キャットフードの合成着色料:食用赤色102号(ニューコクシン)
食用赤色102号は、鮮やかな赤い色を着けるために使用される「ニューコクシン(New Coccine)」という着色料です。
タール色素に分類される合成添加物で食用赤色102号は赤色色素の中で最も使用量の多い色素です。食紅の15%は赤色102号で構成されているので、お菓子を始め様々な加工食品や工業製品に赤色102号が使用されています。
- カキ氷のシロップ
- ゼリー
- キャンディー
- 飲料水
- ジャム
- クリーム
- ソーセージ
- 漬け物
- 福神漬け
- 紅ショウガ
- 梅
- 練り物
赤色102号を使用したキャットフード例
- コンボ キャットフード
- エイプロキャットフード
- キャラットミックス
- 懐石 など
キャットフードで着色料を使用するブランド自体がかなり少なくなってきていますが、スーパーやホームセンターなどでおなじみのお手頃価格のキャットフードには今でも赤色102号が使用されています。
食用赤色102号(ニューコクシン)の猫への危険性・悪影響
現在、食用赤色102号はカナダやベルギー、韓国、アメリカなど一部の国では食品への使用が禁止されており、イギリスでは自主規制の対象となっています。また、食品では1日摂取許容量が0~4.0(mg/kg)と設定されています。使用が避けられる理由には以下の問題が挙げられます。
遺伝毒性の調査でDNA損傷が認められた(2001)
画像引用元:妊娠中およびオスのマウスに経口投与された赤い食用色素によって誘発されるDNA損傷|NCBI
次いで、雄性マウスによりアマランス、アルーラレッド及び関連する色素添加物であるニューコクシン(赤色102号)について試験した。3色素では結腸において10mg/kgの用量からDNA損傷を誘導した。ニューコクシン6.5mg/10mlを含有する市販の紅ショウガ漬けの浸出液20mlを用いて試験した結果、結腸、腺胃及び膀胱においてDNA損傷が認められた。その強度について齧歯類におけるその他の発がん性物質と比較した。齧歯類における肝発がん物質であるp-ジメチルアミノアゾベンゼンは1mg/kgで結腸DNAの損傷を誘発したが、肝においては500mg/kgの用量のみでDNA損傷を惹起した。1mg/kgのN-ニトロソジメチルアミンは肝及び膀胱でDNA損傷を誘導したが、結腸においてはDNA損傷は認められなかった。N-ニトロソジエチルアミンは14mg/kgの用量においては試験したどの組織においてもDNA損傷を誘導しなかった。試験した3つのazo型色素においては非常に低い用量で結腸のDNA損傷が認められていることから、azo型色素に関するより広範囲な評価を行う必要がある。
合成赤色タール色素について行われた調査によると、10mg/kg(1mg/100g)の容量でDNA損傷を誘導したという報告があります。また、結腸や腺胃、膀胱においてもDNA損傷が認められ、特に結腸は非常に低い用量でもDNA損傷が認められています。
アレルギー性については不耐反応が少数例が報告されていますが、重篤な症状を引き起こす可能性は低いとされています。
再評価では発がん性や遺伝毒性いずれも陰性
ただ、上記は2001年の発表であり、その8年後の2009年、食用赤色102号の再評価に関する科学的意見書では、児童の多動性(ADHD)の増加への関連性は認めていますが、発がん性や遺伝毒性はいずれも陰性であると結論づけています。
また、国立医薬品食品衛生研究所報告(2018)でもこの調査より毒性試験においていずれも陰性と評価しています。
まとめ
- 最も使用量の多い赤色色素
- 一部の国では使用禁止
- 遺伝毒性の可能性
- 最近は発がん性・遺伝毒性いずれも陰性と再評価