猫に多い巨大結腸症(メガコロン)とは?原因と症状、対処方法、治療費用について

鈴木さん
猫に多いと言われる「巨大結腸症」はどんな病気なんでしょうか?
猫田
巨大結腸症は、結腸が異常に拡張する病気です。猫の重症度によっては、大手術が必要になったり、治療後のケアや療養も難しく、悩まれている飼い主さんも多くいらっしゃるかと思います。

猫の巨大結腸症とは

巨大結腸症(Megacolon)とは、慢性的な便秘や排便障害によって結腸(colon)が異常に肥大してしまった状態で、猫に多く見られる病気です。

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巨大結腸症は、排便されず腸にたまった便が、大腸の一部である結腸を押し広げることで太くなり、便がたまって便秘を引き起こし、また腸を拡大させる、という悪循環を繰り返します。

腸の拡張すると腸の筋肉や神経が退化し、また蠕動運動が麻痺して正常な排便が行われなくなっていきます。

猫の巨大結腸症の原因

特発性巨大結腸症

特発性巨大結腸症は、結腸自体の機能障害によって引き起こされる巨大結腸症で、重度の便秘を引き起こしている猫の原因の62%が特発性巨大結腸症と報告されています。

原因は不明のため、根本的な治療や回復が難しいとされており、軽度の便秘から重症化しやすい特徴があります。

続発性巨大結腸症

続発性巨大結腸症は、何らかの原因疾患によって二次的に引き起こされる巨大結腸症で、23%が骨盤狭窄(骨盤が狭くなる)によるものと報告されています。

他にも、骨盤骨折やヘルニア、手術による合併症や腫瘍、他の病気が原因で併発する場合もあります。

このため、もともと便秘しやすかった猫が、怪我や病気などをした時は巨大結腸症を引き起こしやすくなるので、普段の愛猫の食事管理、また便の様子や回数などを細かくチェックする必要があります。

猫の巨大結腸症の症状

巨大結腸症の症状として代表的なのが便秘で、排便が毎日ではなくなったり、排便時に苦しそうにする、時間がかかるなどの排便困難や、猫の腹部あたりに便がたまって膨張するなどの症状が見られます。

  • 便秘
  • 排便困難
  • 腹部膨張
  • 嘔吐
  • 元気減少
  • 活動量低下
  • 食欲不振
  • 体重減少

重症化すると、嘔吐や活動量の低下、また食欲不振、体重減少などが確認され、放置すると腸閉塞を併発し、最悪の場合、死に至ることもあるので、単なる便秘と放置しないことが重要です。

猫の巨大結腸症の検査・診断方法

巨大結腸症の診断は難しくはなく、腹部の触診やレントゲン(X線)検査によって診断されます。それだけでは分からない場合、超音波検査やCTなども利用します。

猫の巨大結腸症の治療方法

巨大結腸症の治療は、重症度と原因によって異なります。

軽度の治療

ひどい便秘くらいの軽度な場合は、食物繊維の含有量が多いフードや、便秘気味の猫に向けに配慮されたフードへ切り替えて様子を見ます。

中程度の治療

中程度の場合は、浣腸、投薬(経口・座薬・蠕動運動の亢進薬)などを行い、その上で普段の食事の改善も行います。原因となっている疾患の改善などの治療も同時に行います。

もし便が固まって浣腸や投薬で排便ができない場合は、「用手排便」を行います。用手排便とは、全身麻酔をかけ、肛門・直腸から水の注入、また腹部を圧迫するなどして便を柔らかい状態にして直腸まで移動させ、便を取り出す方法になります。

重度の治療

重度の巨大結腸症の場合は、座薬や浣腸では排便できないほど固くなって用手排便でも難しいことが多いため、外科手術によって便の除去や結腸の切除を行います。

骨盤狭窄や骨盤骨折が原因の場合は、骨盤腔を広げる手術や、歪んで完治した骨盤を整える手術を行うケースもあります。

結腸切除によって便を取り除いた後は、再発防止のために下剤や経口薬などを使用した投薬を行います。

治療にかかる費用

検査や猫それぞれの重症度による治療方法の違い、完治までの期間や原因疾患などによって治療費は異なります。

軽度の治療費

軽度であれば診察料やフードの指導、薬代くらいなので、検査・診察代など含めて1万円~くらいに抑えられます。

巨大結腸症か判断する場合に、触診以外にレントゲン検査や超音波検査など複数の検査を行うと、それぞれに2,000~5,500円の検査費用がかかります。

中程度の治療費

中程度以上になると、検査や診察に加え、投薬や用手排便の費用がかかります。

用手排便には全身麻酔が必要になるので、+2~5万円以上で見積もっていた方がいいかもしれません。

また治療後もしばらく投薬や診察に通う必要が出てくるので、その後の通院費等もかかる可能性があります。

重度の治療費

重度の巨大結腸症になると、浣腸や投薬、用手排便、結腸の切除手術など様々な治療が必要になるので、治療費は10万円以上になることが多いです。

また、術後も必要に応じて定期的な通院、投薬などで月何万円の出費になる場合があります。

治療後の予後、治療後の食事管理

手術や治療後は、食事の改善を行って様子を見ていく流れになると思います。

便秘が多い猫には、便秘や腸内環境に配慮したプレバイオティクスや食物繊維源が豊富な製品や、乳酸菌などのプロバイオティクスを配合したキャットフードに切り替えるよう獣医師さんから指示されるかもしれません。

まとめ

以上、今回は猫がかかりやすいとされる巨大結腸症について、原因や症状から治療方法・治療費をご紹介しました。

  • 猫の巨大結腸症は慢性的な便秘や排便障害で起こる
  • 猫の結腸が拡大・肥大化し、太くなった状態
  • 慢性的な便秘や、骨盤骨折・ヘルニア、骨盤狭窄などが原因
  • 投薬や浣腸、用手排便、外科手術などを行う

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。日本化粧品検定協会会員。