国産と海外産キャットフードの違い。各国の傾向とメリット、デメリットを徹底解説!

鈴木さん
キャットフードの原産国は気にした方がいいんですかね。やっぱり海外産の方が安心安全なんでしょうか…?そもそもどんな国のペットフードが販売されているんでしょうか。
猫田

ペット業界は成長を続ける業界として注目されています。ペットフードについても、数年、数十年の間に新しいペットフードがどんどん誕生し、日本にも様々なペットフードが輸入販売されています。

食品の場合、厳しい基準を設ける国産(メイドインジャパン)は安全性や衛生面において世界トップクラスの高評価を得ていますが、キャットフードを含むペットフードの安全性が食品とイコールではありません。ここでは、ペットフードの原産国について紹介したいと思います。

イギリス産ペットフード

イギリスでは食品とペットフードが同じレベルで規制されています。人が食べる食品と、ペットフードや飼料の基準がはっきりと分かれる国も多くありますが、イギリスでは食品の規制に関し、ペットフードや飼料を除外せずに規則を定めているので本当の意味でのヒューマングレードと言えると思います。

ショーウィンドウでの生体販売がないことはもちろん、引き取り条件や求められる環境整備の基準も厳しく、犬が公共交通機関を利用できるなど、動物が人の生活を共にするパートナーとして大切にされている国ということで動物愛護意識も高い傾向にあります。

ただイギリスは2020年にEUから脱退しているため、EUの決まりを守る必要がなくなりました。イギリスはペット先進国として先頭に立ってペットの地位やペットフードの品質を向上させてきた国と言えるので、EUから抜けたからといってペットフードのレベルや安全性が低くなることは考えにくいですが、EU加盟国ではなくなった分、EU内での自由な貿易ができなくなったことで、使用する原材料の原産国や種類の変更を余儀なくされたメーカーも多いかもしれません。

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オランダ産ペットフード

オランダは、2019年にデザイン猫・デザイン犬と呼ばれ短頭種や折れ耳など見た目を優先した種類の繁殖・ブリーディングを禁止した国です。

殺処分やショップでの生体販売を禁止し、苦しむ動物が少なくなるように動物福祉に関する法律が整備されているペット先進国のひとつといえます。ペットフードにおいてもEU加盟国であるオランダは他のヨーロッパの国と同様、安全性の高いペットフードが期待できます。

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チェコ産ペットフード

チェコは中央ヨーロッパの内陸国でありEU加盟国です。ペットショップでの犬猫の生体販売や動物虐待を法的に禁止し、家畜動物の飼育環境や屠殺についての手順についても法規制が整備されています。

ペットフードの原産国としては印象が薄いかもしれませんが、療法食やサポート食などで有名なヒルズ(Hill’s サイエンスダイエット)の原産国のひとつでもあります。

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フランス産ペットフード

フランスはペット飼育率が最も高い国の1つであり、動物を飼育することが権利として認められている国でもあります。ペットは賃貸でも動物と入居を理由に拒否や退去命令をされることはありません。店や公共交通機関も同行することができます。また、2021年に法改正によりペットショップでの犬猫の展示や販売の禁止、また水族館でのショーや移動式サーカス、ミックの養殖を禁止する法律が可決されました。

EU加盟国でありロイヤルカナンやグランツ(GRANDS)キャットフードなどを製造しているフランスは、ペットフードの品質や安全性も高いと評価されています。

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イタリア産ペットフード

イタリアはショーウィンドウでの犬や猫の生体販売や殺処分を禁止し、迷子や動物遺棄の防止のためにマイクロチップの装着が義務づけられています。

ヨーロッパ有数の農業国でもあるイタリアは、EU規制に従ったハイクオリティなペットフードが期待できます。農業国であるためか、他のヨーロッパ産フードに比べると肉メインでありながら、穀物や植物原料の割合が多いフードが多い印象です。

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アメリカ産ペットフード

アメリカは世界のペットフードの基準やガイドラインをつくったAAFCO(米国飼料検査官協会)がある国でもあります。

日本のペットフードの総合栄養食の成分基準も、AAFCOが定めたガイドラインをもとに定められています。動物に関する研究機関や製造メーカーなども多く、ペットフードの成分や重金属について裁判などが頻繁に起こっている状況を見ると、国民のペットフードへの意識も高いといえるかもしれません。

