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関節サポートのキャットフードとは?
関節サポート用のキャットフードとは、関節にかかる負担を軽減したり、軟骨や関節液の健康を維持するための栄養素が強化されたキャットフードのことです。とくに加齢や体重増加、遺伝的な要因で関節に不安を抱えやすい猫に向けて開発されています。
猫の関節トラブルは高齢になるにつれて顕在化しやすく、日常のちょっとした変化に表れます。
- 歩き方がぎこちない
- ジャンプをためらう
- 高いところに登らない
- 後足がふらつく
- 寝てばかりいる
- 触ると怒る
など、猫の行動の変化を感じたら関節への配慮が必要なサインかもしれません。
近年では、「関節サポート」と記載されたキャットフードも多く販売されており、食事からケアするという選択肢が広がっています。パッケージには「関節サポート」「Joint Support」などの表示があり、総合栄養食として日常的に猫に与えられる製品も多く販売されています。
関節サポートのキャットフードの栄養素と成分
関節に配慮したキャットフードには、主に下記の栄養素が含まれています。
グルコサミンとコンドロイチン
グルコサミンとコンドロイチンは関節軟骨を構成する主要成分であり、関節の弾力性やクッション性を維持するうえで不可欠です。グルコサミンは軟骨の生成を促し、コンドロイチンはその軟骨の分解を抑える働きがあります。
とくに年齢とともに体内での生成量が減少するため、食事から補う意義は大きいとされています。
オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)
魚油や南極オキアミに多く含まれるオメガ3系脂肪酸は、関節における炎症を抑える効果が期待されており、関節炎の症状緩和に有効とされています。炎症性サイトカインの生成を抑えることで、痛みや腫れの軽減に寄与します。
MSM(メチルスルフォニルメタン)
MSM(メチルスルフォニルメタン)は天然の有機硫黄化合物で、抗炎症作用や軟骨保護作用が注目されています。関節の違和感を和らげて動きやすさをサポートするとされ、さまざまなプレミアムフードにも原材料として配合されています。
緑イ貝抽出物
ニュージーランド原産の緑イ貝は、天然のグルコサミンやオメガ3脂肪酸を豊富に含む食材で、関節の健康維持に適した素材です。とくに天然志向の飼い主に好まれる成分で、嗜好性が高いのも魅力です。
ビタミンE・C
抗酸化作用のあるビタミン類は、関節組織の老化防止に効果があるとされています。抗酸化成分として細胞の酸化ダメージを減らすことで、関節の炎症や痛みの進行を和らげる可能性があります。
猫の関節トラブルによって起こる疾患
関節に関わる疾患は、主に
- 関節炎
- 変形性関節症
- 膝蓋骨脱臼
などさまざまあります。症状が悪化すると外科手術などが必要になる恐れがあるため、関節サポートや予防はしっかりと行いたいところです。
どんな猫に関節サポートが必要?
遺伝・体型・運動特性などが関係
以下のような傾向がある猫には、関節サポートのキャットフードの導入が検討されます。
- 7歳以上の高齢猫
- 肥満傾向がある猫
- 高所の昇り降りを好む活発な猫
- 関節に既往歴のある猫
- 短足・骨格に特徴のある猫種
健康なうちから予防的に導入することもありますが、必ずしもすべての猫に必要というわけではないため、獣医師と相談のうえで選ぶことが大切です。
関節炎になりやすい猫種
以下は、獣医療の現場や研究でも関節疾患のリスクが高いとされる猫種です。
家庭でできる関節サポートの工夫

食事以外にも、自宅で実践できる関節ケアの方法があります。日々の生活の中で猫の関節への負担を軽減することが、疾患の予防や進行の遅延に役立ちます。
段差の軽減とスロープ設置
ジャンプや昇り降りが多い住環境では、関節に強い衝撃が加わります。ソファやベッドにアクセスするためのスロープや階段を設置することで、足腰への負担を減らすことが可能です。
滑らない床材の工夫
フローリングなど滑りやすい床は、関節に負担がかかるだけでなく転倒の原因にもなります。カーペットやマットを敷くなど、グリップ性の高い床材に変えることで安全性を高められます。
適正体重の維持
肥満は関節への大きな負担となるため、日頃から適切な食事量と運動量を管理し、理想体重を維持することが基本です。肥満猫がダイエットを始める際には、急激な制限は避け、少しずつ体重を落とすことが推奨されます。
温めケアとマッサージ
寒さは関節の動きを悪くしがちです。冬場は猫用のあたたかいベッドや毛布を活用することも一案です。また、優しく撫でるようなマッサージは血行を促進し関節の可動域の維持にもつながります。
まとめ
- 関節サポートキャットフードは加齢や関節疾患予防に有効な設計
- グルコサミンやオメガ3脂肪酸など、軟骨や関節を守る成分を強化
- 関節疾患には変形性関節症や関節炎、膝蓋骨脱臼などがある
- 段差対策や滑り防止など、家庭内でも関節ケアは実践可能