キャットフードのGMP認証とは?高品質で安心安全なフードを選ぶために知っておきたいこと

キャットフードのGMP認証とは?高品質で安心安全なフードを選ぶために知っておきたいこと

キャットフードを選ぶとき、原材料や成分表だけでなく「GMP認証」という表記に注目したことはありますか?

「GMP認証」とは、製造品質の高さや安全性の証明ともいえる重要な基準です。この記事では、GMP認証の定義やキャットフードにおける安全性、どのような製品を選ぶべきかについて解説します。

GMP認証とは

安全性の確保における国際的なルール

GMPとは「Good Manufacturing Practice(適正製造規範)」の略称で、医薬品や食品、健康食品、動物用医薬品などの製造において「安全かつ一定の品質を保つための製造工程管理基準」のことです。

GMPはアメリカのFDA(食品医薬品局)が発祥で、品質のばらつきや汚染による健康被害が社会問題になったことがきっかけとなり、1963年にGMPのガイドラインを制定しました。その後、医薬品だけでなく食品や化粧品、サプリメント、動物用製品などにも応用されるようになり、GMPの導入は世界的にも義務化や自主的な取り組みとして広がりを見せています。日本では、事業者自らが導入するための指針として2015年に定められました

GMPの3つの基本要件

このGMPには以下のような3つの基本的な考え方があります。

  1. 人為的な誤りを最小限にすること
  2. 汚染及び品質低下を防止すること
  3. 高い品質を保証するシステムを設計すること

つまり、GMP認証を取得したペットフード工場や製品は「一定の品質が確保されている」「信頼性が高い」ことを意味します

参考:健康食品の安全性の確保施策|厚生労働省

キャットフード業界におけるGMP認証

義務ではなく、自主的な取り組み

近年、食品の安全確保に関しては、従来の最終製品の検査を中心とする考え方から、HACCP等の工程管理に重点を置いた考え方に変化しており、フードチェーンの一端を担う飼料についても、事業者自らが、原料段階から最終製品までの全段階においてこのような手法を導入し、飼料の安全をより効果的かつ効率的に確保していくことが重要です。

引用:飼料等の適正製造規範(GMP)ガイドラインの制定について|農林水産省

人間の食品や医薬品においては、GMPは法的にも厳しく規定されており、違反すれば回収や行政処分の対象となります。

一方、ペットフードにおけるGMPは国によって位置づけが異なり、日本では「法的義務ではなく、自主的な品質管理の一環」として導入されています

GMP認証のキャットフードの見つけ方

GMP認証のあるキャットフードを見つけるには、以下のポイントに着目してパッケージや公式ホームページを見てみましょう。

  • 「GMP認証取得工場で製造」などの記載があるか
  • 製造工場名や国名が明記されているか
  • 日本語表記がなくても、「Good Manufacturing Practices」や「Made in GMP certified facilities」などの文言があるか

GMP認証がキャットフードに与える安心感

キャットフードがGMP認証を受けているかどうかは、以下のような点で飼い主にとって大きな意味を持ちます。

製造時の安全性が確保されている

GMP認証工場では、原材料の受け入れから製品出荷に至るまで、すべての工程で厳格な基準が敷かれています。例えばサルモネラ菌などの微生物管理、異物混入防止、温度・湿度管理なども徹底されています。

これにより、「キャットフードの袋を開けたらカビ臭かった」「腐敗していた」「金属片が混入していた」といったリスクを大きく減らすことができます

成分のばらつきが少ない

キャットフードは猫の健康を維持する栄養バランスが重要です。GMP基準では、栄養成分の均一性や配合ミスがないよう製造記録の管理がされており、毎回の製造ロットで成分のバラつきが少ないというメリットがあります。

例えば「タンパク質〇%」と表記されていても、GMP認証のない工場ではそれが安定して保証されているとは限りません。GMP認証があることで、常に「期待する高品質」が保たれているという安心感があります。

アレルギーや疾患を持つ猫にも対応できる品質

食物アレルギーや腎臓病、尿路疾患などの猫にとって、成分のわずかな違いや不純物が体調を大きく左右することがあります。そのため、療法食やアレルゲン除去キャットフードを製造するには、GMPレベルの徹底した管理が求められます。

実際、多くの獣医師推奨の療法食はGMP認証工場で製造されており、それが選ばれる理由の一つとなっています。

GMP認証とその他の認証の違い

キャットフードには、HACCPやISO認証などさまざまな品質保証マークがあります。

その中でも、GMP認証は工程全体に対する「製造品質そのもの」を保証するため、「GMP認証がある=製造工程の信頼性が高い」という評価につながります。

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GMP認証がないキャットフードはダメ?

GMP認証がないからといって、そのキャットフードが必ずしも危険というわけではありません。メーカーによっては、製造委託先の選定や独自の管理体制で高品質を保っているケースもあります。

ただし、「明確な品質管理情報を開示していない製品を安易に選ばないこと」が大切です。とくに健康管理が必要な猫や、長期間にわたって与える主食として選ぶ場合は、製造管理の透明性を確認する意識が求められます。

まとめ

  • GMP認証とは製造工程で品質と安全性を確保するための基準
  • 汚染や成分ばらつき、誤配合などのリスクを防ぐ仕組み
  • GMP認証製品は、成分や衛生の管理体制が保証されている
  • 「GMP認証あり」は飼い主が安心して選べる品質保証の目安

ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士の資格を取得。キャットフード勉強会ディレクターとして、猫ちゃんの栄養や病気、生態、キャットフードなどの情報を提供しています。猫ちゃんの魅力を発信し、飼い主さんの悩みや不安を解決することで、猫ちゃんと飼い主さんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。