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キャットフードの成分:カルシウム(calcium)
カルシウムとは
カルシウム(calcium)とは猫の必須多量ミネラルの一つで骨や歯を構成する栄養素です。必須ミネラルの中で最も多く体内にある栄養素で、体内には1kgあたり15gがカルシウムが含まれています。
カルシウムは体内に入ると胃酸によって溶かされ小腸で吸収されたのち、99%のカルシウムは骨や歯の構成成分となり、残り1%のカルシウムは体内で様々な働きに影響しています。
カルシウムが多い食べ物
- 煮干し・小魚
- チーズ
- 海藻
- サクラエビ・オキアミ
- 豆腐
- ひじき
カルシウムは様々な食べ物に含まれていますが、特に小魚やサクラエビ等の魚介類や、牛乳やチーズなどの乳製品に多く含まれています。
キャットフードではリンとの比率が重要
キャットフードの成分としてカルシウムを見る時は、リンとのバランスが重要視されます。
カルシウムとリンのバランスは1.2:1:0.08が推奨されています。
リンはカルシウムと一緒に骨や歯を構成する成分ですが、カルシウムとリンのバランスが崩れると、上手に骨として貯蔵や排泄が行えず、尿路結石や腎不全、骨の異常などを引き起こします。
カルシウムの働きと作用
骨や歯を構成する
カルシウムの99%は猫の骨と歯を構成しています。骨や歯はカルシウムの貯蔵庫にもなっていて、カルシウムの摂取量が少なくなっても、ある程度は骨や歯から補うことでまかなうことができます。
筋肉の収縮、神経興奮過程の調節、ホルモン分泌、血液凝固
骨や歯を構成する以外の残り1%のカルシウムは、カルシウムイオンとして体内で筋肉の収縮や神経興奮過程の調節やホルモン分泌、血液凝固などの様々な作用に関与します。
キャットフードに必要なカルシウム量
キャットフードに必要なカルシウム量は成長期の猫で1.0%以上、成猫期以降の猫では0.6%以上です。AAFCOの栄養基準は、日本のペットフード公正取引協議会が定める総合栄養食の基準として採用されているので、日本で総合栄養食として販売されているキャットフードはほとんどこの基準を満たしています。
カルシウムの過剰摂取/欠乏
低カルシウムの症状
- 神経過敏
- 脱力
- 振戦
- 全身性発作
- 食欲不振
- 嘔吐
- 下痢
- 呼吸停止(重度)
体内のカルシウム濃度は上皮小体という器官が管理していて、カルシウムの量の増減に合わせて正常なカルシウム値を細かく保っているため、カルシウムが欠乏することは少ないです。
高カルシウムの症状
- 元気消失
- 食欲不振
- 神経過敏
- 多飲多尿
- 嘔吐
- 下痢
- 膀胱結石
- 腎不全
カルシウムが多く排出されると、猫の膀胱や尿路で結石がつくられやすくなり、シュウ酸カルシウム結石症のリスクが高くなります。シュウ酸カルシウム結石は、ストルバイト結石症のように食事療法で溶かすことができないため、手術による結石の摘出が必要になります。
特に高齢猫になると手術などは負担が大きくなるため、多すぎるカルシウム給与はおすすめしません。
キャットフードのカルシウムまとめ
- 猫の微量必須ミネラルの一つ
- 99%は骨や歯を構成している
- カルシウムはリンとのバランスが重要