キャットフードのリン。働きと必要量、カルシウムとの比率は?過剰摂取は腎臓に負担をかける

キャットフード リン phosphorus

キャットフードの成分:リン(phosphorus)

リンとは

リン(P)は必須多量ミネラルの一つで、カルシウムの次に体に多く存在しています。リンはタンパク質や糖質、脂質などと結合して動物性、植物性関係なく様々な食材に含まれていますが、特に肉やレバーにはリンが多く、肉にはカルシウムの16~35倍のリンが含まれています。このため肉が主食の猫の場合、キャットフードでも肉がメインの商品が多いのでリン不足になることは少ないです。

リンは「リン酸(phosphoric acid)」として骨や歯、細胞膜、DNAやRNAの核酸など生体に必要不可欠な成分の一部となって働いたり、旨み成分の構成要素としても重要な役割を果たしています。

リンが豊富な食べ物
  • 肉、レバー
  • 乳製品
  • 豆類

リンの働きと作用

  • 骨や歯の主要構成成分(骨格強化)
  • 遺伝情報DNAやRNAの核酸を構成
  • 細胞膜のリン脂質を構成
  • エネルギー代謝に必要なATPを構成
  • 体液のpHを調整
  • 食いつきや食欲を高める

リンは「リン酸」として様々な生体器官の構成要素として働いています。その中でも吸収されたリンの大部分80~85%が猫の骨や歯を構成する成分として利用されているため、キャットフードでは、骨格を一緒に形成しているカルシウムとマグネシウムの比率やバランスが重要視されています。

リンの残りの15~20%は猫の筋肉や脳、神経などの組織に運ばれ、DNAやRNAの核酸や、細胞膜のリン脂質、エネルギー代謝に利用されるATP(アデノシン三リン酸)など様々なところで重要な構成要素となりその役割を担っています。

またリンで重要なのが、リンは核酸系の旨味成分を構成する物質であり、リンが少ない食事は猫の食いつきや食欲に影響することです。リンが含まれていれば必ず美味しいとは限りませんが、美味しい要素を構成する重要な成分にもなっています。

キャットフードに必要なリン量

キャットフード リン 
画像引用元:2016 AAFCO Midyear Meeting Committee Reports

キャットフードに必要なリンの値は、成長期の猫で0.8%以上、成猫期以降の猫で0.5%以上と定められています。上限値については、猫のカルシウムとリンの過剰症の報告はないため設定されていません。

ただリンの場合、骨や歯を構成する上で量だけでなくカルシウムやマグネシウムとのバランスも重要なので、キャットフードでは以下のような適性比率が設けられています。

  • カルシウム:リン:マグネシウムの適比率は、Ca:P:Mg=1.2~1.5:1:0.08~0.1の範囲

キャットフードの成分表を見る時は、リンを1と考えカルシウムやマグネシウムの値がどのくらいなのか成分比率もチェックしましょう。

猫のリンの過剰摂取と欠乏

過剰摂取

  • カルシウム吸収を抑制
  • 腎機能の低下、腎臓病の悪化
  • 高リン血症
  • 栄養性二次性上皮小体機能亢進症

血液中でリンとカルシウムは互いにバランスを取り合っており、リンが過剰になるとバランスを取るために骨に貯蔵されているカルシウムから補うため、リンの過剰摂取は骨からカルシウムを奪い、新たなカルシウム吸収を阻害してしまいます。

またリンは腎臓から排泄されるため、過剰なリンの摂取は腎臓に負担をかけ、腎機能の低下や腎臓病の悪化を招き、腎不全の原因となります。

加齢によって腎機能が低下し腎臓病を患った猫にはリンが高めの食事は負担が大きいため、リンが多く含まれるタンパク質を制限した食事に切り替えるよう指示されることが多いです。

欠乏症

  • 骨の変形
  • 成長や発育の遅延
  • 食欲不振
  • 骨がもろくなる
  • 筋力低下

リンが欠乏すると、骨の主要構成成分がなくなるため、骨がもろくなり、変形などの症状が出ます。また筋力も低下し、成長期の猫だと新しい骨が作り出せないので成長に遅れが出ます。

キャットフードのリンまとめ

  • カルシウムの次に多い多量ミネラル
  • 生体の重要な器官の構成要素として働く
  • カルシウムとの比率やバランスが重要
  • 過剰摂取は腎不全やカルシウム吸収阻害を招く

キャットフードに必要なミネラルの種類を解説!不足・過剰で猫がなる病気や症状

2018年7月27日

ABOUTこの記事をかいた人

【監修・執筆】鈴木利奈

一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。