2019年には極度の動物虐待を連邦犯罪とする動物虐待拷問防止法が発行され、アメリカの国家レベルで定められた初めての動物虐待に関する法律として話題となりました。獣医師になるためには大学で8年間勉強する必要があり、獣医学部への入学は非常に難関であることから、獣医学のレベルも高いと言えます。

ただアメリカでは効率的な農業や畜産業が発達している反面、生産性を高めるために遺伝子組み換えや農薬、ホルモン剤投与などに積極的で規制もゆるい傾向にあります。

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カナダ産ペットフード

カナダは世界国土2位という広大で自然豊かな土地を利用した農業国であり海産資源も豊富です。

オリジンやアカナ、ギャザー、GO!、オーブンベイクド、ロータスなど現在メジャーで日本でも馴染みのある人気プレミアムフードの原産国であることから、世界的な評価も高いと見受けられます。

自国で採れた新鮮な食材を新鮮な状態で加工し製造しているメーカーが多く、原材料の調達から製造、販売までの追跡(トレーサビリティ)の面でも非常に信頼性が高く、安心安全な海外産フードを望むなら候補として挙がる原産国のひとつになるでしょう。

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オーストラリア産ペットフード

オーストラリアは日本と同じくまわりを海に囲まれた国で、南半球のオセアニアに位置しています。

自然豊かでの世界有数の農業国・畜産国であるオーストラリアは牛肉産業も盛んです。またカンガルー肉などのジビエ肉を使用したキャットフードも販売するなどペットフード事業に力を入れている国でもあり、日本でもオーストラリア産のペットフードは珍しくありません。

ペットフードに関する法律やガイドラインはあまりなく、自主基準なのでヨーロッパほど法律や規制の面で強いとは言えませんが、陸続きではない独立した国ということで他国から持ち込まれるBSE(狂牛病)などの伝染病の影響を受けにくい点もペットフードの安全性を考慮するうえで大きなメリットです。

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ニュージーランド産ペットフード

ニュージーランドは南半球のオーストラリア大陸南島に位置する島国で、自然豊かな地形を生かし、酪農や畜産が盛んです。

ビーフやチキン、ラム、ベニソンなど広い国土を生かし放牧でのびのびと育てた健康的なお肉を使用したペットフードがなによりの魅力となっています。

一般的な畜産では、狭いケージやオリでぎゅうぎゅうになって生活させられ、ホルモン剤などを投与されて短期間で出荷できるように管理されますが、フリーラン(放し飼い)でホルモン剤の投与なく育てられた家畜動物は、健康的な肉質を保ちながら最小限のストレスで暮らすことができるため、家畜動物の福祉面で最も配慮された飼育方法と言えます。

ニュージーランド産のペットフードは、他の国で製造されるドライフードとは少し違うタイプのものが多いです。ジャーキーのようなほぼ大部分がお肉で構成された低温調理のフードがスタンダードで、フリーズドライ製法で作られたふやかして与えるフードなども販売されています。

より肉の食感や風味が強く感じられますが、高たんぱく・高カロリーで給与目安量が少ない傾向があるので、食いしん坊な猫はドライフードと同じ感覚でいると食べ過ぎてしまうかもしれません。

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2020年5月19日

ドイツ産ペットフード

ドイツ産ペットフードはヨーロッパの中でも、特に基準が厳しく、高品質で安全性の高いペットフードを販売する原産国として有名です。

ペットフードのオーガニック認証なども世界トップレベルの基準で、食品とペットフードが同じ基準で審査されます。デフやプレイアーデン、ハッピーキャット、ジョセラ、レオナルドなど高級なプレミアムキャットフード傾向があります。

動物愛護意識が高く、ドイツ人の真面目で計画性が高くきれい好きな国民性も高い信用性につながっています。

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2016年12月26日

タイ産ペットフード

タイ産ペットフードは世界第4位のペットフード輸出国で、日本でのキャットフード輸入量はタイが世界第1位です。日本では魚系のウェットフードが人気なので、水産業や加工食品業が盛んなタイからの輸入量は非常に大きな割合をしめています。

