目次
猫の目の色はどうやって決まる?
遺伝子によるメラニン量
猫の目の色は、目の虹彩に含まれるメラニン色素量によって決まり、メラニン色素量は猫それぞれが持つ遺伝子(DNA)によって変わります。
虹彩とは、猫の瞳孔の大きさを調節し網膜に取り込まれる光量を調整する薄い膜のことで、猫の目の角膜と水晶体の間にあります。より多くの光にさらされる虹彩を有害な紫外線から守るのがメラニンで、メラニンには紫外線を吸収して肌や体への影響を抑える働きがあります。
虹彩のメラニン量が多いほど濃色・暗色寄りの色になり、メラニン量が少ないほど淡い色・薄い色になります。
暖かい地域では色素が濃く、寒い地域では色素が薄くなる
温暖で日照時間が長く、紫外線が多いアフリカやアジアなどが原産の猫は、遺伝的に色素が濃くなります。
寒冷で日照時間が短く、紫外線量が少ない北ヨーロッパやロシアが原産の猫は、遺伝的に色素が薄くなります。
ただ目の色の場合、色の濃い薄いだけではなく、色自体も変わってくるのが面白いところです。それでは、次の項目から猫の目の色の種類と特徴をご紹介してきたいと思います。
猫の目の色:青(ブルー、アクア、サファイア)
虹彩にほとんど色素がない
青い目の猫は虹彩にほとんどメラニン色素がありません。色素がほとんどないのに青く見える理由は「レイリー錯乱」という光の錯乱現象によるもので、ほんの少しの色素を光が錯乱することで青く見えているためです。これは空が青く見えることと同じ原理です。
同じ青でも、青色の傾向によって、淡い水色に近い「アクア」、中間色の「ブルー」、濃く深い「サファイア」と呼び分けられることもあります。
白猫や純血種の猫に多い
ブルーの目の猫は、日照時間が少ない寒い地域原産の猫に多いといわれています。また色素が薄いということで、白猫や薄い毛色の猫に青い目が多いと言われます。
また、色素の薄い青い目の遺伝子は劣性なので、他の色の目の猫に比べて数が少なく、シャム猫やラグドールなどの純血種に多いとされています。
猫の目の色:緑(グリーン、エメラルドグリーン)
ブルーに次いで色素が薄いグリーンアイ
緑色の目の猫は、青色(ブルー)に次いで虹彩のメラニン色素が少ない遺伝子の猫です。グリーンの場合、猫の虹彩全体が緑一色になります。
見分けが難しいところですが、グラデーションで茶色っぽい色が混ざっている時は「ヘーゼル」に分類されます。
体の一部や毛先に色がある猫に多い
ブルーと同様、日光があたる時間が少ない北ヨーロッパのような寒い地域原産の猫や洋猫に多く、猫種でいえばロシアが原産のロシアンブルーなどによく見られます。
また、緑の目の猫は、毛先だけ、または体の一部分だけに濃い色がある被毛の猫にも多いと言われています。
グリーンに見えるのは、ブルーと同じでレイリー現象が関係していますが、メラニンがやや多いので青に黄色みが加わり、グリーンに見えます。人だとグリーンアイは非常に珍しく、世界のたった2%しかいないと言われています。猫がそこまでかはわかりませんが、緑色の目をした猫は日本では少ない印象です。
猫の目の色:榛、緑×茶(ヘーゼル、グラデーションカラー)
緑×薄茶のグラデーションアースカラー
ヘーゼルは、ヘーゼルナッツの実のような色の目の猫のことで、和名では「榛色(はしばみいろ)」と呼ばれます。
ヘーゼルナッツの色と聞いても想像しにくいかもしれませんが、具体的には淡い緑色と茶色が混ざりグラデーションになったような色です。猫の目では、中央の瞳孔周辺が緑色で、外側にいくと薄い茶色に変わっていきます。
洋猫と日本猫のミックスに多い
虹彩のメラニン色素の薄い猫と濃い猫のミックスによく見られる目の色で、ヨーロッパ系の猫×日本猫のハーフにも多い目の色のようです。
猫の目の色:黄、橙、琥珀(イエロー、ゴールド、アンバー)
色素強めで野性的なゴールドカラー
黄色や金色、橙系(ゴールドやイエロー、アンバー)の目の色をした猫は、虹彩のメラニン色素が強めの遺伝子の猫です。
アンバーはあまり聞き慣れないかもしれませんが、和名で「琥珀色」といい、オレンジと茶色の間の色で、ちょうど濃いハチミツのような色がイメージしやすいかもしれません。
日本猫では割と多く見られるカラーですが、この系統の色は幅が広く、同じ黄色、橙系でも印象はかなり違うかと思います。また、色や光の当たり具合によってはカッパーに見えることもあります。
