
飼い主さんたちの多くは愛猫に市販のキャットフードを与えていると思います。しかし市販されているキャットフードには、猫の健康に悪影響を及ぼす材料がたくさん使われていることを知っていますか?
今回は、注意すべき原材料の中でも「家禽ミール」、「ミートミール」、「4Dミート」について紹介したいと思います。
家禽ミール(poultry meal)とは
鶏肉の乾燥肉のこと
家禽ミール(かきんミール/poultry meal)とは鳥類を使用したミールを指します。家禽ミールには羽、毛、頭、足、内臓は含まず、皮と肉を含み、骨は含まれている場合もあります。
家禽という言葉が馴染みがないかもしれませんが、家禽ミールは「鶏肉の乾燥肉」と考えるといいかと思います。鶏肉のキャットフードなどにはメインで使用されます。
家禽ミールを避けるべき理由
家禽ミールが使用されているペットフードについて、「避けるべき」「猫に与えるべきではない」と指摘されることがあるのには、いくつかの理由があります。
①原料の不透明さ
家禽ミールは、「どの鳥類のどの部位を使用しているか」が明確でない場合があります。
例えば「チキンミール」であれば鶏由来と認識できますが、「家禽ミール」は鶏、七面鳥、アヒル、ガチョウなど複数の鳥類が混在している可能性があり、猫がアレルギーを持っている場合は注意が必要です。
また、「家禽副産物ミール」となると、羽・頭・内臓など栄養価のばらつきや消化性の低い部位が含まれることがあり、品質の見極めが難しくなります。
②品質の低い原材料が含まれる可能性
「ミール」とは基本的に乾燥粉砕されたタンパク質源ですが、使用する原材料の品質が低い可能性があります。
とくにレンダリング工程で処理された素材(病死・事故死した動物など)を含む場合があり、「4Dミート」と揶揄されることもあります。4Dミートについては後ほど詳しく解説します。
③酸化リスクと保存料の添加
ミールは保存性を高めるために酸化防止剤が添加されることがあります。とくにBHA、BHT、エトキシキンなどの人工保存料は、摂取による安全性に懸念があると指摘されており、これらが含まれているミールは避けたいという声もあります。
ミートミール(meat meal)とは
加熱・乾燥させて粉末状にしたもの
AAFCO(米国飼料検査官協会)によると、ミートミールとは「血液、毛、日詰、角、皮、糞尿、胃及び第一胃の内容物を除いた、哺乳類の組織をレンダリングしたもの」です。
つまり、動物性のタンパク質を高温で加熱・乾燥させて粉末状にしたものです。この定義には牛、豚、羊、ヤギ以外の哺乳類でもいいとされていて、哺乳類であればなんでもいいということになっています。
ミートミールを避けるべき理由
ミートミールは水分を飛ばすことで高濃度のタンパク質を供給できるというメリットがあり、ドライフードに広く使われています。
しかし、家禽ミールと同様「ミート」という表記には注意点があります。
①原材料の種類が不明
「ミートミール」とだけ書かれている場合、牛・豚・羊・馬などどの動物かが不明です。アレルギーがある猫や、特定の動物性たんぱく質を避けたい場合にはリスクがあります。
そのため、チキンミールやビーフミール、フィッシュミール、サーモンミールなど特定動物を明記している製造業者は安心と言えます。
②4Dミート、人工添加物の使用の可能性
家禽ミールの項でも解説しましたが、ミートミールにも4DミートやBHA、BHT、エトキシキンなどの人工添加物が使用されている可能性があります。栄養価や衛生面、安全性に問題がある場合があります。
こうした「ミートミール」は与えてもよい
キャットフードのパッケージやメーカーのホームページなどに下記のようなことが明記されている場合は、ミートミールを使用していても問題ないケースもあります。
- 「チキンミール」など動物種が明記されている
- 「副産物不使用」と明記されている
- 人工添加物が不使用
- 原料調達元や製造工程を公開している
信頼できるブランドであれば、乾燥ミールのメリット(高タンパク・保存性)を活かしつつ、安全性も確保しています。
4Dミート(4Dmeat)とは
キャットフードに使用されている家禽ミールやミートミールは、4Dミートを使用しているものがあります。
- Dead:死骸の
- Diseased:病気の
- Dying:死にかけの
- Disabled:障害のある
これらは、人間が食べてはいけない本来は廃棄処分されるべきものです。
化学殺菌を行っている場合がある
こうした原材料を使用するため、加熱殺菌だけではなく、化学殺菌処理を行う場合もあります。
狂牛病の原因になったミートボーンミール
ミートボーンミール(meat bone meal)とは、ミートミールに骨を含んだものです。
最大の問題となったのはBSE(狂牛病)です。これらミートミール(ミートボーンミール)は高熱で処理することで完全に殺菌しますが、狂牛病の原因になる異常プリオンは加熱処理や化学殺菌処理にも抵抗性があり、飼料製造工程において感染力がなくなりません。
これによって狂牛病大流行の引き金になりました。
日本では安全確認の徹底を行っている
日本では豚、鶏、牛由来の肉骨粉などを使用したペットフードを製造する場合は、独立行政法人農林水産消費安全技術センターの立ち入り検査による製造基準適合確認を受ける必要があります。
輸入製品に対しても、牛由来の肉骨粉を原料として使用しないように指導の徹底が行われています。
まとめ
- 家禽ミールは鶏や七面鳥などの混合原料で、品質や出所が不明確
- ミートミールは動物種が不明瞭で、アレルギーや品質に不安
- 4Dミートは病死や事故死した動物のことで、安全性や栄養面で懸念がある
- 信頼できる製造元が明記していれば、ミール使用でも安心できる