

猫はたんぱく質からエネルギーを取り出す
主原料を肉か魚か決めるにあたって、「エネルギー源になる炭水化物が主原料でなくていいのか?」と考える人もいるかもしれません。
猫以外は主に炭水化物からエネルギーを取り出すのに対し、猫の内臓はたんぱく質からエネルギーを取り出せる作りになっています。つまり猫にとって炭水化物は大して必要ではないということがわかり、猫は肉以外のものは草食動物の内臓から消化しかけの植物をとる程度で、肉や魚をメインに摂取することで生きていくことができます。
なぜ日本では「猫は魚が好き」と考えられている?
日本は魚がよく獲れたから
日本は島国で、魚が豊富にとれることが猫の食生活やイメージに大きく影響しています。
猫が餌を求めて行動する時、港では商品にならない多くの魚を猫に与えていました。これによって猫が集まってくるようになり、親猫が食べているのを見て、子猫も食べるようになり、このループが続いていきます。猫は警戒心の強い生き物なので、一度食べて大丈夫だと認識した食べ物を積極的に食べる傾向にあります。
反対に鶏や牛、豚の肉を猫に与える習慣は日本ではありません。
このことが日本では猫は魚が好きと考えられるようになった理由です。
イタリアではパスタ、アメリカではピザ
世界の国々では、例えばイタリアでは猫はよくパスタを食べるそうですし、アメリカやオーストラリアではピザをよく食べるそうです。日本では考えられないことのようですが、このようにその国でよく食べられているものを食べる傾向にあります。
猫にとっての動物の肉と魚の違い
肉が主原料のキャットフード
猫にとってもっとも重要な栄養素はたんぱく質ですが、肉には良質なたんぱく質が豊富で、猫のしなやかで強い体作りには非常に大切な栄養素です。また猫はたんぱく質をエネルギーとしても使うため、多くのたんぱく質が必要になります。肉にはこのたんぱく質が多く含まれていて猫にとって最も適した食べ物ということになります。
日本猫に肉と魚をお皿を分けて与えると、多くの日本猫は肉の皿に向かったという話もあります。
ただし、日本で暮らす猫のように、あまり家から出ない運動不足の猫は、肉が多い食事だと脂肪が多くなりがちで肥満の原因になることもあります。
魚が主原料のキャットフード
魚からも十分なたんぱく質を摂取することができます。肉との大きな違いは多価不飽和脂肪酸が多く含まれている点で、中でもオメガ3が非常に多く含まれています。
オメガ6とオメガ3のバランスは5:1~10:1程度がよいとされていますが、魚が主原料のキャットフードではこのバランスが崩れているキャットフードが多く、注意が必要です。オメガ6は炎症を誘発する作用、オメガ3は炎症を抑える作用があり、ふたつのバランスがとれていることが猫にとっての健康が保たれる状態を作ることができます。
肉と魚。猫にはどちらがいい?
もしキャットフード選びで肉か魚か迷った場合には、愛猫が好きな方を選ぶことをおすすめします。
大切なのは、「猫は魚が好き」という固定観念にしばられないことです。
猫の体質や年齢、運動量、嗜好を考慮したうえで、実際に愛猫がどちらをよく食べ、食後に体調を崩さず健康的に過ごせているかを観察しましょう。
肉にしても魚にしても、注意するべき点があるのは同じなので、それらをチェックして愛猫に問題がなさそうなキャットフードを与えるようにしましょう。

まとめ
- 猫は炭水化物でなく、たんぱく質からエネルギーを得る
- 「猫=魚好き」は日本の文化的背景で、本来は肉を好む傾向
- 肉は高品質なたんぱく質源で、体作りや活力維持に適している
- 魚はオメガ3脂肪酸が豊富だが、含有バランスが重要
- 肉か魚かの絶対解はなく、愛猫の好みや体質で選ぶことが大切