口腔ケアのキャットフード。歯磨き嫌い、口臭が気になる猫に!成分や効果を解説

口腔ケアのキャットフード。歯磨き嫌い、口臭が気になる猫に!成分や効果を解説
古川さん
うちの子、最近口が少し臭うんです…。歯磨きも全然させてくれなくて、どうしたらいいか分からなくて。
猫田
猫ちゃんの口臭は、歯垢や歯石の蓄積が原因であることが多いですね。実は猫は犬よりも歯周病になりやすく、3歳以上の猫の約8割が何らかの歯肉炎を抱えているとも言われているんですよ。
古川さん
そんなに多いんですか…!でも歯磨きは本当に難しいです。嫌がって逃げちゃって…。
猫田

そんなときに役立つのが「口腔ケアのキャットフード」です。普段のごはんを変えるだけで、噛むたびに歯垢を落としたり、口臭を抑えたりといった効果が期待できます。

今回は、猫の歯と口の健康を守る「口腔ケアキャットフード」について、配合成分や選び方、注意点を解説していきましょう。

口腔ケアのキャットフードとは?

機能性キャットフードのひとつ

口腔ケアのキャットフードとは、猫の歯と口内の健康を維持するために設計された「機能性キャットフード」の一種です。通常の総合栄養食と同様に必要な栄養バランスを満たしつつ、歯垢や歯石の蓄積を抑え、口臭を軽減する働きを持ちます。

粒の形や硬さ、配合成分などが工夫されており、噛むことで歯の表面を自然にこすり、清潔に保てるのが特徴です。猫は食べ方のクセや顎の大きさに個体差があり、「丸飲みする」という習性も見られるため、噛む動作を促す設計が重要となります。

口腔ケアのキャットフードは、歯磨きを嫌がる猫でも毎日の食事を通して無理なく口内環境を整えることができ、歯周病予防のサポートとして注目されています。

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さまざまな表記がされる

口腔ケアのキャットフードはブランドやメーカーによって表現が異なります。パッケージや公式サイトでは、次のような言葉がよく使われています。

  • オーラルケア
  • デンタルケア
  • デンタルサポート
  • 歯の健康維持
  • 口臭ケア
  • 歯垢・歯石コントロール

名称は異なっても、目的はいずれも「口内の健康維持」であり、基本的な機能に大きな違いはありません。

猫は口腔トラブルにかかりやすい

猫は犬に比べて口の中が小さく、奥歯の歯磨きが難しいため、歯垢がたまりやすい傾向があります。歯垢が石のように硬化して歯石となると、細菌が繁殖しやすくなり、歯茎の炎症(歯肉炎)から歯周病へと進行します。

歯周病が進むと、痛みや強い口臭の原因になるだけでなく、歯が抜けたり、食欲の低下を引き起こすこともあります。また、歯周病菌が血流を通じて全身に広がると、心臓・肝臓・腎臓などの臓器に影響を与えることもあり、全身疾患の一因となる場合もあります。

とくに短い鼻を持つペルシャエキゾチックショートヘアなどは顎が小さく歯が密集するため、歯垢が溜まりやすく、歯周病や口臭のリスクが高い傾向にあります。

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口腔ケアキャットフードの特徴

口腔ケアキャットフードは、「噛む」「磨く」「清潔を保つ」という3つの要素を組み合わせ、猫の歯の構造や食べ方に配慮して作られています。

① 食べながら歯垢を落とす粒設計

粒の大きさや形状に工夫があり、噛むことで歯の表面に摩擦が生じ、歯垢を削ぎ落とします。通常のキャットフードより少し大きめの粒を採用し、丸飲みを防ぎながら歯の表面と接触するよう設計されているものもあります。クロス形状多面体の粒、中が空洞の粒など、メーカーごとに異なる工夫が見られます。

猫が自然な噛み方で食べながら「歯磨き効果」を得られるのが特徴です。

② 口臭や歯石を防ぐ抗菌成分の配合

歯垢が歯石に変化するのを防ぐために、リン酸塩亜鉛などのミネラル成分が配合されている製品があります。また、クロロフィル(葉緑素)緑茶ポリフェノールなどの天然由来成分が、口臭の原因となる細菌の繁殖を抑え、口内を清潔に保ちます。

