キャットフードの原材料:舞茸(Maitake mushroom)
舞茸(学名:Grifola frondosa )とはサルノコシカケ科のきのこで、独特の香りと強い旨味成分、歯ごたえが特徴です。
舞茸という名前の由来は、「発見すると嬉しくて舞うように喜んだから」「ひらひらした形が踊っているように見えるから」などの説があります。
舞茸が原材料のキャットフード例
乾燥された舞茸を使用
舞茸 | 生 | 乾燥 | |
---|---|---|---|
エネルギー | 22 | 273 | kcal |
タンパク質 | 2.0 | 21.9 | g |
脂質 | 0.5 | 3.9 | g |
炭水化物 | 4.4 | 59.9 | g |
カリウム | 230 | 2500 | mg |
鉄 | 0.2 | 2.6 | mg |
ビタミンD | 4.9 | 20.0 | μg |
食物繊維 | 3.5 | 40.9 | g |
キャットフードやおやつの原材料に使用される舞茸は、生の状態ではなく乾燥されたものを使用されるのが一般的です。
水分が多い生の舞茸は腐敗しやすく、キャットフードやおやつとして長期間保存するには向いていません。乾燥舞茸にすることで水分が減少し、保存性が大幅に向上します。
また、上記の表で示したように、乾燥された舞茸はβグルカンや食物繊維などの有益な栄養素が凝縮されているため、少量の配合でも高い栄養価を得ることができます。
凝縮されることで香りも増すので、猫の嗜好性を高めることもできます。
舞茸が原材料のキャットフード例
舞茸はさまざまなキャットフードやおやつ、サプリメントの原材料に使用されています。
原材料欄には舞茸のほかに、乾燥舞茸、干し舞茸、舞茸エキス、舞茸粉末などと表記されます。
- 舞茸チップ
- 帝塚山ハウンドカム 舞茸・花びら茸エキス
- Piece 舞茸フリーズドライ
- 黒舞茸の乾燥粉末
など
舞茸の栄養素と猫への健康効果
舞茸には多くの健康効果がある
舞茸には猫の健康維持・向上のために重要な栄養素が豊富に含まれています。( )内は健康効果を示す主な成分・栄養素です。
- 免疫力の向上(MDフラクション)
- 抗がん作用(MDフラクション)
- コレステロール低下作用(βグルカンやカリウム)
- 抗酸化作用(ポリフェノールやエルゴチオネイン)
- 血糖値の調整(MXフラクション)
- ダイエット・肥満予防(不溶性食物繊維)
- 腸内環境の改善(不溶性食物繊維)
- 骨の健康維持(ビタミンD)
- ストレス軽減(GABA)
- 貧血予防(鉄分や葉酸)
他のきのこ類と比べてもβグルカンが豊富

βグルカンとは、主にきのこ類や酵母、穀物(オーツ麦や大麦)に含まれる多糖類の一種です。
その中でも特に舞茸はβグルカンが豊富に含まれており、MXフラクションとMDフラクションという舞茸特有のβグルカンが存在します。
βグルカン「MDフラクション」の免疫力向上
MDフラクションは舞茸のβグルカンの中でも免疫活性作用が特に強いとされる成分で、ナチュラルキラー(NK)細胞やマクロファージなどの免疫細胞を活性化させます。
それによりウイルスや病原菌の撃退をサポートし、猫の風邪や感染症の予防に役立ちます。
βグルカン「MDフラクション」の抗がん作用
MDフラクションには強い抗がん作用があることが研究により分かりました。
Dフラクションが免疫担当細胞の増殖、分化、活性化を増加させることで腫瘍を持つマウスの有効投与量を減らし、癌患者に潜在的な臨床的利益をもたらす可能性があることを示唆しています。
乳がん細胞を持つマウスに17日間連続でMDフラクションを投与した結果、生存率が100%となり、抗がん剤MMC単独では免疫抑制が確認されたが、MDフラクションとの併用により、免疫機能が回復し、腫瘍の増殖抑制効果が向上しました。
これはマウスによる研究ですが、猫にも同様の効果があると考えられます。
エルゴチオネインによる強力な抗酸化作用
エルゴチオネインとは強力な抗酸化作用を持つアミノ酸の一種で、体内では合成されないため食事から摂取する必要があります。
舞茸はエルゴチオネインを豊富に含む食べ物の一つで、定期的に摂取することで猫の抗酸化作用や免疫力向上に寄与すると考えられています。
血糖値・血圧の上昇抑制やコレステロール低下
舞茸には血糖値・血圧の上昇抑制やコレステロール低下に役立つ成分が豊富に含まれ、特にMXフラクションは血糖値やコレステロールを調整する作用があります。血糖値の上昇を抑え、インスリンの働きを助けるため、糖尿病予防に効果的とされています。
また、βグルカンはコレステロールの吸収を抑え、排出を促進することで、動脈硬化のリスクを低減する作用を持っています。さらにカリウムがナトリウム排出を助け、血圧の上昇を抑制します。
舞茸の与え方や注意点
トッピングやおやつ、手作りごはん
舞茸はキャットフード(ドライ・総合栄養食)の原材料に使用されるのはほとんどみられませんが、ウェットフードやおやつ、サプリメントの原材料に使用されています。
猫に舞茸を与えるときは、普段のキャットフードにトッピングしたり、おやつとして与えたり、手作りごはんに取り入れてみましょう。
アレルギーの危険性
猫が舞茸に対してアレルギーを示すことは珍しいですが、発症の可能性はゼロではありません。舞茸に含まれる成分や体質によっては、猫がアレルギー反応を起こす可能性があります。
猫に初めて与える場合は少量からスタートし、猫の様子や行動に異変があらわれた場合は動物病院へ連れていきましょう。
まとめ
- 猫製品の原材料で使用される場合は乾燥されたものが一般的
- きのこ類はβグルカンが多く含まれ、特に舞茸には豊富に含まれている
- 舞茸特有のMDフラクションは特に免疫力を向上させる効果がある
- MDフラクションは強い抗がん作用を持っている
- 猫に与える場合はトッピングや手作りごはんで与える