温暖な地域で他ネコ科動物にも多い色
温暖な地域に住む猫はイエローやゴールドが多く、またアフリカに住む猫の祖先「リビアヤマネコ」や同じネコ科のライオンやトラの目の色もこの黄色みが強い目の色が多い印象です。
猫の目の色:銅(カッパー)
最も色素が濃く日本猫に多いカラー
カッパー(銅色)は最も虹彩が持つメラニン量が多い遺伝子の猫で、日本猫に最も多い目の色と言われています。日本猫や日本の野良猫でもカッパー色が最も多い色と言われています。
カッパーは銅や土のような濃い茶色がかった色で、アンバーより濃く暗めの色となっています。
猫の目の色:オッドアイ(虹彩異色症)
両目で色が異なる珍しいカラー
オッドアイの猫は左右の目の虹彩色が異なります。組み合わせとしては、青×黄の組み合わせが多く、その神秘的な見た目から、神の使いと言われたり、日本では「金目銀目」と呼ばれ、縁起のいい猫として大切にされてきました。
オッドアイの猫は、白猫に多いと言われています。ただ白猫で交配したとしても、オッドアイになる確率は高くありません。また、純血種ではターキッシュバンやジャパニーズボブテイルに多いとされており、日本猫でも比較的よく見られます。
ただオッドアイは青い目側の耳に聴覚障害がある場合が多いと言われているため、オッドアイの猫を故意に交配して増やすことはすすめられていません。
猫の目の色:赤(レッド)
メラニンを全く作らないアルビノの赤目
例外として「アルビノ」は赤目(レッド)になることがあります。少しでも色素があればレイリー錯乱によって青い色に見えますが、アルビノのように全くメラニン色素がない場合、虹彩は無色半透明になり、目の奥にある血管が透けて見えて、赤い目になります。
赤目の猫は非常に少ないですが、ウサギやネズミにはよく見られるので、猫よりイメージしやすいかもしれません。
猫の目の色:黒はいない!(ブラック)
真っ黒の目の猫がいない理由
人の場合、特に日本人は虹彩がほぼ黒という人も少なくありませんが、真っ黒の目をした猫は見かけたことがありません(瞳孔は黒ですが)。
猫で最も虹彩にメラニン量が多い目の色はカッパーなので、真っ黒な目の猫はほとんどいないことになります。
猫の虹彩が黒くならない理由は、猫が橙赤色をつくる「亜メラニン」を多く持っているためで、人の場合は黒褐色をつくる「真性メラニン」を多く持っているため、真っ黒の目になります。
猫の目の色は成長とともに変わる?
生後2~3ヶ月の子猫はほどんどが青い目
猫の瞳の色が変わったことで心配される飼い主さんもいますが、もし子猫~成猫期にかけての変化であれば問題はありません。
生後2、3ヶ月の子猫は、遺伝子やメラニン量に関わらず、ほとんどが「キトンブルー」というグレーがかかった青色の目をしています。
成長と共に本来の色に変化します
猫の目の色は遺伝子によるメラニン色素量の違いで決まると始めに言いましたが、生まれてすぐの子猫は虹彩に含まれるメラニン量が非常に少なく、本来の色ではありません。
成長して大人になるにつれてメラニン量が増えて本来の目の色や被毛の色に変化していくため、猫の目の色が変わっていくのは、異常なことではなく、どの猫にもあり得ることなので、問題ありません。
事故や病気で猫の目の色が変わることがある
成長以外に、事故やケガ、病気などによって猫の目の色が変わることがあります。事故やケガはわかりやすいかと思いますので、病気によって目の色が変わる場合どのような病気が挙げられるか、以下で確認しましょう。
- ブドウ膜炎(赤)
- 緑内障(赤、白濁)
- 白内障(白濁)
- 結膜炎(赤、白濁)
- チェリーアイ(第三眼瞼腺逸脱)(赤)
- メラノーマ(悪性黒色腫)(黒)
メラノーマは眼の悪性腫瘍で、先ほど真っ黒の目の猫はいないと言いましたが、メラノーマになると虹彩がどんどん黒くなっていきます。
基本的に目の病気による色の変化は、充血による赤みや白濁が多く、比較的病気かどうかは見分けが付きやすいかと思います。
まとめ
- 猫の目の色は遺伝による虹彩のメラニン色素量で決まる
- 子猫の時はほとんどが青い目(キトンブルー)
- 事故やケガ、病気で目の色が変わることもある
猫の目の色はメラニン量によって決まりますが、被毛や肉球、鼻の色などもメラニン量によって決まります。もし遺伝子による猫の被毛のカラーについても気になる方は下の記事でチェックしてみてはいかがでしょうか。