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子猫は毎月のごはんが大切!
子猫は1年で急激に成長します。生まれたばかりの子猫の体重は約100gですが、子猫の成長の早さは人間の赤ちゃんの15倍であり、1歳になるまでに約30倍にまで大きくなります。
毎月めまぐるしく変わる体重や器官の成長に大切な時期だからこそ、子猫が食べるごはんがとても重要となります。
子猫との生活は、
- 今月なにを与えればいいのか
- 1日に何回与えればいいのか
- 来月にはなにが必要なのか
をきちんと把握しなければなりません。
この記事では子猫の成長カレンダーとともに、0~1歳のごはんの内容や量、回数、それぞれの時期の注意点をご紹介します。
子猫の成長カレンダー
誕生~生後4週目(授乳期)のごはんの与え方
生後1年の中で、最も慎重にデリケートに気を配らなければならないのが誕生~生後4週目(授乳期)です。
母猫が献身的で、なおかつ母乳が多く出る場合は心配ありませんが、母猫がいない場合は飼い主さんがつきっきりでお世話をしなければなりません。
きちんと母乳や子猫用ミルクから栄養を摂取していれば、子猫は毎日10~15gずつ大きくなっていきます。毎日子猫の体重を測ってメモを取り、きちんと増えていることを確認しましょう。体重が停滞していたり減っている場合は、すぐに獣医師さんに相談しましょう。
誕生して4週目ごろまでは、食事はすべて母猫の母乳か子猫用ミルクとなります。
母猫がいる場合
母猫がいる場合は、母乳を与えるのがベストとなります。
生後24~72時間以内に飲む母乳を初乳といい、高脂肪・高たんぱくで栄養が豊富に含まれています。初乳を飲むことで母猫から強い免疫をもらい、細菌やウイルスなどの感染症から身を守る免疫力を付けることができます。
子猫が母猫から母乳をきちんと飲めていれば、飼い主さんは手を出さずに母猫に任せましょう。
子猫用ミルクの場合
母猫の体調が優れなくて母乳を出せない場合や、生後すぐに譲り受けた場合、迷い猫を保護したなどの場合は、市販の子猫用ミルクを与えましょう。市販の子猫用ミルクは母乳と同じような成分になるよう、高脂肪・高たんぱくで乳糖が調整されています。そのため、子猫がお腹を壊す心配はありません。
子猫用ミルクは粉タイプと液体タイプがあります。粉タイプは、ミルクの量を測りお湯を入れて溶かします。液体タイプは紙パックで売られていることがほとんどで、温めるだけですぐに与えることができます。
下表は粉タイプと液体タイプのメリットとデメリットです。
子猫用ミルク | メリット | デメリット |
---|---|---|
粉タイプ | ・日常使いにおすすめ ・必要な量だけ作れる ・濃さを調整できる ・長期保存が可能 | ・手間がかかる |
液体タイプ | ・開封前は常温で保存できる ・温めるだけなので手間がかからない ・災害時や忙しいときに便利 | ・長期保存ができない ・値段が高い |
子猫用ミルクの与え方
子猫用ミルクを子猫用の哺乳瓶に入れ、人肌程度に温めます。
子猫をうつ伏せの姿勢にし、頭を少し上向きにさせます。哺乳瓶を45度の角度を保ちながら口に入れ、子猫のペースに合わせて口から溢れないようゆっくり与えましょう。
ミルクを飲みきるか満腹になると、子猫は自分から口を離します。
仰向けの状態であったり、哺乳瓶の穴が大きかったり、哺乳瓶を強く押してしまうとむせてしまったり、溢れたミルクが気道に入ってしまう恐れがあります。
生後1~2週目の子猫は、1日の約90%を寝て過ごします。ずっと寝ているので不安になるかもしれませんが、正常なので心配ありません。ミルクを与え終わったら排泄を済ませ、すみやかにベッドで寝かせてあげましょう。
子猫用ミルクの回数や量
量は商品ごとに定められた給与量を目安に与えますが、子猫の体型の変化や体重の増減をチェックし、食事量を調整しましょう。
1回の量 | 1日の回数 | |
---|---|---|
生後2週目 | 1回5~8ml | 1日8~12回 |
