キャットフードのアボカドオイル。皮膚トラブルの改善や抗酸化作用など栄養価が高い!中毒成分ペルシンは大丈夫?

キャットフードのアボカドオイル。皮膚トラブルの改善や抗酸化作用など栄養価が高い!中毒成分ペルシンは大丈夫?

キャットフードの原材料:アボカドオイル(avocado oil

アボカドオイルはアボカドの果肉から抽出される植物性油脂です。

アボカド自体は「森のバター」とよばれるほど良質な不飽和脂肪酸を豊富に含み、猫の皮膚の乾燥や被毛のツヤ、免疫系をサポートします。栄養価が非常に高いスーパーフードとして知られていますが、「アボカドオイルって猫が食べても大丈夫なの?」と不安になる飼い主さんも多いでしょう。

この記事では、キャットフードの原材料におけるアボカドオイルの栄養価やメリット、安全性について解説します。

アボカドオイルの安全性の懸念:ペルシンについて

アボカドのペルシンは中毒成分

アボカドに含まれるペルシンは猫にとって中毒となる成分です。ペルシンはアボカドの果肉、皮、種に含まれ、猫がペルシンを摂取すると嘔吐や下痢、呼吸困難などの症状が出ることがあり、重篤な場合には心臓や呼吸器への影響も考えられます。

しかしキャットフードやペット用のアボカド配合製品に使用されるアボカドオイルのペルシンは、抽出の過程で除去されています。アボカドオイルが含まれたキャットフードを食べても、ペルシンによる中毒症状のリスクは低いといえます。

ペルシンの安全性確認

アボカドオイル配合のキャットフードを選ぶ際には、信頼できるブランドやメーカーを選ぶことが重要です。

ペルシンが除去され、安全性が確保されたアボカドオイルが使用されていることを確認しましょう。品質にこだわるメーカーは、厳格な品質管理のもとペルシンの安全処理が明確に表記されています。

アボカドオイルが配合されているキャットフード

キャットフードの原材料にアボカドオイルを使用するのは非常に稀です。やはり「アボカドは猫にとって中毒になる食べ物」というイメージが強いからでしょうか。

アボカドオイルが配合されているキャットフードとして、アボダームが有名でしょう。ここまでアボカドを推しているメーカーは珍しいといえます。

アボカドオイルをキャットフードに配合するメリット

アボカドオイルの栄養素(100gあたり)
エネルギー884kcal
ビタミンE14mg
不飽和脂肪酸オレイン酸70000mg
リノール酸10000〜15000mg
α-リノレン酸1000mg
カロテノイド0.5〜1.5mg

アボカドオイルをキャットフードに配合することには、猫の健康をサポートするためのメリットが多くあります。

アボカドオイルには一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸必須脂肪酸であるリノール酸α-リノレン酸が豊富に含まれています。とくに必須脂肪酸は体内で合成できないため、食べ物からの摂取が必要となります。

これらの不飽和脂肪酸は体のあらゆる器官や部位の健康維持に効果があります。

皮膚と被毛の健康サポート

室内飼いが主流の猫は、冬の暖房や夏の冷房による空気の乾燥により、皮膚の水分が失われがちです。また、猫はもともと砂漠地帯出身の動物なので水をあまり飲まない傾向にあります。加齢による皮膚の代謝の低下もあります。

これらの要因により、猫は皮膚の乾燥や痒み、被毛のツヤが悪くなるなど皮膚トラブルを抱えがちです。

アボカドオイルに豊富に含まれる不飽和脂肪酸は、猫の皮膚や被毛の健康維持に効果的でしょう。

◆オレイン酸

オレイン酸は皮膚の保湿力を高め、バリア機能をサポートする働きがあり、皮膚が乾燥しがちな猫にとって保護的な役割を果たします。また強い抗酸化作用は細胞の酸化を抑え、皮膚や被毛の老化を防ぐことが期待できます。

◆リノール酸

リノール酸は被毛にツヤを与え、乾燥や痒みなどの皮膚トラブルの予防に効果的です。リノール酸の不足は皮膚炎のリスクを高めるため、キャットフードにリノール酸を含むアボカドオイルを配合することは、皮膚や被毛の健康維持に期待できます。

抗酸化成分による老化抑制と免疫サポート

アボカドオイルに含まれるオレイン酸やビタミンE、カロテノイドは強い抗酸化作用を持ちます。体内の活性酵素を除去して細胞の酸化を防ぐためアンチエイジング効果が期待でき、老化の予防になります。

とくにビタミンEは免疫機能向上の働きもあるので、免疫機能が未発達の子猫や、低下しているシニア猫の健康維持におすすめです。

消化がよく、胃腸に負担をかけにくい

アボカドオイルに含まれるオレイン酸は体内で消化吸収されやすい特徴があります。そのためアボカドオイルは胃腸の負担を軽減しつつ、健康的な脂質の供給源として利用することができます

消化器系が敏感な猫や、消化機能が低下しているシニア猫におすすめです。

抗炎症作用や中性脂肪の減少

アボカドオイルに含まれるα-リノレン酸は体内でDHA(ドコサヘキサエン酸)EPA(エイコサペンタエン酸)に変換され、抗炎症作用を発揮しして関節炎や炎症性疾患の緩和に役立ちます

また血中の中性脂肪の減少や血圧を下げる効果もあるため、動脈硬化や心筋梗塞などの心血管疾患のリスクを低減し、さらに認知機能の改善や、うつ症状の軽減に効果があるとされています。

DHAやEPAは必須脂肪酸ではありませんが、健康効果が高いことから必須脂肪酸と同等に猫の健康に有益であるとされています。

栄養バランスの向上と嗜好性の向上

アボカドオイルはキャットフードに配合することで香りや風味が増し、猫の嗜好性が高まる傾向があります。猫はもともと香りや風味に敏感であるため、偏食や食欲が低下した猫も食いつきにつながるでしょう。そのため、アボカドオイルは食欲促進を目的に使用されることが多くあります。

まとめ

  • キャットフードの原材料でアボカドオイルを使用するのは非常に稀
  • アボカドオイルのペルシンは製造の過程で除去されている
  • 不飽和脂肪酸を豊富に含み、抗酸化作用や抗炎症作用がある
  • 皮膚や被毛の健康維持に効果的

ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士、愛犬飼育スペシャリスト、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。文章を通して猫ちゃんの魅力を発信し、また多くの飼い主さんの悩みや不安を解決することで、飼い主さんと猫ちゃんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。