キャットフードの原材料:クエン酸(citric acid)
柑橘類の酸味成分
クエン酸とは、酸味の強い柑橘類に含まれる酸味成分です。レモンやグレープフルーツなどに多く含まれています。かなり強い酸性(pH2.1)で、食べ物の消化を行っている胃酸に近いpH値となっています。
日常的な物では、食品添加物やアルカリ性汚れの掃除、サプリメントなどにも使われていて、私達にとって非常に身近なものと言えます。
クエン酸は自然由来ではありますが、食品添加物のリストは指定添加物(合成添加物)に分類されています。
キャットフードのクエン酸
キャットフードでは酸化防止剤、pH調整剤として使用されることが多いです。
またキャットフードの他にも、臭い対策グッズや消臭スプレーにもクエン酸が利用されることがあるので、すでに動物にとって危険は少ないと認知している人も多いかもしれません。
クエン酸による効果と働き
抗酸化作用
クエン酸には抗酸化作用があるので、キャットフードでは酸化防止剤として使われます。
酸化とは、酸素と物質が化合する反応のことで、細胞老化に繋がる活性酸素を作り出し、フードの劣化を進めます。
その結果、酸化は風味を変化させたり、発がん性物質発生、生活習慣病の原因になったり、様々な問題を引き起こします。
ドライフードには脂質にあたる油脂は酸素と化合しやすく劣化しやすいので、フードの品質を保つためにクエン酸などの酸化防止剤が利用されます。
疲労回復
クエン酸には疲労回復の効果があることで有名です。
疲労は、酸化ストレスによって細胞がダメージを受けた際に生じるので、疲労を回復させるにはダメージを受けた細胞を修復することが大切です。
クエン酸は、細胞修復に必要なエネルギー源「ATP」をつくるクエン酸回路を活性化させる働きがあるので、疲労回復には欠かせない成分となっています。
pH調整剤として配合
クエン酸はpH値(酸性・中性・アルカリ性)を調整するpH調整剤として利用される添加物です。
クエン酸は酸っぱくて名前にも”酸”という文字が入っているので、一見、pH値を酸性に傾けると思われがちですが、体内でアルカリ性食品として働きます。実はアルカリ性です。
クエン酸自体は強い酸性(pH2~3)ですが、酸性食品かアルカリ性食品かどうかは、体内で燃焼した後に残った物で何性なのか判断されます。
ナトリウムやカリウムなどアルカリ性のイオンを多く含み、体内ではpH値をアルカリ性へ傾ける働きがあるので、クエン酸はアルカリ性のpH調整剤として利用されます。
pH値は猫がかかりやすい尿路結石症や膀胱炎と関係します。pHが酸性に傾き過ぎると、シュウ酸カルシウム結石症になるリスクが高くなります。
シュウ酸カルシウム結石は高齢になると発症が多く、また食事で溶かすことができないので手術によって取り除く必要があります。高齢になると手術も大きな負担となるので、結石が形成されないようpH値を酸性に傾けすぎないよう予防することが大切になります。
クエン酸はpH値をアルカリ性に傾けてくれるので、酸性気味になりやすい猫にはおすすめです。
キャットフードのクエン酸まとめ
- 柑橘類に含まれる自然由来の添加物
- トイレやおしっこの臭い対策にも使われる
- 安全で副作用はない
- 活性酸素や劣化を招く酸化を抑制
- pH調整剤として利用