キャットフードの原材料:全脂乳・全粉乳(ミルクパウダー)
全脂乳・全粉乳(ミルクパウダー)とは、生乳から他の成分を除かず(粉乳は水分のみ除いて乾燥)製造された原材料です。
脱脂粉乳は名前の通り脂質を遠心分離機で除いたものを粉末状にしますが、全粉乳は特に何も除かずに生乳を乾燥させて粉末状にしているため、脱脂粉乳よりも脂肪の割合が多くなっています。
猫については記載がありませんが、犬の場合、脱脂粉乳より脂質量が多い全粉乳の方が嗜好性が高いと報告されています。
高カロリーになるため成猫用のキャットフードに使用されることはほとんどなく、少量で高いエネルギー量が必要な子猫用ミルクや離乳食などに配合されます。
全脂乳・全粉乳の栄養素とメリット
成分値 | たんぱく質 | 25.5g |
脂質 | 26.2g | |
炭水化物 | 39.3g | |
灰分 | 6.0g | |
水分 | 3.0g | |
カロリー | 100g | 490kcal |
3大エネルギー(タンパク質・脂質・糖質)が豊富
全粉乳(ミルクパウダー)には、三大栄養素のタンパク質・脂質・炭水化物(糖質)が豊富に含まれています。
炭水化物は約4割、タンパク質は1/4、脂質は1/4で、合計すると三大栄養素が全体の9割以上を占めています。
成長に必要な栄養素がたくさん含まれる
全粉乳(ミルクパウダー)は、卵に並ぶ良質な食品で、エネルギー源だけでなく他にもカルシウム、リン、マグネシウムなど多量ミネラルや必須ビタミンも豊富に含まれています。
離乳するまではミルクだけで育つので、ミルクには幼少期に必要な栄養素が非常に多く詰まっています。
全脂乳・全脂粉乳の注意点とデメリット
太りすぎ、肥満の猫には注意
全粉乳は脱脂粉乳や他の乳製品と比較しても非常にカロリーが高いため、成長しきった大人の猫に与えると、エネルギーが使い切れず肥満の原因になります。
大人の猫でも、たとえば食欲が低下していたり、口腔トラブルでご飯が十分に食べられない、また悪液質など衰弱が心配される猫には全粉乳もおすすめですが、健康的で通常フードを問題なく食べられる猫には基本的に必要ありません。
猫用全粉乳・全脂乳を選ぶ
人用の全粉乳や全脂乳は、牛の生乳から作られていますが、牛乳には乳糖(ラクトース)が豊富に含まれており、犬や猫が摂取すると乳糖不耐症でお腹を壊してしまいます。
猫の乳はラクトースの含有量が少ないので、猫に全粉乳を与える場合は、猫と同様に乳糖(ラクトース)の含有量が少ないヤギミルクなどを与えるようにしましょう。
まとめ
- 全粉乳は生乳から水分を除き乾燥させたもの
- 炭水化物・タンパク質・脂質で全体の9割を占める高カロリー食材
- 子猫に必要なミネラルやビタミンも豊富