自宅で食事をしていたときに猫にお肉を盗み食いをされてしまって、少し焦げたものだったかもしれません…。
焦げた食べ物は発がん性リスクがあるというのはよく聞くのですが、猫も危険なのでしょうか?
そうですね。肉類に限らず、焦げた食べ物には発がん性リスクのある有害物質が含まれています。体の小さい猫の場合、たった一口でも健康に悪影響となる可能性が高いです。
猫の健康を守るために、焦げた食べ物の有害物質や発がん性リスクについて知り、猫に盗み食いされないよう対策をしましょう。
焦げた食べ物に含まれる有害物質
有害物質は肉類や魚類、野菜類などあらゆる食べ物が高温で加熱されると生成されます。
焦げた食べ物の有害物質の代表的なものは下記です。
アクリルアミド(AA)
アクリルアミド(Acrylamide)とは、アミノ酸(アスパラギン)と糖(グルコース)が高温で加熱されるときに発生する物質です。
アクリルアミドは炭水化物が多く含まれている食品の揚げ物や焼き物、トーストしたパンなどに含まれています。とくに120℃以上の加熱で発生しやすく、ポテトチップスやフライドポテトなどのじゃがいもを揚げた料理、クッキーやビスケットなどの穀類を原材料とする焼き菓子などに高濃度に含まれているといわれています。
このように、食材に含まれる水分が少なくなってから多く生成されます。
世界保健機関(WHO)のがん専門の機関である国際がん研究機関(IARC)は人への発がん性に関するあらゆる物質や要因を評価して4段階に分類していますが、アクリルアミドは「ヒトに対して発がん性がある」とするグループ1に分類されています。
ヘテロサイクリックアミン(HCA)
ヘテロサイクリックアミン(heterocyclic amine)とは、タンパク質(アミノ酸)が150℃以上の高温で加熱されるときに生成される化合物です。
とくに肉類や魚類などは焼き焦げしやすい食材なので注意しましょう。
ヘテロサイクリックアミンは「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」とするグループ2Bに分類されています。
多環芳香族炭化水素(PAHs)
多環芳香族炭化水素(Polycyclic aromatic hydrocarbons)とは複数のベンゼン環が融合した構造を持つ化合物の総称で、主に有機化合物が不完全燃焼したときに生成される煙に含まれています。
食品の高温加熱・燻製、タバコの煙、木材や石炭を燃やすなどで発生し、とくに直火での高温の加熱やバーベキューなどでよく発生するといわれています。
飼い主さんがタバコを吸う習慣がある場合は、知らず知らずのうちに猫の体内に蓄積されている可能性があります。
焦げたものほどアクリルアミドが高濃度
有害物質の中でもとくに発がん性があるとされるのがアクリルアミドです。
農林水産省の実験では、加熱温度が高ければ高いほど、加熱時間が長ければ長いほど、アクリルアミドの濃度が高いという結果が出ました。
下記は、トーストの焼き時間によるアクリルアミド濃度です。
引用元:アクリルアミドを減らすために家庭でできること|農林水産省をもとに作成
猫の手作りごはんは蒸す・茹でる・煮る
蒸す・茹でる・煮るといった水を使った加熱調理であれば食材が120℃を超えないため、アクリルアミドはほとんど生成されません。そのため、猫の手作りごはんに取り入れるときは焼きやグリルではなく、蒸す・茹でる・煮るがおすすめです。
焦げた食べ物を食べると起こる健康問題
有害物質の過剰摂取・長期的摂取はがんを発生させる要因となり、とくに猫は人と比べて体が非常に小さいため、一度の摂取が少量でも長期的となると悪影響を及ぼす恐れがあります。
とくに子猫や高齢猫は消化器官が弱いため注意が必要です。
嘔吐や下痢
焦げた食べ物は消化に悪いため、胃腸に大きな負担となります。下痢や嘔吐、消化不良などの消化器症状があらわれることがあります。
口腔内を傷つける
食べ物は焦げると非常に硬いため、食べると歯や歯茎などを傷つけ、炎症や損傷を発生してしまう恐れがあります。
発がん性
有害物質には発がん性があるとされているため、焦げた食べ物を長期間にわたって摂取することはがんの発生率が高まるリスクも懸念されます。
焦げた食べ物を食べたときの対処法
焦げた食べ物を食べたのが少量であれば体調に問題はあらわれないですが、その後の猫の様子は注意深く観察しましょう。
嘔吐や下痢、食欲不振、元気消失などの症状があらわれた場合はできるだけ早く獣医師さんに相談してください。
まとめ
- 有害物質は120℃以上の高温加熱で生成される
- アクリルアミドはIARCの発がん性物質においてグループ1に分類される
- 有害物質の長期的な摂取はがんの発生率が高まる
- 猫の手作りごはんでは食材は蒸す・茹でる・煮る