猫の外科手術。当日の流れと手術にかかる費用、絶食時間や抜糸までの期間は?

猫 手術 費用
鈴木さん
愛猫には、なるべく大きな怪我や病気はせずに、穏やかで幸せな生涯を送ってもらいたいですよね。
猫田

はい、ただ日頃からどんなに健康や安全に気を配っていても、猫に手術などの治療が必要になる場合もあります。

動物の治療は国による保険が適用されず、治療の実費が請求されるので、すぐに手術をしなければいけない状況で、手術費用が支払えない、助けられないという悲しいことが起こらないように、手術や入院費にいくらかかるのかを把握し、愛猫の緊急時に備えましょう。 

猫の手術について

猫の手術理由

  • 避妊去勢手術
  • 歯周病・歯肉炎
  • 異物の誤飲・誤食
  • 皮膚がん
  • 尿路結石・膀胱結石(シュウ酸カルシウム)
  • 怪我・骨折 など

猫の最も代表的な手術は、去勢・避妊手術です。近年は飼い主さんの理解も深まり、去勢避妊手術を行う割合は非常に高い割合になりました。怪我や病気ではないので、多くの猫が対象となります。

犬や猫は口腔内疾患(歯周病や歯肉炎)、皮膚がん摘出手術が多いのも特徴です。

また、猫は尿路疾患(尿路結石・膀胱炎・腎臓病)が非常に多く、若齢期に多いストルバイト結石は食事で溶かすことができますが、高齢期に増えてくるシュウ酸カルシウム結石は一度形成されると食事や薬で溶かせないので、外科手術が必要になります。

猫の手術は何歳まで可能?

具体的な年齢制限はない

猫の手術を行うのに具体的な年齢制限はありません。健康で体力もあって、他に懸念される病気や疾患が確認されなければ、高齢猫でも手術を行うことはあります。

たとえば中高齢期の8~9歳の猫や、中には15歳以上の超高齢猫が手術を行うケースもあります。ただ、人間と同じで猫も高齢になればなるほど手術による体への負担が大きくなるので、より慎重な判断が必要になります。

手術可能かの判断基準

  • 体重
  • 健康状態(他の病気/疾患がないか)
  • これまでの病歴
  • 免疫不全疾患

手術が可能かどうかの判断基準とされるのが、年齢の他に、体重、他の病気や免疫不全疾患、これまでの病歴や術歴などです。

また、どうしても手術しないと助からない状態なのか、より負担の少ない治療法を選べるのかなどによっても選択は変わってくるので、飼い主さんの意思も考慮しつつ、総合的に判断することになります。

猫の手術の流れ

手術前日

手術では全身麻酔をするので、12時間前から絶食します。

手術時間にもよりますが、絶食は前日夜から、水は当日朝から控えるよう動物病院から伝えられることが多いです。

手術当日

猫 手術
  1. 動物病院に来院(洗濯ネットで連れてくるよう指示されることもあります)
  2. 受付、手術同意書に記入
  3. 猫を預ける
  4. 手術前に検査
  5. 麻酔投与
  6. 殺菌消毒・剃毛
  7. 手術開始~終了
  8. 覚醒(麻酔から覚めるのを待つ)
  9. 体調や状態を確認
  10. 入院or退院

去勢・避妊のような短い手術では20~40分位で終了します。去勢手術は開腹手術がないので術後の回復が早く、麻酔から覚めて問題がなければ日帰りする猫も多いです。

大きな手術では3~4時間にわたることもあり、その後、数日間の入院やICUでの管理される流れになります。

手術後日

術後は傷の回復にエネルギーを多く消費しますが、食欲がわかない猫もいるので、ウェットフードや高カロリーな食事も用意しておくと安心です。

遊んだり動き回ると傷口が痛んだり開いてしまうので、猫が安静にできる静かな環境を用意しましょう。傷口をなめたりできないようにエリザベスカラーを使う場合もあります。

傷口の抜糸は術後7~10日後に動物病院へ来院し、合わせて検査や診察で術後の体調に問題がないか再度チェックします

手術の費用

手術(施術)・治療費用平均金額
入院費用2,000~5,000円
麻酔費用5,000~1万2,500円
去勢手術1~2万円
避妊手術1~3万円
抜歯手術1,000~3,000円/本
乳腺腫瘍摘出手術3~4万円
尿路結石症の手術
(シュウ酸カルシウム)
3~4万円
ヘルニアの手術2~4万円

猫の手術費用は内容や部位、入院の有無、また動物病院の値段設定によって様々です。

上記で紹介した一般的な病気や怪我の手術費・検査費・入院費をご紹介します。

入院費の平均金額

猫の入院費の平均金額は2,000~5,000円ほどです。

ICUが必要な場合は3,000~7,500円と金額も高くなります。

麻酔費の平均金額

猫の全身麻酔の平均金額は5,000~5,000~1万2,500円です。

病院によっては15,000円以上かかる場合もあります。

避妊去勢手術

猫の去勢手術は平均1万~2万円(麻酔を含めると2~4万円)です。

猫の避妊手術は平均1~3万円前後です。

避妊手術には2種類の方法があり、卵巣のみの切除手術は平均金額1万~2万5,000円前後卵巣子宮の両方の切除手術は平均金額1万~3万円前後になります。

歯周病・歯肉炎

抜歯手術の平均金額は1本あたり1,000~3,000円です。

上記は歯を抜くことにかかる費用なので、手術前に必要なレントゲンや血液検査、レントゲン検査、また入院費や薬代などを含めると最低3万円はかかります。

歯周病はひどくなると顎の骨まで溶けてしまうので、重症度によっても治療費の合計金額は異なります。

皮膚がん腫瘍の摘出手術

犬や猫に多い乳腺の腫瘍切除手術では、平均2万~4万円前後です。麻酔や検査、入院費用なども加わると5~10万円ほどの費用がかかります。

尿路結石症の手術

シュウ酸カルシウム結石の手術は平均金額3~4万円。5~8万以上になる場合もあります。麻酔や検査費、入院費用、その後の薬代など含めると10~15万円以上になることも。

ヘルニアの手術

ヘルニアの手術は平均2~4万円です。

幼齢期の猫に多い臍(へそ)ヘルニアは比較的安く1~2万円前後が多いです。去勢・避妊手術と同じタイミングで切除することが多いです。

急な手術や入院に備えてペット保険で対策

手術によって数十万単位での費用を一度に用意しなければならない場合もあります。支払えない場合、十分な治療が受けられず、大きな後悔が残ってしまうので、日頃から猫のために貯金をしたり、ペット保険に入るなどの対策をしましょう。

猫のためのペット保険。猫にかかる平均医療費、ペット保険の料金料や補償内容を解説

2018年7月11日

まとめ

  • 全体の手術費用の平均金額は3~4万円
  • 麻酔や検査費用で+1~2万円
  • 入院費で+5,000円弱
  • 備えとして貯蓄 or ペット保険加入がおすすめ

ABOUTこの記事をかいた人

アバター画像

一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。