タイ産は他の原産国のフードに比べて人件費や原材料費が安いため、輸入などのコストを考えても手に入りやすい安価な価格で提供が可能になっていると思われます。

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2020年3月12日

中国産・韓国産ペットフード

中国産ペットフードや韓国産ペットフードは、飼い主さんが最も避けたいと考える方が多いかもしれません。

中国や韓国は、食品でも、衛生問題や偽装問題など、実際に起こった沢山の事件からペットフードについてもマイナスイのメージがついています。

また、韓国や中国は古くから犬や猫を食料や珍味として食べる文化があり、犬や猫、動物を「家族」として考える意識はまだまだ薄いと言えます。

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国産ペットフード

最後に国産ペットフードについて、以前までは国産ペットフードは危険で品質が低いので買わない方が良いと言われたこともありましたが、現在日本で販売されているペットフードの品質はそこまで低くありません。

食品工場で生産されているペットフードや、管理システムによる認証を得た環境で製造を行う事業者がほとんどです。添加物や原材料についても、以前よりも透明性が高く情報開示も積極的になっています。

また、安さや食いつきのみに重点をおいていた時代から、健康志向や無添加、ヒューマングレードといった、犬や猫の健康を維持するための安全性や機能性などを重視したフードが非常に多くなりました。

これまで穀物がメインに使用し着色料や調味料などを複数使用したオールドスタイルのフードを販売していた事業者も、時代や消費者の声に対応してレシピの変更を行ったり、ハイクオリティラインの販売を開始したりと、日本のペットフードもかなりの速度で進化してきていると感じます。

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2021年10月11日

国産ペットフードがヨーロッパ産フードに及ばない理由

それでも日本が欧米産のペットフードに及ばない理由が、法規制の違いです。

ペットフードの基準においてはペット先進国であるヨーロッパなどに比べると追いつかないものがあるため、国産キャットフードよりもヨーロッパ産キャットフードをおすすめになってしまいます。ヨーロッパでは自国に厳しい基準や規則があり、さらにEUのペットフードの基準や輸入制限などたくさんの規制や障害があります。また、欧米では食品とペットフードを区別していない国もあるので、本当の意味で食品と同レベルと言えます。

日本には最低限の安全性を守るためのペットフード安全法と、ペットフードのガイドラインを定めているペットフード公正取引協議会の公正競争規約がありますが、公正競争規約は日本の法律に則った独自のものではなく、アメリカのAAFCO(アメリカ飼料検査官協会)の栄養基準に従っています。これは自国の法律だけではペットフードの栄養バランスや安全性を守るには不十分であるということを表しています

またこのアメリカの基準に則った規約もあくまでガイドラインであり、法律のように違反した場合の罰則はなく義務にすることはできないので、国産キャットフードの最低基準ラインは他国に比べてゆるいと言われています。

国産キャットフードは食いつきを重視

また国産キャットフードは、まだまだ飼い主さんの購入意欲を刺激するような文句のキャットフードが多い傾向にあります。

たとえば、飼い主さんの目からもわかる食いつき、毛玉ケア、ニオイ改善、綺麗で均等な粒、パッケージの印象、価格など、猫の健康維持よりも、飼い主さんにとってメリットのあるキャットフードを選ぶ人が多いと、企業側もどうしても猫の健康第一よりも売れそうな文句のレシピを優先してしまいます。

海外産(ヨーロッパ産)キャットフードが安全で人気が高い理由

法律や基準が厳しく、国民の動物愛護意識が高い

EUに加盟しているヨーロッパ諸国が原産のキャットフードは、国が設けている動物愛護やペットフードに関する法律が厳しいだけでなく、EUの輸入規制も守る必要があること、そして国民全体の動物への家族・パートナー意識が非常に高い傾向があります。

ペットが飼い主の所有物や財産として見られる日本では、ペットフードも雑貨として区分されるため、悪い意味で自由度が高くペットフードを生産できてしまいますが、EU加盟国は、各国の法律の他にFEDIAFやペットフードに関する決まりがあり、それに基づきホルモン剤投与された動物や遺伝子組み換え食品、添加物、農薬なども厳しくチェックされたり、輸入や生産に規制があるものも多いです。このため、海外産(ヨーロッパ産)のペットフードは他の原産国のペットフードに比べて安全性や品質の面で信用性が高いと言われています。

