キャットフードの原材料:ゴマ(Sesame)
ゴマ(胡麻:Sesame)は、猫が食べても問題ない食べ物です。食品や料理では香り付けを目的にゴマがよく使用されますが、ゴマにはセサミンなど栄養的にもたくさんの魅力があり、キャットフードではゴマそのものや、ゴマの油分のみ抽出したごま油をつかったフードも多く販売されています。
手作り食やおやつ、トッピングとしてもおすすめで、粒が小さく栄養バランスに影響を与えにくいため使いやすい食材と言えます。
また、ゴマは種まきからおよそ3ヶ月程度で収穫できるので生産性が高く、また強くたくましく育てやすいので農薬使用や品種改良が少なく、より自然な状態で栽培が可能です。
- 犬猫生活(ゴマ油)
- ミャオグルメ(フレッシュフード)
- ユニアム(フレッシュフード)
- Forema Basis
ゴマは最近人気の冷凍フレッシュタイプのフードへの使用がよく見られます。フレッシュフードは食材本来の風味を残しやすいため、ゴマのような香りの良い食材も使用されています。
ゴマの栄養素
成分(100gあたり) | ゴマ | ごま油 | 炒りごま | 練りごま |
---|---|---|---|---|
タンパク質 | 19.8g | 0g | 20.3g | 19g |
脂質 | 51.9g | 100g | 54.2g | 61g |
炭水化物 | 18.4g | 0g | 18.5g | 15.6g |
オメガ6脂肪酸 | 22.3g | 40.88g | 23.28g | 24.56g |
オメガ3脂肪酸 | 0.15g | 0.31g | 0.15g | 0.21g |
カルシウム | 1200mg | 1mg | 1200mg | 590mg |
銅 | 1.66mg | 0.01mg | 1.68mg | 1.5mg |
モリブデン | 92μg | - | - | 150μg |
ビタミンB1 | 0.95mg | - | 0.49mg | 0.32mg |
カロリー | 578kcal | 921kcaL | 599kcal | 640kcal |
ゴマには、オメガ6脂肪酸(不飽和脂肪酸)やカルシウム、モリブデンなどのミネラルが豊富に含まれています。
ゴマの栄養素の中で、最も多くの割合を占めているのは脂質です。特に油分のみを抽出しているごま油は100%脂質で、炒りごまは普通のゴマと栄養素にそこまで違いはありませんが、炒りごまの方が先に火を通している分、消化しやすいなどの特徴もあります。練りゴマはすり潰したゴマとゴマ油を混ぜてつくるため、通常のゴマよりややカロリーが高くなります。
また、ゴマは白ゴマ、黒ゴマ、黄ゴマなどの種類があり、白ゴマの方が脂質は多く、黒ゴマの方が香りが強い傾向にあります。
猫におけるゴマの効果や作用
ゴマリグナン(セサミン、セサミノール)の抗酸化作用
ゴマには「ゴマリグナン」と呼ばれるセサミンやセサミノールなどが豊富です。
セサミンやセサミノールには、抗酸化作用やコレステロールの増加抑制また脂肪酸の代謝促進や肝機能を高める効果や作用が報告されています。
ゴマ油の肝臓と腎臓に対する病理的変化への改善・保護効果
引用元:シペルメトリンによってラットの腎臓および肝臓に誘発される遺伝的および組織病理学的変化: ゴマ油による保護
(一部抜粋)この研究は、ウィスターラットの肝臓と腎臓においてシペルメトリン(CYP)によって誘発される遺伝子変化に対するゴマ油(SO)の保護効果を調べることを目的としました。(中略)結論として、SOは、CYPによって肝臓と腎臓に誘発される変化や病理学的変化に対して、遺伝的および組織学的レベルで保護する効果があります。グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、カタラーゼ、およびスーパーオキシドジスムターゼの発現を下方制御します。さらに、SOとCYPの同時投与は、腎インターロイキン(IL-1およびIL-6)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)、アニゴテンシノーゲン(AGT)、AGT受容体(AT1)、肝臓のグルコースおよび脂肪酸代謝の遺伝子。CYPは腎臓と肝臓の組織構造に変性変化を引き起こしましたが、SOによって改善されます。
ゴマ油(SO)の保護効果を調べることを目的とした研究では、ラットに対して合成殺虫剤を投与したところ、アルブミンや尿素、クレアチニン、GPT、GOT、脂質プロファイルなどの増加が示されましたが、合成殺虫剤とゴマ油を同時に投与したグループでは、ゴマ油によって肝臓と腎臓に誘発される変化を正常化し、肝臓と腎臓におこった病理的変化に対して改善・保護される効果が確認されました。
オメガ6脂肪酸の血中コレステロール低下や脳の認知機能改善
オメガ6脂肪酸は不飽和脂肪酸のひとつで、リノール酸やアラキドン酸などが挙げられます。オメガ6脂肪酸は血中コレステロールの低下や脳の認知機能を改善、また脳の働きを活発にしたり、皮膚や被毛の健康維持にも必要不可欠な栄養素です。
猫にゴマを与える時の注意点
ゴマを使用したお菓子や調味料は注意
ゴマ自体は猫にとって悪いものではありませんが、ゴマを使用したごまドレッシング、ごましお、ごませんべいなどは、猫には与えてはいけません。
ゴマを使用した加工食品(お菓子や調味料)は、人にとって味気なくならないよう塩や砂糖などで味付けがされていて、猫にとっては糖分や塩分が過剰になります。
一見ただのゴマでも味付けなどで塩やスパイスなどが使用される可能性もあるので、念のため原材料一覧や成分なども確認して与えるのが安心です。
まとめ
- ゴマ・ゴマ油は猫に与えてOK
- フレッシュフードでよく使用される
- 腎臓や肝臓の病理的変化を改善・保護する効果がある
- オメガ6脂肪酸を含む脂質が豊富