生後3週目 | 1回8~12ml | 1日6~8回 |
生後4週目 | 1回10~20ml | 1日4~6回 |
授乳期の注意点
子猫は長時間の空腹状態が続くと、血液中の糖分(グルコース)が欠乏する低血糖を起こす恐れがあります。肝臓の機能が発達していない子猫はグリコーゲンを貯蔵することができず、授乳が中断されるとすぐに発症してしまいます。
生後間もないうちは、ごく少量を回数を重ねて与えることが大切です。ミルクを与える頻度としては2~3時間おきとなるので、夜中であっても給与を怠ってはいけません。
生後4週目~8週目(離乳期)のごはんの与え方
生後8週目(生後56日)は、動物愛護法の改定により里親や新しい飼い主さんへの引き渡しが可能になる時期です。この時期に子猫をお迎えした方も多いでしょう。
離乳食スタート
生後4週目には乳歯が生え始め、自力でうんちやおしっこができるようになります。生後4週目から、子猫にとって母猫の母乳以外を摂取することができる離乳食スタートのタイミングです。これまでミルクのみで育ってきたので、固形の食べ物は初めての経験となります。
それと同時に水を飲めるようになります。水飲みボウルを数か所に置いたり、水飲みボウルの形状や大きさを変えることで、徐々に興味を持ってくれます。いつでも自由に新鮮な水を飲めるような環境を作りましょう。
子猫の成長度合いは子猫ごとに違ってくるので、その子の成長度合いに合わせて、離乳食を始めてあげましょう。
離乳食の作り方と与え方
◆母乳または子猫用ミルクと、子猫用ドライフードを混ぜる
猫用の離乳食とは、子猫用ミルクに少しずつ子猫用ドライフードを混ぜて柔らかくしたものを与え始める食事です。母乳や子猫用ミルクの量を少しずつ減らしていき、離乳食を少しずつ与えます。食事の切り替えは、とにかくゆっくり、少しずつ、が大切となります。
また、子猫用のキャットフードは成猫用のキャットフードよりも消化性が高く、たんぱく質・脂質・カロリーやビタミン・ミネラルなどの栄養素を十分に備わっていて、子猫の発育の為に欠かすことのできないものです。そのため、出来る限り、成猫用のキャットフードよりも子猫用のキャットフードを給与してあげましょう。
子猫用のキャットフードとして店頭で販売されているものには、キトン、子猫用、ベビーなど子猫用であることが商品パッケージに表記されています。成猫用と間違えないように気を付けましょう。
母乳または子猫用ミルクと、子猫用ドライフードを混ぜるときは、飲み込みやすいようできるだけ柔らかくふやかしましょう。人肌程度に温めることで香りが増し、興味を持って美味しく食べてくれます。ふやかすのはお湯でも大丈夫ですが、飲み慣れたミルクを混ぜると匂いや味に安心感があるため、食べやすくなります。
◆離乳食の与え方
まずは、小さじ1杯程度の離乳食を子猫の前に置いてみましょう。興味を持って鼻をくんくんさせたり、少しでも舐めたり食べることができたら大成功です。あくまで、舌を使ってごはんを食べること、ごはんに体を慣らせることが目的となります。ヒゲや口元が汚れるので、都度きれいに拭いてあげましょう。
警戒したり怖がって食べない場合は、飼い主さんの指先や手のひらに乗せて与えてみましょう。安心感が生まれ、ゆっくりと興味を持ってくれます。
離乳食の回数や量
子猫の胃は小さく消化機能も十分に発達していないため、一度に多くの離乳食を食べることができません。1日の総量を4~8回に分けて与えましょう。このころになると夜中にミルクを与える必要がなくなり、生後8週目にはほとんどの子猫がミルクを卒業できるようになります。
離乳期の注意点
乳歯が生え始めたばかりの子猫は胃腸の消化機能が未発達なので、穀物を多く含む固形のキャットフードを与えてしまうと消化不良を起こし、下痢や嘔吐を引き起こす場合があります。
また、離乳食が始まったことにより下痢や軟便が出やすくなります。体重が減るほどひどい場合は離乳食の割合を減らし、ミルクの量を増やしましょう。
離乳食を食べなくなったときの対処法
子猫が離乳食を食べなくなったときは、まず与えているものの見直しから始めてみましょう!
