キャットフードのリステリア菌汚染
リステリア菌とは
リステリア(Listeria)とは、河川水や動物の腸管内などに広く存在する細菌のひとつです。
日本では食品中からの菌数も非常に少なく、リステリア菌による食中毒の報告例はありませんが、欧米では乳製品や食肉加工品、魚介類加工品、サラダなどでリステリアによる集団食中毒が発生しています。
感染源は海外産の生の冷凍ペットフードが多い
リステリア菌汚染によってリコールされたペットフードについても、海外産で生の冷凍ペットフードがほとんどです。
近年、海外を中心に非加熱の生食(ロウフード)が注目されていることもあり、海外のペットフードではリステリア菌汚染によるリコール(自主回収)製品が増えています。
日本では普段から生肉を与える方は少ないですが、日本は常に欧米流行の後追い傾向にあり、SNSでも生肉を与えている方は確認できるので、今後、生肉が流行した時に特に注意が必要になってくるかもしれません。
猫から人に、人から猫に感染する?
人から猫については分かっていませんが、犬や猫から人への感染例はほとんど確認されていません。
このため、犬や猫がリステリア菌に感染しても無理に接触を断つ必要はないとされています。
リステリア菌による食中毒の症状
- 元気減退
- 食欲低下
- 脳炎
- 平衡感覚の失調
- 旋回運動
- 咬筋や舌の麻痺
- 高熱
- 敗血症
- 腸炎
感染しても保菌するだけで発症しない場合は無症状のまま過ごせることもありますが、リステリアに感染し発症すると上記のような神経症状や体調不良が見られます。
下記はリステリア菌による人の食中毒への注意喚起ですが、細菌が延髄にまで到達しリステリア症に発展すると脳炎を引き起こすると、昏睡状態により死亡する可能性も0ではありません。
特に妊娠期・シニア・免疫不全の猫は重症化する可能性があるので、生の冷凍肉や非加熱の手作りごはんは避けるのが無難です。
気をつけていただきたい方 ~妊婦、高齢者は注意が必要です~
妊婦、高齢者や免疫機能が低下している方(抗がん剤治療中やHIVエイズの方など)は、少量のリステリアでも発症し、敗血症や髄膜炎など重篤な状態(リステリア症)になることがあり、海外では死亡例も確認されています。
特に、妊婦が感染すると、リステリアが胎盤や胎児へ感染し、流産や生まれた新生児に影響がでることがあります。
(平成22年、アメリカでカンタロープ(メロンの一種)を原因食品とするリステリア食中毒が発生し、33名の方が亡くなられました。また、患者の多くは60歳以上でしたが、1名の女性患者は流産したと報告されています。)
リステリア菌汚染でリコールになったキャットフード
- Blue Ridge Beef
- Sunseed Sunsations, All Living Things and more
- Columbia River Natural Pet Foods
- G&C Raw, Kim’s Special, Pat’s Cat
- Rad Cat
- G&C Raw, more
まとめ
- 欧米の生の冷凍フードではリステリア菌によるリコール件数が多い
- 発症すると食欲低下や脳炎、神経症状が見られる
- 猫から人への感染例はほとんどない