ポリフェノール(Polyphenol)とは
ポリフェノール(polyphenol)とは分子内に複数のフェノール性ヒドロキシ基を持つ有機化合物の総称で、植物の色素、アク、渋み、苦味となる成分です。ポリフェノールは光合成をする時に生成されるため、種類も数千以上あり、ほとんどの植物はポリフェノールを多少なりとも持っています。
キャットフードでも特定の機能性を目的にポリフェノールを配合している商品があり、またキャットフードで不足しがちなポリフェノールを補うサプリメントも販売されています。
ポリフェノールの働きや効果
抗酸化作用
ポリフェノールには共通して抗酸化作用があります。
抗酸化作用は体内で活性酸素による過酸化脂質の増加を抑制することで、動物の生体膜や細胞の老化を防ぎます。
活性酸素(ROS)とは体内の酸素の一部が、細胞や体内の代謝活動によって通常よりも活性化した物質で、活性酸素が増えすぎると細胞の老化や細胞内の障害を引き起こします。
老化防止、生活習慣病の予防
ポリフェノールの酸化防止作用には、体の酸化や劣化を防いだり、皮膚や被毛など体の老化を防止する効果も期待されています。
また室内猫が増えて運動量が減ったことで生活習慣病にかかる猫も増えてきましたが、抗酸化作用や悪玉コレステロールを減らす働きのあるポリフェノールには生活習慣病予防への働きも期待されています。
アレルギーの症状の緩和、軽減効果
ポリフェノール(フラボノイド)には、アレルギー症状を緩和、軽減する働きがあることが報告されています。
アトピー性皮膚炎のマウスにフラボノイドを投与したところ、アレルギーの発症や症状の軽減が認められ、フラボノイドを多く摂取することで喘息の発症率が下がったという結果も出ています。
代表的なポリフェノール
アントシアニン
アントシアニン(anthocyanin)は、ブドウやブルーベリーのような濃い赤紫の色素成分として多く含まれるポリフェノールです。ブドウを使ったワインにも豊富に含まれています。目から光の情報を取り入れるために必要な成分で、酸化を防ぐ抗酸化作用もあります。
猫の場合、ブドウもワインも与えてはいけないNG食材なので、アントシアニンの供給源はブルーベリーなどのベリー系の果物からが一般的です。アントシアニンが多いブルーベリーを使用したキャットフードは多く、またアントシアニンを配合した猫用サプリメントも販売されています。
タンニン
タンニン(tannin)は、種子やお茶、赤ワインなどに多く含まれる渋み成分のポリフェノールです。タンニンには悪玉コレステロールと結びついて体外へ排出する働きと、酸化を防ぐ抗酸化作用がありますが、猫にタンニンを与えると肝臓や腎臓障害の原因になるためタンニンを多く含む食べ物は避けましょう。
ルチン
ルチン(Rutin)はソバの実やクランベリー、マルベリー(クワノミ)などの果物に多く含まれるポリフェノールで、ビタミンPの一種です。血管保護を目的に生薬に利用されたり、犬や猫の乳び胸という病気の療法用の食事でルチンが内服薬として利用されています。
クランベリーやマルベリーはキャットフードにも配合されていることが多いです。ソバも含まれる場合がありますが、ソバ由来のルチンには蕎麦アレルギーの原因となるアレルゲンが含まれる可能性があるため、アレルギー体質の猫にはおすすめしません。
カテキン
カテキン(catechin)は緑茶の渋み成分として有名なポリフェノールですが、カテキンだけでも非常に種類が多く、猫にも共通する効果かどうかは確実ではありませんが、確認されている効果や活性も非常に沢山あります。血圧上昇抑制、コレステロール調節、血糖値調節、抗酸化作用、抗がん作用、抗アレルギー作用、体脂肪減少、歯周病や口臭予防などが報告されています。
キャットフードではカテキンは酸化防止や歯周病予防を目的に配合されることがよくあります。
イソフラボン
イソフラボン(isoflavone)は、大豆や大豆加工製品などマメ科の食品に多く含まれるポリフェノールで、女性ホルモンのエストロゲンと同じ働きをします。髪や肌の潤いを保ったりコレステロールの調整、動脈硬化の予防などの効果が期待されています。
大豆が含まれるキャットフードにはイソフラボンが含まれています。またペット用のおやつで納豆が販売されていることもあります。