キャットフードの成分:葉酸(ビタミンB9)
DNA合成や造血、アミノ酸代謝に深く関与するビタミン
葉酸(ビタミンB9)とは、葉酸および生物学的に葉酸活性を示す化合物の総称で、造血にかかわる因子として発見された栄養成分です。ビタミンB群のひとつで、ビタミンB9やビタミンMとも呼ばれます。
葉酸はDNA合成や造血、アミノ酸代謝など様々な形で補酵素として体の正常な機能を維持しており、猫にとっても必須栄養素です。しかし水溶性ビタミンの葉酸は、体内蓄積量が非常に少ないため、キャットフードなど毎日の食事からの摂取が必要です。
レバーや緑黄色野菜、卵などの他、生野菜や果物にも葉酸は含まれていますが、キャットフードでは製造加工や長期間保存の過程の中で、分解されてしまい損失しやすくなるので、キャットフードでは葉酸の栄養添加物を添加します。
猫における葉酸の働きや効果
葉酸はDNAを合成に必要な補酵素
葉酸はいくつかのDNAの生合成に必要不可欠な栄養成分です。
特に妊娠期の猫は、胎児の成長や細胞分裂を促すために、葉酸の十分な摂取が必要になります。
赤血球の形成を助ける造血作用がある
葉酸には赤血球の細胞形成を助ける造血作用があります。
葉酸はビタミンB12とともに血液をつくるために必要不可欠で、貧血気味の猫は積極的に摂取したい栄養素です。
アミノ酸の合成や代謝に深く関与
また葉酸はアミノ酸の合成や代謝にも深く関与し、たとえばホモシステインは葉酸によってメチル化されることで、必須アミノ酸であるメチオニンに変化します。
また葉酸はヒスチジンというアミノ酸をグルタミン酸へ代謝する際の過程の一部にも関与しています。
キャットフードに必要な葉酸の量
ペットフード公正取引協議会が採用している総合栄養食の栄養基準を定めるAAFCOでは、ドライタイプのキャットフードの葉酸の最低基準は0.8%以上と定められています。
総合栄養食のキャットフードは上記を満たしているため、サプリメント等で摂取する必要はありませんが、妊娠期用キャットフードや子猫用ミルクには葉酸が多めに配合されています。
葉酸の欠乏/過剰摂取
葉酸欠乏は巨赤芽球貧血や舌炎、白血球減少などを引き起こす
- 悪性貧血(巨赤芽球性貧血)
- 舌炎
- 白血球減少
葉酸が不足するとDNA生合成に支障をきたします。細胞分裂が活発な血球合成に障害が起こり、赤血球障害や悪性貧血などを引き起こします。
葉酸の過剰症は報告されていない
葉酸の毒性は極めて低いと考えられています。水溶性ビタミンは体内に蓄積されず多少多く摂り過ぎても体外に排出されるため、葉酸の過剰症は報告されていません。
まとめ
- 葉酸はDNAの合成や造血に必要不可欠
- 不足すると悪性貧血を引き起こす
- キャットフードでは最低基準が設定されている
- 過剰症は報告されていないので安心して与えられる