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そうですね、キャットフードの原材料の中で「豆」について触れられることは少ないかもしれません。
では今回はそんなキャットフードの豆類の種類や栄養について詳しくお話していこうと思います。
キャットフードの原材料:豆類(Beans)
豆類はキャットフードで非常によく使用される原材料のひとつです。最近は穀物不使用のグレインフリー(Grain Free)フードが多く、穀物の代わりに豆類が使用しているブランドがよく見られます。
豆はマメ科植物の種子にあたる部分で、種子が小さ過ぎる植物は豆としてではなく「種」と呼ばれることもあるため、一般的に「豆」と呼ばれている物の多くはしっかりと養分が集まって大きくなることができた非常に栄養価が高い食材と言えます。
マメ科植物は丈夫で育てやすく病気にも強い傾向にあるのでキャットフードの原材料としても非常に使いやすい食材です。
豆に含まれる栄養成分
キャットフードに使われやすい代表的な豆類の成分の割合を表にしました(引用元:日本食品標準成分表PDF)。
100gあたりの成分値 | タンパク質量 | 脂質量 | 食物繊維 | ミネラル量 |
---|---|---|---|---|
エンドウ豆 | 21.7g | 2.3g | 17.4g | 2.2g |
ひよこ豆 | 20.0g | 5.2g | 16.3g | 2.9g |
インゲン豆 | 19.9g | 2.2g | 19.3g | 3.6g |
そら豆 | 26.0g | 2.0g | 9.3g | 2.8g |
大豆 | 33.8g | 19.7g | 17.9g | 4.7g |
チキン(鶏むね) | 19.5g | 17.2g | 0g | 0.7g |
キャットフードに使われる代表的な豆類
キャットフードでは、次のような豆類が使用されます。
エンドウ豆(グリーンピース)
エンドウ豆は、キャットフードでは最もよく使用される豆類です。低GI、低脂質、低アレルゲンな食材なので、プレミアムフードでも高頻度で使用されています。
グリンピースやサヤエンドウは、名前は違いますがエンドウ豆の成長過程でありすべて同じ植物です。ただサヤが付いていたり、実が未熟な分、栄養素には若干の違いがあります。
ひよこ豆
ひよこ豆はナッツのようにも見える豆で、ガルバンソーとも呼ばれます。日本ではあまり馴染みがありませんが、古代エジプトやインド、ローマなどで栽培されてきました。最近多い本格的なインドカレーなどでよく使用されています。
キャットフードでもよく見られ、低GIで血糖値が上がりにくく、満腹感も得られます。豆類の中でも抗酸化作用のあるビタミンEや、ビタミンB群が豊富に含まれています。
インゲン豆
インゲン豆は豆類の中でも食物繊維が豊富で、低糖質・低脂質・低カロリーなヘルシー食材です。手作り食で与える場合は独特な食感も楽しめます。
ミネラル量は他の豆類より若干高めでカリウムやリン、マグネシウムも豊富ですが、与え過ぎには注意です。
レンズ豆
レンズ豆もキャットフードではよく使用される原材料のひとつで、他の豆類と併用されることが多く、タブレットのように平たく丸い形で鮮やかな色をしているのが特徴です。
スペインで3千人以上を対象に行われた調査では、レンズ豆を頻繁に摂取した人の糖尿病リスクが低下したことから、糖尿病予防効果が期待されています。
そら豆
そら豆は豆類の中で最も種実部分が大きく食べ応えのある豆です。キャットフードではそこまで使用頻度は高くありません。
食物繊維量(炭水化物)が他の豆類の半分だからか、炭水化物源としてはあまり利用されませんが、植物性タンパク質が豊富です。
そら豆は1粒が大きいので、与えすぎに注意が必要です。
キャットフードの豆類の栄養とメリット
脂質が低く食物繊維が豊富なヘルシー食材
また豆類は食物繊維が豊富で、低脂質・低カロリーなヘルシー食材です。
穀類や芋類に比べて糖質量やGI値が控えめなので、豆類を配合することで血糖値(糖尿病)や肥満に配慮したレシピになる傾向があります。
また適度な食物繊維は、猫の便や飲み込んだ毛の排泄を助けたり、便量を増やして腸内掃除を掃除しつつ蠕動運動を活発にします。
植物性タンパク質が豊富
豆にはなんと、肉と同じ位のタンパク質が含まれています。
豆は植物なので「植物性タンパク質」になりますが、単純なタンパク質量だけを見れば100gあたりおよそ20g前後で肉と変わりありません。
ミネラルやビタミンを幅広く摂取できる
他にも豆類はミネラルやビタミンなど沢山の栄養を持ち合わせているため、栄養面でメリットの多い食材であることがわかります。
キャットフードの豆類のデメリット
動物性食品のタンパク質を補うことはできない
豆類には植物性タンパク質が豊富ですが、猫に必要なタンパク質をそれだけで補うことはできません。
タンパク質を構成しているアミノ酸を比較すると、動物性タンパク質は動物に必要なアミノ酸が非常にバランスよく含まれていますが、植物性タンパク質は含まれるアミノ酸の偏りが大きく、含まれているアミノ酸を十分に生かすことができずに排泄されてしまいます。
このため同程度のタンパク質を摂取したとしても、猫の体で栄養源として利用できるのは、肉や魚に含まれる動物性タンパク質の方が多いと言えます。
アンモニアを多く作り出す
豆類に含まれる植物性のタンパク質は、分解される際に動物性タンパク質よりも多くのアンモニアを作り出します。
タンパク質の消化吸収とアンモニアの解毒を担う器官は肝臓です。もし豆など植物性タンパク質だけで補おうと摂取しすぎると、タンパク質の消化吸収とアンモニア解毒を行う肝臓に負担がかかります。もし猫が肝臓疾患がある場合は症状を悪化させてしまいます。
そのためメインのタンパク質は動物性タンパク質(すなわち肉)で、豆類は炭水化物・食物繊維源として考え、タンパク質はあくまでサブの供給源として考えるのがベターかと思います。
大豆はアレルゲンになりやすいので注意
キャットフードの原材料としてメリットが多い豆類ですが、大豆は注意が必要です。大豆は猫のアレルゲンになりやすい食材の一つです。また大豆だけでなく、大豆ミールなどが含まれるキャットフードも猫にとってアレルゲンとなります。
キャットフードには意外に大豆や大豆ミールが含まれいているため、キャットフードを選ぶ際には原材料表示を見ながら気を付けたいところです。
豆類だけに豆知識:グレインフリーに豆が使われているけど、豆は穀物ではないの?
豆はグレインフリーフードで穀物の代替としてよく使用されますが、「豆も穀物ではないの?」という質問も聞かれることがあります。
豆類は広義では「穀物」に含まれます。狭義では穀物は「イネ科植物の種子」であり豆類は含まれません。
ただグレインフリーの考え方は海外からきたものであり、海外でグレイン(穀物:Grain)は小麦やトウモロコシ、米などを指し、豆類や芋類は含まれないので、グレインフリーという場合は、豆類や芋類は含まないのが一般的です。