キャットフードのたもぎ茸。猫の免疫力向上や抗菌・抗腫瘍作用!与え方や注意点は?

キャットフードの原材料:たもぎ茸(Tamogi mushroom

たもぎ茸(たもぎだけ)とは鮮やかな黄色い傘が特徴的なヒラタケ科のきのこで、漢字では「楡木茸」と書きます。

天然のたもぎ茸は夏の限られた短い期間にしか収穫できず、さらに山奥の深い場所でしか見つからなかったため、幻のきのことも称されていました。一般にはあまり知られていないきのこですが、北海道では「タモキノコ」や「コガネシメジ」と呼ばれ、食用として親しまれています。

栄養価が高く、特にβグルカンエルゴチオネインを豊富に含み、猫の免疫力向上や抗酸化作用が期待されています。

タモギ茸が原材料のキャットフード例

たもぎ茸はキャットフード(ドライ・総合栄養食)に配合されているのは見かけませんが、ウェットフードや猫用おやつ、猫用サプリメントの原材料に使用されています

原材料欄にはたもぎ茸のほかに、たもぎ茸パウダーたもぎ茸粉末たもぎ茸エキスなどと表記されます。

  • 株式会社モノリス コルディG
  • 生酵素 たっぷり 北海道産 たもぎ茸 酵素 で元気な毎日を応援
  • ヘルシーアニマルズ 北海道産 たもぎ茸濃縮エキス(粉末タイプ)
  • ヘルシーアニマルズ 北海道産 鹿肉リゾット フリーズドライ

など

たもぎ茸の栄養素と猫への健康効果

エルゴチオネインとβグルカンが豊富

たもぎ茸にはアミノ酸やビタミンB群、食物繊維などの栄養素が豊富に含まれていますが、特に注目すべき栄養素はエルゴチオネインβグルカンです。

たもぎ茸のエルゴチオネインは、きのこ類の中でも最も多い含有量とされています。研究による明確な数値データはありませんが、含有量が多いとされるしいたけの約7倍の含有量で、βグルカンと並ぶほどのたもぎ茸の主成分といわれています。

また、たもぎ茸に含まれるβグルカンはきのこ類の中でも特に豊富で、健康きのこの一つであるアガリクスの約1.5倍から2倍といわれています。

少量ながらも高栄養価を摂取できるきのこ類は、猫にとって有効的といえます。

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たもぎ茸抽出物の抗菌作用

たもぎ茸の熱水抽出物には、カンジダ菌に対する直接的な抗菌作用と、抗菌ペプチドβディフェンシンの発現を上昇させる作用があることが研究により明らかになりました。

カンジダ菌とは健康な猫の口腔や腸、皮膚、粘膜などに存在する常在菌の一種ですが、免疫力の低下やストレスなどの理由により異常増殖すると感染症を引き起こします。

βディフェンシンとは猫の皮膚や粘膜の上皮細胞が産生する抗菌成分で、細菌やウイルス、真菌に対する防御機能を持ちます。また抗カンジダ効果も持ち合わせています。

これにより、たもぎ茸熱水抽出物は直接作用と間接作用の両方からカンジダ菌の増殖を抑制する可能性が示唆されました。

この研究はマウスによるものですが、猫にも同様の効果があるといえます。

参考:タモギダケ熱水抽出物の抗カンジダ菌効果および上皮細胞におけるβディフェンシン発現増強作用

エルゴチオネインは抗菌ペプチドの発現を上昇させる

上記の研究では、たもぎ茸に含まれるエルゴチオネインが抗菌ペプチドβディフェンシンの発現を上昇させることも分かりました。

エルゴチオネインとは主にきのこ類に多く含まれるアミノ酸で、強い抗酸化作用により細胞の酸化ストレスを軽減し、猫の老化予防やアンチエイジング、炎症抑制、抗腫瘍作用などの効果があります。

エルゴチオネインは特に酸化ストレスの多い臓器(肝臓や腎臓、赤血球、ミトコンドリアなど)で高発現しており、効率よく蓄積することで細胞の保護や免疫力向上に関与するとされています。

βグルカンによる免疫力の向上

βグルカンとは多糖類の一種で、たもぎ茸に豊富に含まれています。マクロファージやナチュラルキラー(NK)細胞を活性化して体の防御機能を強化したり、抗菌作用、抗腫瘍効果が期待されています。

たもぎ茸のβグルカンは水溶性と不溶性の両方が含まれており、腸内環境を整える働きも持っています。特に水溶性βグルカンは消化管から吸収されやすく、猫の全身の免疫調整に関与すると考えられています。

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食物繊維による腸内環境の改善

たもぎ茸には、腸内環境を整える食物繊維やβグルカンが豊富に含まれています。

前述で解説した通り、βグルカンはは免疫力の向上に効果的ですが、腸内の善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌)のエサとなって、有害な細菌の増殖を抑える作用もあるため、便秘の予防や整腸作用、腸内環境の改善に大きく寄与します。

猫の腸内環境の改善は全身の健康度にもつながるため、飼い主さんがしっかりと予防をし、健康維持・向上に努めましょう。

参考:犬の腸内環境が多様なほど、健康度が高いことが明らかに!|アニコムホールディングス株式会社

タモギ茸の与え方や注意点

キャットフードのトッピングやおやつ

たもぎ茸は猫にとって中毒となる成分が含まれていないため、猫は食べても大丈夫です。

猫に与えるときは味付けなどはせずにそのまま茹でて細かくカットし、キャットフードにトッピングしたり、スープに混ぜたり、おやつやご褒美として与えましょう。

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生で与えるのはNG

猫は本来肉食動物であるため、食物繊維が豊富な生のきのこは猫にとって消化・吸収しやすい食べ物です。そのため生のきのこは消化不良を起こしやすく、下痢や嘔吐などの消化器症状を引き起こす恐れがあります。

アレルギーに注意

たもぎ茸によるアレルギーの発症はほとんど聞きませんが、可能性はゼロではありません。猫に初めて与える場合は少量からスタートし、様子や体調に異変があらわれたらすぐに中止し、動物病院で診てもらいましょう。

まとめ

  • ウェットフードや猫用おやつ、猫用サプリメントの原材料に使用される
  • エルゴチオネインはしいたけの約7倍、βグルカンはアガリクスの約2倍含まれている
  • 抗菌・抗酸化・抗腫瘍作用、免疫力向上、腸内環境の改善など多くの健康効果がある
  • 猫に与えるときは生ではなく、必ず加熱する

ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士の資格を取得。キャットフード勉強会ディレクターとして、猫ちゃんの栄養や病気、生態、キャットフードなどの情報を提供しています。文章を通して猫ちゃんの魅力を発信し、また飼い主さんの悩みや不安を解決することで、猫ちゃんと飼い主さんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。