


一般的に脂質や脂肪と聞くと「太る」というイメージが強いため、ダイエットでもなるべく脂質が少ないものを与えがちですが、猫にとって脂質も重要な栄養素なので、制限しすぎるのもよくありません。
ここでは、猫における脂質の働きや必須脂肪酸についてお話したいと思います。
キャットフードの栄養素:脂質
脂質とは
脂質とは、炭水化物やタンパク質とならぶ三大栄養素で、猫にとっても必要な栄養素の一つです。
キャットフードの脂質の供給源は主に肉や魚ですが、豆や種子からとれる植物性オイルなども脂質の供給源として利用されています。
キャットフードの脂質量
キャットフードの脂質量は15~20%程度が一般的です。
20%以上脂質が含まれるキャットフードは珍しいですが、肉の割合が多いキャットフードは高脂質の傾向があります。
AAFCOが定める脂質の最低基準は9.0%以上なので、9%以下の総合栄養食は販売されていません。
脂質の働き
- エネルギーの供給
- 脂溶性ビタミンの吸収を助ける
- 必須脂肪酸を供給する
脂質は上記のような働きを担っています。
エネルギーを供給
脂質は、炭水化物やタンパク質などの栄養素よりもエネルギー量が高いです。そのため脂肪を多く含む食事はエネルギー要求量を容易に満たすことができます。
そのため例えば、発情期の猫・成長期の猫・運動量の多い猫のような、通常の食事では必要なエネルギーを補えない猫には脂質が多いキャットフードが効果的です。
脂溶性ビタミンの吸収を助ける
脂質は脂溶性ビタミンの吸収も助けています。脂溶性ビタミンとは脂質に溶けやすい性質を持つビタミンで、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどが挙げられます。
脂溶性ビタミンには、成長や体の機能を正常に保つために必要な成分が多いですが、上記のようなビタミンを摂取しても、脂質が十分になければビタミンは体内で効率よく吸収することができません。
猫における必須脂肪酸の供給
脂質は猫の必須脂肪酸の供給源になります。必須脂肪酸とは、体に必要でありながら体内では合成できない脂肪酸を言います。
必須脂肪酸は食事から必要量を摂取する必要があります。必須脂肪酸は様々な活性細胞を合成したり、体の水分を保ちコントロールする重要な役割を担っています。
猫は体内で合成できる成分が少ないため、犬や人に比べて食事から摂取しなければならない必須脂肪酸が多いです。
キャットフードの脂質の欠乏
- 脱毛
- 被毛の乾燥
- 被毛の艶がなくなる
- 治癒が損なわれる
- 皮膚炎を引き起こす
キャットフードでは脂質が10%をきるものもあり、健康な猫でタンパク質から十分なエネルギー源を得られていれば、脂質が少なくてもエネルギーの供給で問題はありません。
ただしビタミン吸収や必須脂肪酸の働きにおいては、欠乏すると上記のように皮膚や被毛に影響が出ます。
キャットフードの脂質の過剰摂取
- 肥満
- 黄色脂肪症
脂質を過剰に摂取すると、知っての通り肥満を招きます。エネルギー消費量の多い猫だったらすぐに消費されますが、脂質は脂肪細胞に変わりやすいので、運動量の少ない猫やエネルギー要求量の少ない猫の場合、多すぎる脂質はよくありません。
また、脂質の中でも青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸を過剰に摂取すると、イエローファット(黄色脂肪症)を引き起こします。脂肪が酸化して炎症を引き起こすので猫は痛みも伴います。
キャットフードの脂質まとめ


キャットフードの脂質について学んだことを復習しましょう。
- キャットフードの脂質は9%以上
- 15~20%が一般的な目安
- 多くのエネルギーが必要な猫に脂質は効果的
- 必須脂肪酸は皮膚や被毛の健康を保つ
- 過剰摂取は肥満の原因に

キャットフードの脂質には脂肪酸という猫にとって食事からとらなければならない重要な成分が含まれていたんですね。
体重管理だからといって脂質をむやみに減らさないようにしたいと思います!