キャットフードの成分:カリウム(K)
細胞内液でpH値や浸透圧を調整
カリウム(Potassium:K)は原子番号19番のアルカリ金属元素で、栄養学では必須多量ミネラルに分類され、猫の体ではカリウムは9割以上が細胞内液で、残った数%が血液やリンパで働きます。
カリウムとナトリウムは細胞の内外でお互いに作用しながら、下記のような反応や機能を正常に保っています。
- 浸透圧の調整・維持
- 神経刺激の伝達
- 心臓・筋肉機能の調節
- 酵素反応の調節
- pHの調整
- 血圧の調整
また、余分なナトリウムを排出させる作用もあります。塩分を摂取した場合、ナトリウムはカリウムと一緒でないと体外に排出されないので、ナトリウムを体から追い出すにはカリウムも必要になります。
カリウムは細胞に存在するので様々な食べ物に含まれています。特にバナナやメロン、アボカド(※猫にはNG)、ホウレン草、サツマイモ、大豆など果物や野菜、豆類に豊富に含まれています。
あまり猫が食べるものとしてはメジャーな食べ物ではありませんが、肉や魚など様々な食べ物に含まれるので、これらを食べなければカリウムが得られないというわけではありません。摂取されたカリウムは小腸で吸収されてほとんどが腎臓から排泄され、足りなければ腎臓で再吸収されて量を調節されます。
カリウムが多い食材
キャットフードのカリウムの必要量
AAFCOが公表した2016のキャットフードの栄養基準によれば、キャットフードに必要なカリウムの量は、成長段階問わず0.6%以上です。上限値はなく、必要量はナトリウムよりも多く設定されています。
カリウムは水に溶けやすく茹でたり煮たりすると失われやすく、キャットフードの最低基準でもカルシウムやリンの次に必要量が多く設定されています。カルシウムやリンは骨や歯に貯蔵できるので不足することは少ないですが、カリウムは貯蔵量に限りがあるので、毎日適量を摂取する必要があります。
カリウムの欠乏/過剰摂取
カリウムの欠乏
- 筋肉機能低下
- 下痢
- 食欲低下
- 不整脈
- 低カリウム血症
猫は高齢になると、慢性腎臓病や腎不全のリスクが高まりますが、腎臓の働きが低下するとカリウムの量を調節できなくなり、カリウムが欠乏しやすくなります。このため腎機能が低下すると薬やサプリメントなどを利用してカリウム不足にならないようカリウムを猫に摂取させることがあります。
カリウムの過剰摂取
- 尿毒症
基本的にカリウムは多く摂取しても体には吸収されず、体外に排出されますが、腎臓機能が低下した猫がカリウムが過剰になると、カリウムの排出量や蓄積量を調節できなくなり、尿毒症の原因になります。
まとめ
- 必須多量ミネラルの一つ
- ほぼ細胞内に存在
- 細胞外のナトリウムと共に様々な調節を行う
- 腎臓病になるとカリウムの吸収量が調節できなくなる