50=2-5 μM)が認められ、また日常摂取の多いケルセチン、ケンフェロールにも中等度の抑制活性(IC50=15-18 μM)が観察された。その作用機序として、転写因子 NFATとAP-1の活性化を抑制することが示された。フラボノイドをアトピー性皮膚炎のモデルマウスに投与することで、発症や症状の軽減が認められる。また、疫学研究において、フラボノイドの高摂取群では喘息の発症率が低かった報告もなされており、適切なフラボノイドの摂取がアレルギー疾患に対する予防や保管代替医療となる可能性が期待される。

日本補完代替医療学会誌第3巻に記載の「アレルギーとフラボノイド(Allergy and Flavonoid)」によると、フラボノイドにはヒスタミンなどのアレルギー症状の原因物質や、Ige抗体の産生に関与するIL-4やIL-13の発生を抑制する働きが報告されています。

また、アトピー性皮膚炎のマウスへのフラボノイド投与により、アレルギーの発症や症状の軽減が認められたこと、フラボノイドの高摂取により喘息の発症率が下がったという研究結果も発表されています。このことから、フラボノイドはアレルギーの予防と軽減、どちらへの効果も期待されています。

またポリフェノールは熱に強く、加熱によって壊れる心配がないため、製造過程で必ず加熱工程があるキャットフードでも利用しやすい成分です。

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2020年10月27日

ビタミンA、C、E、セレニウムや銅、亜鉛

ビタミンやミネラルの中には、抗酸化作用を含む栄養素があります。抗酸化作用がある栄養素としてビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、またセレニウム、銅、亜鉛などが挙げられます。

一見、抗酸化作用とアレルギーは関連がなさそうに見えますが、抗酸化物質の摂取不足がアレルギー発症の増加に関わっている可能性が報告されています。食の変化とアレルギー疾患の増加について調査した研究では、特に野菜や果物などに含まれる抗酸化物質の適切な摂取がアレルギー発症の予防につながる可能性が指摘されています。

過剰摂取のリスクもあるため、沢山摂取させればいいものではありませんが、猫にも適切な量を持続的に摂取できるような食事管理が大切です。

アレルギーの猫に注意したい食べ物や成分

トランス脂肪酸を多く含む食べ物

脂質の構成成分であるトランス脂肪酸は、原料の違いや加工方法の違いによって食品中の含有量は異なりますが、トランス脂肪酸を多く含む加工油脂は喘息やアレルギー疾患になりやすいという研究論文が発表されています。

炭水化物や糖質が多い食べ物

コルチゾールは、アレルギーの治療に使われるステロイドと同じ働きがありますが、血糖値を安定させるために分泌される副腎皮質ホルモンです。

このため炭水化物や糖質を摂り過ぎすると、血糖値の上昇や変動が激しくなり、血糖値を安定させるためにコルチゾールが使われてしまい、猫のアレルギーを抑えることができなくなります。するとアレルギーの症状が悪化してしまうので、猫のアレルギー対策には炭水化物や糖質の高摂取はおすすめしません。

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。