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キャットフードの原材料:ズッキーニ(zucchini)
ズッキーニとはウリ科カボチャ属に分類される夏野菜で、見た目はキュウリに似ていますが、分類上はペポ型カボチャの一種です。果実は細長く、緑色や黄色などの品種があり、完熟する前の若い状態で収穫して食用にします。
原産地は中南米とされ、現在では世界中で栽培されています。暑さに強く成長が早いため、夏の家庭菜園にも人気です。
ズッキーニが原材料のキャットフード例
ズッキーニはさまざまなキャットフードおやつの原材料に使用されています。
原材料欄にはズッキーニの他に、乾燥ズッキーニなどと表記されます。
- オリジンキャット&キトゥン
- アルモネイチャー コンプリート ズッキーニ入り 鶏肉とまぐろ
- ヴィーガン/ズッキーニ・エンドウ豆・レンズ豆
など
ズッキーニの栄養素と猫への健康効果
ズッキーニの健康効果
100あたりの栄養素 | ||
---|---|---|
エネルギー | 16 | kcal |
水分 | 94.9 | g |
たんぱく質 | 1.3 | g |
炭水化物 | 2.8 | g |
カリウム | 320 | mg |
βカロテン | 310 | μg |
ビタミンK | 35 | μg |
ビタミンC | 20 | mg |
食物繊維 | 1.3 | g |
- 水分が豊富なので水分補給、脱水予防に
- 低カロリーでダイエット中の猫に
- 食物繊維が便通をサポートする
- βカロテンによる抗酸化作用
ズッキーニは約95%が水分で構成されており、水をあまり飲まない猫の水分補給の一助になります。また、低カロリーなため、肥満気味の猫や運動量の少ない高齢猫にも取り入れやすい食材です。食物繊維が豊富で、便秘傾向のある猫にも適しています。加えて、カリウムなどのミネラル、βカロテンも含まれており、体の酸化ストレス対策にも一役買う可能性があります。
尿路結石の予防に役立つ
2022年には、キャットフードにズッキーニを混ぜて与えることで猫の尿にどんな影響を与えるか、とくにシュウ酸カルシウム結石(尿路結石の一種)ができやすいかどうかの研究が発表されました。
健康な猫8匹に、5種類の食事を順番に与えて、その後の尿の状態を比べました。
- 市販の療法食(缶詰タイプ)
- 市販の療法食(ドライタイプ)
- 手作りのごはん(ズッキーニ入り)
- 普通のドライフード
- 普通のドライフードにズッキーニをプラスしたもの
その結果、③手作りごはん(ズッキーニ入り)と⑤ドライフードにズッキーニをプラスしたものにおいて、猫の尿中のシュウ酸カルシウムの相対過飽和度を低下、つまり結石ができにくい尿に変化したことが分かりました。
苦いズッキーニは要注意!中毒成分「ククルビタシン」について
ククルビタシンとは?
ククルビタシン(cucurbitacin)とはズッキーニやキュウリ、カボチャなどウリ科に含まれる苦味成分です。天然の防御物質で、害虫や動物に食べられないようにする働きがあります。通常、食用に栽培されるズッキーニには含有量が極めて低く、苦味は感じられません。
ただし、交雑や栽培環境のストレス(高温・干ばつなど)によって異常にククルビタシンが増加することがあり、強い苦味と毒性を持つことがあります。
ククルビタシンの中毒症状
非常に苦いズッキーニを食べた場合は、ククルビタシン中毒のリスクがあります。人間では「ククルビタシン中毒(toxic squash syndrome)」として知られ、胃腸障害や脱毛を起こすこともあります。
猫にとっても有害とされ、嘔吐や下痢、食欲不振、ふらつきなどの症状があらわれ、重症化すると脱水や神経症状があらわれる可能性があります。
ただし、動物に対する正確な中毒量や詳細な研究は少ないため、用心が必要です。
猫はズッキーニを食べても大丈夫?
食べても大丈夫!でも生食はNG
ズッキーニは、猫が食べても大丈夫な野菜のひとつです。低カロリーで水分が豊富なため、ダイエット中の猫や水分摂取が気になる猫にも向いています。
ただし、生のズッキーニは与えないようにしましょう。先ほど解説した通り、ウリ科の植物にはククルビタシンが含まれています。
猫へのおすすめの与え方
ズッキーニを猫に与える際は、「加熱」「無味」「少量」の3つを守りましょう。
加熱調理(蒸す・茹でる・焼くなど)によりククルビタシンのリスクを下げるだけでなく、柔らかくすることで、猫が食べやすくなります。加熱後は必ず冷ましてから、細かく刻んで与えるようにしましょう。
量としては、1回あたりスプーンひとさじ程度が目安です。ドライフードやウェットフードにトッピングする形で与えましょう。
ただし、すべての猫に合うわけではないため、初めて与える際はほんの少量からスタートし、体調に変化がないかをしっかり観察してください。下痢や嘔吐などの異変があればすぐに中止し、獣医師に相談しましょう。
まとめ
- ズッキーニはビタミンやβカロテンが含まれている
- 尿路結石の予防に役立つとされる研究がある
- 苦いズッキーニはククルビタシンが含まれている可能性
- 猫に与える際は必ず加熱調理したものを与える