国産キャットフードのメリット、デメリット

食品の安全性で考えると日本の場合はかなり厳しい基準が設けられていますが、ペットフードに関しては人間の食の安全は当てはまりません。国民性から倫理観として守られているところが多分にあり、法律でしっかりと守られているというところまではいっていないというのが現状です。

価格の安さ

遠くヨーロッパから輸入するためには輸入費用や管理費用など多くの資金が必要です。しかし日本の場合はそのほとんどが国内かアジアで作られています。人件費の安いアジアで製造したものを日本で販売するので、コストは非常に抑えられ、価格も低く抑えることにつながっています。

トラブル対応の良さ

国産を選ぶメリットとして、トラブルがあった際の対応が早いことがあげられます。問題が起これば苦情受付のレベルの高い日本で、日本語でも対応してもらえますし、すぐに回収という方法がとられますので安心できるでしょう。また輸送の間の品質管理も気にしないで済みますし、保管に関しても同様に考えられます。

日本の猫に合わせた栄養バランスや味

大きなメリットのひとつですが、日本の猫の飼育状況に合わせた栄養バランスになっている商品も多くあります。海外では外を自由に歩く回ったり、広い家で飼育されている猫も多いですが、日本の場合、とくに都会ではそうもいきません。

そうした世界的にも特殊な飼育事情を反映したキャットフードの製造にも長けています。

日本の四季に合わせた保存力

キャットフード自体はドライフードならどれも水分が10%以下となっていて、カビにくく、保存の効くように製造されていますが、一番の違いはパッケージです。海外産のキャットフードに比べて日本のキャットフードのパッケージは品質がよく、湿気対策もしっかり考えられたパッケージが多いです。

日本で企画された海外製造の商品の場合は、袋も日本用に企画されて湿気対策にしっかり密閉できるパッケージもあります。

日本産だからといって原材料が国産とは限らない

デメリットのひとつですが、製造国が日本であっても、原材料の全てが国産である可能性は低いです。輸入国がどこであるか、特に中国産の原料を使っていないかは確認しておくといいと思います。

外国産のメリット・デメリット

国産に比べて食品の安心度がやや劣るイメージがある海外産のキャットフードですが、例えばアメリカでは日本国内よりも成分表示が厳しく定められているので、安全なものが見つかりやすくなっています。ヨーロッパでは工場での生産規格も厳しく定められているところが多いため、安心・安全なキャットフードが多く存在しています。

非常に高規格で作られているものが多い

厳格な製造規格に沿って作られているキャットフードが多い点が魅力です。特にペットに対する考え方が進んでいるヨーロッパでは、ペットフードに関する考え方も進んでいて、ペットフードの製造工程、表示義務、表示方法など厳しい取り決めがあります。

これらは日本ではまだまだ追いついていないところで、ヨーロッパやアメリカが進んでいる点のひとつです。

キャットフードのレシピが豊富

グレインフリーを始め、オーガニックフード、ナチュラルフードやプレミアムフードといった考えはヨーロッパやアメリカから発信されることが多く、非常に豊富なレシピがあります。また、日本のように原材料が固定されていないので、カンガルーの肉やうさぎ肉、鹿肉など日本では余り食べられない肉のキャットフードも多く販売されています。

輸出入、管理のコスト

海外産のキャットフードは、製造国から日本への輸出が必要ですし、それによる管理も重要です。また国産のように必要分だけ作れるものではないことから、定期的に輸入し、保存しておく必要もあります。これらのコストが価格に反映され、高価になりがちです。

中国産原料の使用

中国産の原材料を使用している工場もまだまだ多いのが現状です。もちろん各社でしっかりと管理した上での使用ですが、安定した原材料の確保のためには中国産原材料が必要な工場もあり、各原材料の製造国まではわからない場合が多い点も注意が必要です。

最近は中国産原材料不使用(チャイナフリー)とかかれたキャットフードもあるので注視してみるといいかもしれません。

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。日本化粧品検定協会会員。