キャットフードの原材料:ミルクシスル(Milk thistle)
ミルクシスルとは
ミルクシスル(Milk Thistle)とは、キク科に属するハーブの一種です。地中海沿岸を原産地とする植物で、紫色の花と白い斑点がある葉が特徴的です。
なんと、2000年以上の歴史を持つハーブとして知られ、その利用は古代ギリシャやローマ時代にまで遡り、主に肝臓や胆のうの健康を保つためのハーブ療法に利用されていました。現代ではサプリメントやハーブティーとして広く使用されています。
白い模様がミルクに見えることが由来

ミルクシスルという名前は、葉の白い斑点模様が「ミルク(牛乳)がこぼれたように見える」ことが由来とされています。日本では「オオアザミ」ともよばれています。
また聖母マリアが授乳している際にこぼれた乳が植物の葉に付着し、その結果、葉に白い模様が現れたことから「マリアアザミ」とよばれたとの説があります。
ミルクシスルが原材料のキャットフード例
ミルクシスルが使用される目的
キャットフードやサプリメントの原材料に使用されるのは、主にミルクシスルの種子(シード)です。種子には有効成分であるシリマリンが豊富に含まれており、抗酸化作用や抗炎症作用が強く、猫の肝機能をサポートする効果が期待されています。
肝臓は体内の解毒や代謝を担う重要な器官であり、とくに高齢猫や慢性的な肝疾患を抱える猫では、肝臓の負担を軽減するためのサポートが必要です。
ミルクシスルがキャットフードに配合されるのは肝臓の保護と強化が目的であることが多くみられ、猫の健康維持や肝疾患予防に役立つとされています。
ミルクシスルが原材料のキャットフード例
ミルクシスルはさまざまなキャットフードやおやつ、サプリメントの原材料に使用されています。原材料欄には、ミルクシスル、ミルクシスルシード、ミルクシスル種子、ミルクシスルエキスなどと表記されます。
- ハッピーキャット グレインフリーシーフィッシュ
- オリジン オリジナルキャット ドライ
- アズミラ ミルクシスル
- グリーンフィッシュ キャット ドライ
- ミルクシスル(マリアアザミ)エクレクティックのハーブ など
ミルクシスルの栄養素と猫への健康効果
ミルクシスルに含まれるシリマリンには多くの健康効果があります。
- 肝臓の解毒サポート
- 肝細胞の再生促進
- 抗酸化作用
- 抗炎症作用
- 胆汁分泌の促進
- 免疫機能の向上
- 抗がん作用
- 放射線障害の軽減
- 血糖値の調整
とくに肝臓の解毒サポートや、肝細胞の再生促進、抗がん作用についての研究や報告が多数存在します。
肝臓のサポート
ミルクシスルに含まれるシリマリンの抗酸化、抗炎症、抗線維化作用により、慢性肝疾患や肝硬変、肝細胞癌に対する保護効果を持つことが示されています。
さらにシリマリンは肝細胞の修復や再生を促進し、慢性肝疾患の進行を抑える可能性があるとされています。
作用 | 健康効果 |
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抗酸化作用 | 活性酸素種の生成を抑制し、酸化ストレスによる肝細胞の損傷を軽減 |
抗炎症作用 | 炎症性サイトカインの産生を抑制し、肝臓内の炎症を軽減。これにより、炎症が進行することで引き起こされる肝組織の損傷を予防する。 |
抗線維化作用 | 肝臓の線維化を引き起こす主要な細胞である肝星状細胞の活性化を抑制し、線維化の進行を遅らせる。 |
抗がん作用
ミルクシスルに含まれるシリマリンは抗炎症性や免疫調節性、抗脂質過酸化性、抗酸化性、抗増殖性を有することが分かりました。
シリマリンはがんのさまざまな特徴を調整することにより抗がん機能を示すだけでなく、腎毒性、肝毒性、心毒性、および神経毒性などの化学療法誘発毒性に対して保護的役割を果たすと報告されています。
参考:癌治療におけるシリマリン:作用の機序,化学療法誘発毒性およびナノ製剤における保護的役割
ミルクシスルの注意点
まとめ
- 古代ギリシャでは肝臓や胆のうなどハーブ療法で活用されていた
- キャットフードの原材料に使用されるのはミルクシスルの種子
- 肝臓の解毒サポートや抗がん作用などの健康効果を持つ