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キャットフードの原材料:コーングルテンミール(corn gluten meal)
コーングルテンミールは穀物に分類される
キャットフードやドッグフードには、穀物がよく使用されます。その中でもとくにトウモロコシ、小麦、大麦、コーングルテンミールは原材料でよく見かけるでしょう。
トウモロコシ、小麦、大麦、米、コーングルテン、コーングルテンミール、玄米、小麦粉、パン粉、米粉、ふすま、コーンフラワー、オートミール、グルテンフィード、小麦グルテン、米ぬか、小麦胚芽、燕麦 など
コーングルテンミールとは、トウモロコシを粉砕して胚芽や外皮、たんぱく質を取り除いて出たデンプン(コーンスターチ)を製造する過程でできるコーングルテンを、さらに濃縮・脱水・乾燥させて粉状(ミール)に加工したものです。
つまり、副産物となります。コーングルテンミールはコーングルテン粉、トウモロコシ粉、トウモロコシたんぱくとも表記されることもあります。
コーングルテンミールを使用するメリット
原価が低い
コーングルテンミールは副産物であるため、肉や魚に比べて非常に安い原価となります。キャットフードの製造コストを抑えることができるため、キャットフード自体も安価に設定することができます。穀物は多くの種類がありますが、その中でも安価で手に入るのがトウモロコシといわれています。
実際、高級なキャットフードよりも安価なキャットフードの原材料によく使用されています。
タンパク質量の確保
コーングルテンミールは植物性たんぱく質が豊富なので、第一原料としているキャットフードも多くあります。肉や魚だけでは不足しがちな種類のアミノ酸を補うことができます。
コーングルテンミールを使用するデメリット
動物性タンパク質の方が望ましい
猫はもともと肉食動物であるため、穀物は肉や魚に比べて猫に必要な栄養素が少ないです。キャットフードの主原料は植物性タンパク質ではなく動物性タンパク質の方が望ましいといえます。
穀物アレルギーの恐れ
猫の食物アレルギーの原因のほとんどは、トウモロコシやコーングルテンミールなどの穀物由来といわれています。アレルギーに悩んでいる猫やアレルギー発症のリスクを避けたい猫は、グレインフリーキャットフードの方が良いでしょう。
タウリンが含まれていない
タウリンは心臓や脳、目、骨髄、肝臓など生命維持に関わるほとんどの組織に存在している栄養素です。人や犬は体内でタウリンを合成できますが、猫は合成することができません。そのため、必須アミノ酸10種と合わせて11種類を猫の必須栄養素とされており、食べ物から摂取しなければなりません。
コーングルテンミールにはタウリンが含まれていません。そのため、キャットフードのラベルの上位3位にコーングルテンミールが表記されるキャットフードの長期的な摂取はタウリン不足となり、心臓や脳などあらゆる臓器の病気を引き起こすリスクがあります。
ミートミールとの比較:ミネラルの体内保有量が減る
成猫用のドライフードにおけるコーングルテンミールとミートミールを比較した実験では、尿のpH、ストルバイト生成量、尿中ストルバイト結晶数、尿沈渣において相違はなかったものの、コーングルテンミールを給餌されている間はカルシウムとマグネシウムの体内保有量が減ったことが分かりました。
コーングルテンミールは脂質やミネラル量が少ないため品質が安定しやすいといわれていますが、長期的に摂取するのであれば、不足している分のミネラルの補充が必要となります。
参考文献:猫用ドライフードのタンパク質源としてのコーングルテンミールと肉ミールの比較
フィッシュミールとの比較:糞便の水分含有量が少ない
「トウモロコシは食物繊維を多く含むため便秘に効果がある」とされており、毛玉ケアのキャットフードは他のキャットフードに比べて穀物が多く含まれている傾向にあります。
しかし、魚粉とコーングルテンミールをたんぱく源としたキャットフードにおける実験によると、食物摂取量、水分摂取量、尿量、乾物消化率、尿中の窒素排泄量、尿のpHにおいて相違はなかったものの、糞便の水分含有量に関してはコーングルテンミールの方が少なかったことが分かりました。
つまり、コーングルテンミールの方が便が硬く、便秘になりやすいということです。
参考文献:ドライキャットフードのタンパク質源としての魚粉とコーングルテン粉
遺伝子組み換えの可能性
2011年における調査では、世界で栽培されているトウモロコシの約30%が遺伝子組み換えであると報告されています。
長期的な摂取による健康への害や、農薬や除草剤の残留など、遺伝子組み換えされた食材はさまざまな懸念点があります。人の食品においては遺伝子組み換えの表示が義務付けられていますが、家畜の飼料やペットフードに関しては表示義務はありません。
安全性や規則、リスクが不明瞭であるため、遺伝子組み換え食材を使用しないメーカーも多くあります。ラベルにはGMOフリーと表記されていたり、ホームページなどで「遺伝子組み換え食材は使用していません」と記載されています。
- フォルミナN&D/ベットライフ リーナル(腎臓)
- シシア/アダルトチキン
- アニモンダ/ラフィーネ クロス
- ロニーキャットフード/チキン
- エリザベスキャットフード/サーモン
まとめ
コーングルテンミールは多くのキャットフードで使用されており、必ずしも悪い理由だけではありません。猫にコーングルテンミールが使われているキャットフードを長期的に与えていても、健康上の問題がなく元気に育っている猫もいます。
「ダイエット中で脂質が気になる」「ミネラルをあまり摂取したくない」という方はコーングルテンミールのキャットフードでも大丈夫ですし、「やっぱりデメリットが気になる」「アレルギーのリスクを避けたい」という方はグレインフリーのキャットフードがおすすめです。
飼い主さんがコーングルテンミールのメリットとデメリットを考慮したうえで、猫に合ったキャットフードを選ぶことが重要となります。