猫にタマネギは危険!溶血性貧血など中毒症状を引き起こす。致死率、治療方法を解説

キャットフード タマネギ
鈴木さん
猫にはタマネギを与えるのはNGというのは有名ですが、どうして人は食べられるのに猫は食べられないんですか?そこまで危険なのでしょうか。
猫田
猫だけでなく、人以外の哺乳動物の多くはネギ科の食べ物を食べることができません。もしタマネギを食べてしまうと、最悪の場合、愛猫が亡くなってしまう可能性もあるので、一緒に生活する上では特に注意しなければなりません。

猫にタマネギは絶対与えてはいけない

猫にはタマネギを与えてはいけません。人にとってタマネギを食べてもなんら問題はなく、むしろ健康にも良い食材として知られていますが、犬や猫にはとても危険な食べ物です。

環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」の避けたい食材・注意が必要な食材にも真っ先にタマネギが挙がっています

タマネギ キャットフード画像引用元:環境省 – 飼い主のためのペットフード・ガイドライン

タマネギに含まれる中毒物質は分解されにくいため、生のタマネギ、加熱したタマネギ、すり潰したタマネギ、煮汁、いずれも猫に与えてはいけません。このため、しっかりと加熱や乾燥を行うキャットフードでも、タマネギを使用した製品はないと断言していいでしょう。

ただ、キャットフードに入っていないから安心というわけではなく、タマネギは、カレーやハンバーグ、味噌汁や煮汁など日常的に料理にも含まれるので、たとえば人のごはんを食べたがる猫や、料理中に猫が飼い主さんの足下にいる場合は特に注意が必要です。

また、タマネギに含まれる中毒物質は、ネギやニンニク、ニラなどにも含まれているのでタマネギと同様、与えないようにしましょう。

猫のタマネギ中毒の症状

溶血性貧血など中毒症状が現れる

タマネギ中毒によって溶血性貧血、茶色がかった血尿(ヘモグロビン尿)、下痢・嘔吐、息切れや食欲不振、発熱など様々な症状を引き起こします。症状が出始めるのは、タマネギを食べてから半日~数日後なので、タマネギを食べた直後は症状が全く見られない場合もあります。

  • 貧血
  • ヘモグロビン尿
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 粘膜蒼白
  • 息切れ
  • 黄疸
  • 食欲不振

中毒量はおよそ15g/kgBWとされており、4kgの猫の場合、4倍の60gのタマネギを食べると中毒になるとされていますが、個体や摂取の仕方によって中毒の症状を示す量は異なります。少量でも重症になってしまう場合もあるので、明言はできないようです。

有機チオ硫酸化合物が原因

タマネギによる中毒症状として代表的な溶血性貧血は、赤血球中のヘモグロビンが破壊されることによって起こります。

タマネギを始めとするユリ科ネギ属の植物(ニンニク、ネギ、ニラなど)にはアリルプロピルジスルフィド(allyl propyl disulfide)」という有機チオ硫酸化合物が含まれており、この物質が赤血球のヘモグロビンを酸化させることで、タマネギ中毒を引き起こします。

ヘモグロビンがハインツ小体に変化してしまった赤血球は、犬の脾臓や細網内皮系組織で破壊され、溶血による赤血球の急激な減少と貧血を引き起こします。

猫がタマネギを食べた時の治療方法

猫がタマネギを食べてしまったらすぐに動物病院に連れて行き獣医師に診察や検査などをしてもらいます。

飲み込む前や食べた直後~1、2時間ほどならタマネギを吐かせますが、もし食べて時間が経ってしまっている場合は血液検査や尿検査などを行い以下の治療法が用いられます。

  • ビタミン剤投与
  • 点滴
  • 投薬
  • 輸血

ビタミン剤(抗酸化剤)や投薬などを行い、重度のタマネギ中毒の場合には血が足りない状態になっているので輸血なども行われます

タマネギ(Onion)について

タマネギ(玉葱)はユリ科ネギ属の野菜で最古の栽培植物の一つです。ハンバーグやタルタルソース、ミートソース、カレー、サラダ、ドレッシング、オニオンフライなどなど様々な料理に使用されてきました。

原産は中央アジアとされていますが日本でタマネギが食べられるようになったのは西洋文化が入ってからですが、明治時時代以降には、味噌汁や親子丼、肉じゃが、かき揚げなど和食でも幅広い料理に使われるようになりました。

まとめ

  • タマネギは犬や猫にとって危険
  • 溶血性貧血、下痢や嘔吐、息切れ等を引き起こす
  • 食べてしまったら動物病院へ連れて行く

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。