キャットフードの原材料:大根(radish)
大根(radish)はアブラナ科大根属に分類され、スーパーで年中手に入る野菜です。主な旬は秋~冬で、この時期はとくに甘みが増すといわれています。
大根の根の部分はビタミンB群やビタミンC群、食物繊維、カリウムなどが含まれています。葉の部分は根の栄養素に加えビタミンAやビタミンE、ビタミンKなどが含まれ、栄養価が高い野菜です。
猫にとって有害となる成分が含まれていないため、根も葉も食べることができます。適正量や与える方法を正しく守れば、猫にとって嬉しい栄養素を摂取することができます。
大根の栄養素と猫におけるメリット
水分補給におすすめ
もともと猫は砂漠地帯出身の動物で、水を飲むという習慣があまりありません。しかし水分不足が続くと、膀胱炎や結石などの尿路系の病気や腎疾患、脱水症状などを発症する恐れがあります。
そこで、水分が多く含まれている大根は水分補給として活躍できる野菜といえます。とくに大根の根の部分は水分量が約95%なので、普段あまり水を飲みたがらない猫に与えるのがおすすめです。いつものキャットフードに少しずつ大根を入れるようにしましょう。
カリウムが利尿作用を促し、毒素を排出
大根に含まれるカリウムの利尿作用によって余分なナトリウムを尿として排出することで、血圧を適正に維持することができます。また尿と一緒にカルシウムが排出されてしまうのを防ぐため、脳卒中や骨粗しょう症の予防に期待できるといわれています。
大根のカリウム量は生のものと茹でたものを比較すると、生の方がカリウム量が多いことが分かりました。
下表は、大根100gあたりのカリウム量(mg)です。
葉 | 生 | 400 |
ゆで | 180 | |
根 | 皮つき・生 | 230 |
皮つき・ゆで | 210 | |
皮なし・生 | 230 | |
皮なし・ゆで | 210 | |
大根おろし | 190 |
※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
カリウムは水溶性なので、茹でると水に溶けだす性質を持っています。そのため、カリウムの消失を抑えてしっかりと摂取するためには、大根おろしで与えることがおすすめです。
ビタミンCは抗酸化作用がある
ビタミンC(アスコルビン酸)は強い抗酸化成分によって活性酵素を除去することで細胞が酸化するのを防ぐ働きを持つため、老化の進行を抑えることができます。
またビタミンCはコラーゲンを生成することができるため、関節やけがの治癒力の向上、皮膚や粘膜を健康維持、口内の病気の予防にも期待できます。
猫は肝臓内でビタミンCを生成することができる動物なので、基本的に大根からビタミンCを摂取する必要はありません。しかし年齢を重ねると生成機能が落ちてくるため、不足している分を少しでも補うために定期的に大根を与えると良いでしょう。
イソチオシアネートは血液をサラサラにする
イソチオシアネートとは大根をすりおろしたときにできる辛味成分のことで、根や葉自体には含まれていません。解毒作用の効果があるため、がん予防に期待できます。また血液をサラサラにして動脈硬化を予防します。
大根の注意点や危険性
大根の与え方
大根の根の部分は、栄養を損なわないために生のまま与える方がおすすめです。皮をむいて細かく刻んだり、大根おろしにしましょう。しかし葉の部分は生のままだと消化に良くないので、細かく刻んだあとに柔らかくなるまで茹でるようにしましょう。
猫におやつやトッピングとして与える場合、「細かく刻んだものを小さじ1程度」が適量です。毎日与える必要はありません。毎日のフードをしっかりと管理し、適量を与えるようにしましょう。
大根を初めて与えるときは、食べたあとの猫の様子を確認してください。下痢や嘔吐、アレルギー症状などの異変を少しでも感じたら、動物病院で相談するようにしましょう。
カリウムの過剰摂取は高カリウム血症を引き起こす
猫はカリウムを過剰に摂取しすぎると腎臓に負担がかかります。とくに腎臓病を患っている場合はカリウムを十分に排出することができず、高カリウム血症になる恐れがあります。嘔吐や四肢のしびれ、筋力の低下などの症状も引き起こし、最悪の場合は命を落とすこともあります。
腎臓病を患っている、また心機能が低下している猫には、カリウムが含まれている大根は与えないようにしましょう。
イソチオシアネートの過剰摂取は胃腸を刺激する
イソチオシアネートを過剰に与えると、辛味成分によって胃腸を刺激してしまいます。大根の先端近くに多く含まれているので、猫に与える場合は葉に近い部分をすりおろすようにしましょう。
大根を与えるときはトッピング程度で
大根は栄養が豊富ですが、たくさん与えれば良いというわけではありません。大根はカロリーが低いため、カロリーはそんなに摂取していなくても水分や食物繊維の取りすぎとなる恐れがあります。
とくに猫は野菜の消化が苦手なので、消化不良を引き起こすことがあります。大根から栄養を多く摂取するというよりは、いつものフードにトッピングという形で与えましょう。
まとめ
- 大根は栄養価の高い野菜で、猫が食べてもOK
- 水分補給におすすめだが、過剰摂取に注意
- 大根の与えすぎは高カリウム血症や消化不良の恐れがあるので注意が必要
- 根の部分は大根おろし、葉の部分は茹でるのがおすすめ
- 大根はいつものフードにトッピング程度で