キャットフードの成分:鉄分(iron)
血液中で全身に酸素を運ぶ
鉄分(鉄:iron)はミネラルに分類される猫の必須微量栄養素の一つで、体内では半分以上が赤血球に含まれるヘモグロビンの一部となって血液に存在し、全身を巡り、酸素を運んでいます。残りの鉄分は筋肉や肝臓などの器官に貯蔵されています。
鉄分は猫の体内で合成できないためキャットフードなどの食事から摂取する必要がありますが、鉄分はすでにある鉄を再利用し続けられるので、欠乏することは少なく、人間の女性は生理で貧血になりやすいですが、猫には生理があるわけではないので、メス猫でも鉄分が不足することは少ないです。
吸収率の高いヘム鉄を積極的に摂取するのがおすすめ
鉄分が多い食べ物
ヘム鉄と非ヘム鉄
鉄分はヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。
ヘム鉄は動物性の食品に多く含まれる鉄分で、吸収率が高いためヘム鉄が多く含まれるレバー、赤身肉、赤身魚などを摂取するのが鉄分補給におすすめです。非ヘム鉄はホウレン草や小松菜、ブロッコリーなどの植物性の食品に多く含まれますが、他成分(食物繊維やタンニン)に体内への吸収を妨げられやすいため、ヘム鉄より利用性は高くありません。ビタミンCや動物性タンパク質など吸収を促進する栄養素と一緒に摂取することで、非ヘム鉄も腸から吸収されやすくなります。
キャットフードに必要な鉄分量
鉄分の最低基準は80mg/kg以上
ペットフード公正取引協議会が採用しているAAFCOの栄養基準では、ドライタイプのキャットフードの鉄分の目安量は80mg/kg以上と定められています。このため日本で販売されている総合栄養食のキャットフードは100gあたり8mg以上の鉄分が含まれています。
ただキャットフードの成分分析値では、鉄分は「ミネラル(灰分)」とまとまった割合が記載されることが多いため、鉄分だけの具体的な割合や量が記載されることは少ないです。
また、キャットフードの鉄分量が記載されていたとしても、吸収率が高いヘム鉄か、または吸収率の低い非ヘム鉄なのかまで記載されることはほぼないので、それぞれのキャットフードの原材料などを見て予測しながら判断する必要があります。
猫の鉄分欠乏/過剰摂取
鉄分は摂取量が多すぎても少なすぎても過剰症や欠乏症が起こってしまうので、猫に必要な量を定期的に摂取することが大切です。
鉄分の欠乏症
猫の体内で鉄分が欠乏すると次のような症状が引き起こされます。
- 貧血
- ふらつき
- 息切れ
- 下痢
- 粘膜蒼白
- 虚弱
- 疲労
また、成長期の猫や母猫に鉄分が不足すると子猫が十分に発育できず発育不振になる可能性があります。
鉄分の過剰摂取
鉄分をたくさん摂取すると猫には嘔吐や下痢などの症状が現れます。
- 下痢
- 嘔吐
- 亜鉛や銅などの欠乏
鉄分は亜鉛や銅、マンガンなど他の成分の吸収を阻害するので、あまりに猫が沢山鉄分を大量に摂取すると他の成分の欠乏を招くことがあります。
まとめ
- 全身に酸素を運ぶヘモグロビンの構成成分
- 吸収率が高いヘム鉄を多く含むレバーや赤身肉・青魚からの摂取がおすすめ