猫は穀物をほとんど消化することができないため、前述の通り、穀物が多く含まれているものを与えている場合は、ふやかしていても消化不良などを起こす原因となります。その場合にはグレインフリー(穀物不使用)キャットフードを与えるのもひとつの方法です。
また、ハーブなどが多く含まれているキャットフードの場合も注意が必要です。ハーブが苦手な猫もいますし、多くのハーブが配合されている場合はどれが原因かもわかりにくくなる要素の一つです。
子猫の間は極力シンプルな配合のものを選ぶようにし、子猫に負担を与えないようにしてみるのもおすすめの方法です。要するに、子猫に与えるキャットフードは“シンプルイズベスト”です!
猫のキャットフードの好き嫌いについては、以前に書いたこの記事も参考にして下さい。
生後8週目~6ヵ月(子猫用フード期)のごはんの与え方
骨格や内臓機能が発達する成長期になると、離乳食から本格的な子猫用フードへ移行します。徐々に乳歯から永久歯に生え変わり、食欲も旺盛になります。この時期は、ドライフードを嚙み砕けるようになることが目標となります。
子猫用フード
成長期の子猫はエネルギー量やたんぱく質、ビタミン、ミネラルなどの栄養が成猫よりも必要となります。総合栄養食はこれらの栄養素をバランスよく摂取することができ、丈夫な体作りと健康維持に効果的です。
子猫用フードの与え方
ドライフードへは一気に切り替えるのではなく、離乳食から徐々に移行していくようにしましょう。
ドライフードにお湯を入れてふやかしたものを与えます。最初はドライフードがふにゃふにゃに崩れるくらいからスタートしましょう。子猫があごを使ってごはんを咀嚼することが大切です。
生後5ヵ月になると乳歯から永久歯への入れ替わりが進みます。徐々にお湯の量を減らしていき、30日ほどかけてドライフード本来のカリカリの硬さにまで近づけます。
子猫用フードの回数
生後4ヵ月までは1日の総量を4~8回に分けて与えます。成長とともに一度に食べられる量も増えていき、生後6ヵ月ごろには3~4回で良いでしょう。
子猫用フード期の注意点
硬さのあるごはんを食べることが初めてなので、ごはんを食べないことがあります。原因は、乳歯から永久歯への生え変わりによる口の中の痒み、乳歯と永久歯が重なって痛い、ごはんが硬い・大きいなどが考えられます。
ふやかすお湯の量を増やして、口の中の負担を減らしてあげましょう。
生後6ヵ月~12ヵ月(成猫用フード期)のごはんの与え方
成猫用の与え方
生後6ヵ月になると骨格や内臓機能、体つきがしっかりしてきて、成長期が終わりとなります。
成猫用フードへは一気に切り替えるのではなく、子猫用フードから徐々に移行していくようにしましょう。子猫用フードと成猫用フードを交互に食べさせたり、混ぜて与えましょう。
成猫用フードの回数
成猫と同じ、1日の総量を2~3回に分けて与えましょう。生後12ヵ月で完全に成猫用への切り替えが完了することが目標です。
成猫用フード期の注意点
生後12ヵ月を過ぎても子猫用フードを与えていると、肥満になる恐れがあります。子猫用フードは成猫用フードよりも高カロリーで、栄養素が豊富に含まれています。成猫にとってはエネルギーや栄養素の過剰摂取となり、肥満化や病気の併発につながる恐れがあります。
避妊・去勢手術をする場合
生後6ヵ月をすぎると、避妊・去勢手術を検討する時期になります。避妊・去勢手術をすると、活動量の減少などにより太りやすい傾向にあります。
手術後は、栄養の吸収スピードやエネルギー量に配慮されている避妊・去勢手術後用のキャットフードに変更するのがおすすめです。パッケージの記載は「避妊・去勢手術後用」のほか、「インドア」「室内猫」「太りやすい猫」などの記載があるものも同じ工夫がされています。
まとめ
- 子猫は生後1年でめまぐるしく成長するため、ごはんの与え方が重要
- 誕生~生後4週目はミルクのみで育て、ごく少量を頻度に与える
- 生後4週目~8週目は初めて固形物を食べるので、慎重にゆっくり行う
- 生後8週目~6ヵ月はカリカリのドライフードを噛み砕くことが目標
- 生後6ヵ月~8か月は成長期が終わり、成猫フードへ徐々に切り替える