キャットフードの原材料:酵母エキス
酵母エキスとは
酵母とは今から250年以上前にオランダの生物学者によって発見された5~10μmほどの単細胞性真菌類の総称です。日本では昔から日本酒や漬物、納豆、味噌、醤油などのアルコールや調味料を始めとした食品の発酵に利用されてきてました。
酵母エキスとは、酵母から有用な成分や菌自体を抽出したものの総称で、近年はサプリメント、医薬品、化粧品などにも配合されています。ペットフードにも酵母菌、酵母エキス、ビール酵母という名前で配合されています。
食品に利用される酵母
- サッカロマイセス・セレビシエ(出芽酵母)
- シゴサッカロマイセス・ロキシー(分裂酵母)
サッカロマイセス・セレビシエという酵母は食品に広く利用されている有用菌で、アルコールやパンの発酵等に利用されます。「イースト菌(パン酵母)」も酵母菌の一種で、パンをふっくらと膨らませる作用があります。アルコール発酵ではビールやワイン、清酒、ウイスキーなどに利用されます。ビール酵母についてはこちらで解説しています。
また、日本食では必要不可欠な醤油や味噌などの塩分濃度の高い調味料は、ジゴサッカロマイセス・ロキシーという酵母を利用しています。
酵母エキスの効果と栄養素
酵母の種類によって異なりますが、下記のような効果が期待できると言われています。
- 免疫力を高める
- 疲労回復する
- 便秘を改善する
- 過剰な糖質を分解する
- 旨味を感じさせる
酵母エキスの主成分はタンパク質と炭水化物です。タンパク質を構成するアミノ酸がバランスよく配合されていて、猫に必要な必須アミノ酸を補うにも効果的です。
酵母エキスには核酸という旨みを構成する成分が含まれるため、旨味を感じられる猫の嗜好性アップにも作用しているかもしれません。
また、βグルカンとマンナンオリゴ糖の食物繊維源も含まれていて、ミネラルやビタミンも豊富なので、腸内に生息する細菌の数を増やしたり働きを活発にします。腸内環境を整えることで、免疫力を高め、便の調子を改善する効果も期待できます。キャットフードに配合される場合、そこまで多量は配合されませんが、様々な栄養素を持つ機能性素材と言えます。
酵母エキスの注意点や毒性は?
現在のところ、酵母エキスが猫にもたらす毒性は確認されていません。体調や体質によって体に合う合わないはあるかもしれませんが、キャットフードにもよく使用されていて、今のところ問題は特に報告されていません。ただ酵母エキスは添加物に含まれるのではないか?と心配する方もいます。日本国内の添加物リストに登録はされていませんが、製造過程や遺伝子組換えの可能性やリスクから酵母エキスを避ける方もいるようです。