猫は唾液の分泌量が犬より少なく、口の中が乾きやすいため、抗菌・消臭作用を持つ成分の働きが重要です

③ 歯茎や粘膜の健康を守る栄養素

口腔トラブルの多くは、歯そのものよりも歯茎の炎症から始まります。そのため、抗酸化作用を持つビタミンCやE、免疫を整えるタウリンなどが配合されていることもあります。これらの成分は歯茎の血流を保ち、歯周病の進行を防ぐ助けとなります。

口腔ケアキャットフードに含まれる主な成分

リン酸塩(ポリリン酸ナトリウムなど)

リン酸塩(ポリリン酸ナトリウムなど)は歯石が形成される前段階で沈着を防ぐ成分で、歯の表面にミネラルが付着するのを抑えます。歯磨きやデンタルおやつと併用すると、より高い予防効果が期待できます。

亜鉛

亜鉛は抗菌・抗炎症作用を持ち、歯茎の健康を守るミネラルです。口腔内細菌の繁殖を抑え、歯肉炎や口臭の発生を防ぎ、皮膚や被毛の健康にも関与します。

クロロフィル(葉緑素)

クロロフィル(葉緑素)は植物由来の天然成分で、口臭の原因物質を中和し、口内をすっきり保ちます。消臭だけでなく、腸内環境を整える作用もあるため、全身の健康維持にもつながります。

ビタミンC・E・タウリン

抗酸化作用を持ち、歯茎や口内の粘膜を保護します。とくに猫に欠かせないタウリンは、免疫機能をサポートし、健康な口内環境の維持に貢献します。

口腔ケアキャットフードが向いている猫

口腔ケアのキャットフードはすべての猫に役立ちますが、とくに次のような猫におすすめです。

  • 歯磨きを嫌がる猫:食事の中で無理なく口腔ケアができる
  • 高齢猫:唾液が減って細菌が繁殖しやすく、口臭が強くなりやすい
  • ウェットフード中心の猫:摩擦が少なく、歯垢が付きやすい
  • 歯周病の既往がある猫:再発防止のためのサポート食として

とくに7歳以降の猫では歯周病のリスクが高まるため、早めに口腔ケアフードを取り入れるのが理想的です。

口腔ケアキャットフードを選ぶときのポイント

① 成分表示を確認する

「歯石予防」や「口臭ケア」と書かれていても、実際にリン酸塩や亜鉛、クロロフィルなどの有効成分が含まれていない場合もあります。パッケージ裏の原材料欄を必ずチェックしましょう

② 粒の大きさ・形状を猫に合わせる

猫は食感に敏感で、粒が大きすぎると食べ残したり、小さすぎると丸飲みしてしまうことがあります。猫の年齢や噛む力に合わせて選ぶことが大切です。

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③ 「総合栄養食」であることを確認

補助食やおやつタイプの口腔ケアフードも多いため、主食として毎日与える場合は総合栄養食であることを確認しましょう。AAFCOやFEDIAFの基準を満たす製品を選ぶと安心です。

口腔ケアキャットフードの注意点

歯磨きの代わりにはならない

口腔ケアのキャットフードはあくまで「補助的なケア」であり、歯磨きの代わりではありません。すでに歯石が固着している場合は、動物病院でのスケーリングが必要です。

歯や顎の弱い猫への配慮

高齢猫や歯が欠けている猫には、硬い粒が負担になることがあります。その場合はふやかして与えるか、柔らかめの口腔ケアフードを検討しましょう。

効果を過信しすぎない

「歯石除去」と書かれていても、キャットフードですでに付着した歯石を完全に除去することはできません。歯石が見られる場合は早めに動物病院を受診し、専門的な処置を受けることが大切です。

まとめ

  • 口腔ケアのキャットフードは、歯垢・歯石・口臭を抑える機能性フード
  • 猫は歯磨きが難しく、毎日の食事でケアする方法が効果的
  • 粒の形や硬さ、リン酸塩・亜鉛などの成分が歯の健康を支える
  • 高齢猫やウェットフード中心の猫は特に導入が推奨される
  • 歯磨きの代わりではないため、定期的な口腔チェックも重要

ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士の資格を取得。キャットフード勉強会ディレクターとして、猫ちゃんの栄養や病気、生態、キャットフードなどの情報を提供しています。猫ちゃんの魅力を発信し、飼い主さんの悩みや不安を解決することで、猫ちゃんと飼い主さんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。