キャットフードの原材料:昆布(Kombu、Kelp、Sea Weed)
古くからうま味成分の出汁をとるために使われてきた食材
日本では、古くから出汁をとるために幅広く使われてきた昆布。味の素やだしの素などにも植物由来で昆布等に含まれる成分が使われています。
昆布とは、不等毛植物門褐藻綱コンブ目コンブ科に属する海藻を言います。コンブ科に属する海藻でも、他の名称で呼ばれるものもあるので、昆布の特徴として葉が長細く食用として食べられてきた種類が一般的に昆布と呼ばれているようです。
キャットフードでもたまに昆布が配合された製品を見ることがありますが、国産キャットフードで見る機会が多いように思います。また、海外産でも、たとえばSee Weed(海藻)のように海藻類として配合されていることもあります。
昆布出汁とかつお出汁との味の違い
かつお節で取った出汁ほど風味は強くありませんが、昆布出汁はじんわりとした旨みを感じさせてくれます。あっさりとした味わいで、素材の味を邪魔することがないため、様々な料理に合わせやすいメリットがあります。
また、他の出汁と組み合わせると、相乗効果で旨味がアップすることが分かっているため、昆布と鰹の両方を配合するキャットフードも見られます。
昆布の栄養成分
昆布の主な成分は炭水化物で、特に水溶性食物繊維が豊富に含まれています。水溶性食物繊維は、善玉菌の餌となって腸内環境や便通を整える整腸作用があります。
炭水化物 | 57g | |
タンパク質 | 8g | |
脂質 | 2g | |
ミネラル | カルシウム | 760mg |
マグネシウム | 540mg | |
鉄分 | 2.4mg | |
ナトリウム | 2,700mg | |
カリウム | 5,300mg | |
カロリー | 137kcal |
第6の味覚のアミノ酸系うま味成分「グルタミン酸」が豊富
昆布には、第6の味覚「旨味」を感じさせるアミノ酸系うま味成分「グルタミン酸」が豊富に含まれています。
猫は味覚器官(味蕾)の数が犬や人よりも少なく、甘味や塩味は感じにくいとされていますが、アミノ酸への感受性は非常に高く、猫はアミノ酸系のうま味成分を人より敏感に感じ取ることができることが分かっています。このため、昆布のようなうま味成分が豊富な食材は嗜好性アップにもつながると考えられます。
また、グルタミン酸は小腸で栄養を吸収するじゅう毛の栄養となり、腸の働きをサポートする働きもあります。
グルタミン酸の効果や働きについては、下記のグルタミン酸ナトリウム(添加物)の記事でも詳しく紹介していますので、気になる方はチェックしてみてください。
ヨウ素が豊富
昆布には必須ミネラルの一つ「ヨウ素」が大量に含まれています。ヨウ素は海水に豊富に含まれる栄養素なので、昆布のような海の食べ物に豊富に含まれています。
ヨウ素は甲状腺ホルモンを構成する成分として必要不可欠で、代謝を活性化させたり、抗腫瘍作用がある他、子猫の細胞分化を促すため、特に妊娠期の母猫や成長期の子猫に多く必要な成分です。
猫に昆布を与える場合
ダシをとって与える、やわらかくして与える
乾燥昆布はそのまま与えると固くて消化されにくいため、ダシをとる時と同じ要領で、昆布を茹でて出たスープを与えたり、茹でて柔らかくなった昆布を与えるなどの方法があります。
旨味成分のグルタミン酸は出汁に沢山含まれるので、嗜好性アップを目的とするなら、だし汁がおすすめです。キャットフードをふやかしたり、おやつや水分補給など様々な場面で利用できるかと思います。出汁を取る昆布はなるべく無塩のものが望ましいです。
また、水溶性食物繊維は昆布自体に含まれる成分なので、冷まして少量与えれば、食物繊維も摂取することができます。乾燥昆布の場合はそのまま与えると固くて消化がされにくいので、茹でて与えるか、もしくは無塩のとろろ昆布など柔らかいものを用意してもいいかもしれません。
いずれも塩分過多にならないように原材料や成分をチェックしてから与えましょう。
昆布を与える時は給与量に注意して与え過ぎないようにする
甲状腺機能亢進症や神経障害、塩分過多を引き起こす
昆布にはビタミンやミネラル、うま味成分など重要な栄養素が多く含まれていますが、食べ過ぎると特定の栄養素が過剰となって、様々な問題を引き起こします。
ヨウ素を摂り過ぎると、猫の甲状腺にヨウ素が増えてホルモンが分泌されすぎる「甲状腺機能亢進症」を引き起こす可能性があります。また、先ほども話したように海の食べ物には塩分が多少含まれますので、摂り過ぎは塩分過多の原因になります。
さらにグルタミン酸も摂り過ぎれば神経系に障害を起こす可能性が報告されているので、嗜好性が高く良い食材であっても与える量には注意しましょう。
まとめ
- 昆布にはうま味成分が豊富
- スープやそのまま与えてもOK
- 与え過ぎに注意