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ロシアンブルー(Ruccian Blue)の誕生・起源
ロシアで自然に誕生
ロシアンブルーはロシアの港町アルハンゲリスクを起源とする猫種で、19世紀中頃にイギリスへ渡ったことで広く知られるようになりました。
寒冷な気候に適応した短く密なブルーグレーの被毛と、エメラルドグリーンの瞳が特徴です。その優雅な外見と穏やかな性格から、貴族たちにも愛されたとされています。
ヴィクトリア女王の猫が始祖という伝説
伝説によれば、ロシアンブルーはロシアで自然に生まれたのではなく、イギリスのヴィクトリア女王が可愛がっていた猫がロシアンブルーの始祖である、というのです。
このような伝説が出るほどロシアンブルーは「高貴な猫」というイメージが強いということがわかります。
一度絶滅しかけた
早い時期から人気を集めたロシアンブルーですが、一時1939年に起こった第二次世界大戦が原因で、ロシアンブルーは絶滅の危機にさらされたこともありました。
その際にロシアンブルーを絶滅させないために交配を行ったのがイギリスで、ブリティッシュショートヘアやシャムなどとの交配により血統が守られ、現在のロシアンブルーのスタンダードが確立されました。
「猫の恩返し」のルーン王子もロシアンブルー?
ジブリのアニメーション映画「猫の恩返し」に登場する猫の国の王子「ルーン」の猫種はロシアンブルーではないかと言われています。
毛並みや体毛の色、スタイル、王子という高貴な雰囲気からも、ルーン王子はロシアンブルーという説が強いようです。
ロシアンブルーの性格

ロシアンブルーはその上品な見た目に加えて、性格の良さでも高く評価されている猫種です。以下のような特徴があります。
- 穏やかで静か
無駄に鳴くことが少なく、落ち着いた性格をしています。騒がしい環境よりも静かな場所を好む傾向があります。 - 賢くて観察力が高い
一度見たことを覚えていることが多く、ドアの開け方を覚えるなど知能の高さを感じさせます。 - 飼い主に忠実
家族には深い愛情を示しますが、とくに信頼した相手に対して強い絆を築く傾向があります。まるで犬のような忠誠心を見せることも。 - 警戒心が強い
見知らぬ人や新しい物に対して最も警戒心が強く、慣れるまで時間がかかることがあります。しかし、一度安心すれば甘えん坊な一面を見せてくれます。
このように、ロシアンブルーは「静かで賢く、愛情深い」という性格を持ち、落ち着いた家庭環境での暮らしにとても向いています。初めて猫を飼う方にもおすすめされることが多い猫種です。
ロシアンブルーの毛色・模様

シルバーの光沢が美しい毛色
ロシアンブルーの最大の特徴は、光沢のあるブルーグレーの被毛です。実際にはグレーに近い色合いで、銀色の光沢があり、毛先にシルバーがかって見えるのが特徴です。
これは被毛一本一本がダブルコート構造で密に生えているため、光を反射しやすくなっているからです。
基本的に単色
ロシアンブルーは基本的に単色(ソリッド)のブルー一色であり、模様がないことがスタンダードとされています。子猫の時期にはわずかに縞模様が見られることがありますが、成長とともに消えていきます。
模様がない均一な被毛と、きめ細かく柔らかな手触りが、まるでビロードのような質感と称されることもあります。
ロシアンブルーの見た目はほぼ統一
他の猫種はさまざまな毛色や模様を持つことが多いですが、ロシアンブルーの見た目は、「ブルーコート × スレンダー × 短毛 × グリーン系の瞳」でほぼ統一されています。
ロシアンブルーの顔・体型

穏やかで優しい顔
ロシアンブルーの顔立ちは、繊細で洗練された印象を与えます。くさび形の頭部に、やや大きめで離れ気味の耳がつき、表情は知的で上品です。
目は大きくアーモンド形をしており、鮮やかなエメラルドグリーンが特徴です。この美しい目は成長とともに色が深まり、生後数か月から徐々に緑色へと変化します。
微笑んでいるように見える口元のラインは「ロシアン・スマイル」とも呼ばれ、穏やかで優しげな印象を与えます。
引き締まった筋肉としなやかな体
ロシアンブルーの体型はフォーリンタイプタイプに分類され、引き締まった筋肉としなやかな体を持つ中型猫です。スリムながらも骨格はしっかりしており、持ち上げると見た目以上にずっしりとした重さを感じることがあります。
脚は長く細めで、特に後ろ脚がやや長いのが特徴。足先は小さく楕円形で、全体的にエレガントな印象を与えます。
ロシアンブルーの飼い方・飼いやすさ

安全でストレスがない生活を送るために、ロシアンブルーの飼い方を把握しましょう。
生活環境
ロシアンブルーは静かな環境を好むため、落ち着いた生活スペースが理想です。大きな音や騒がしい場所は苦手で、ストレスの原因になることもあるため、安心して過ごせる静かな場所に寝床や隠れ家を用意しましょう。
また、上下運動が好きなので、キャットタワーや窓辺の高いスペースなどもあると満足度が高まります。
寒さには比較的強い一方、急激な温度変化には注意が必要です。温度や湿度を快適に保つことも大切です。
ブラッシング
- 頻度:週に1〜2回
- 抜け毛:比較的少なめ
ロシアンブルーの被毛は短く密なダブルコートで、抜け毛は比較的少なめですが、週に1〜2回程度のブラッシングがおすすめです。
柔らかいブラシを使って優しくとかしてあげることで毛球症の予防になるほか、血行促進やスキンシップにもつながります。
食事管理
ロシアンブルーは食欲旺盛であるため、他の猫種に比べて太りやすい傾向があります。給与量と栄養バランス、おやつの与えすぎに注意し、定期的に体重を記録しましょう。
成猫には年齢や体重に合ったキャットフード(総合栄養食)を選び、適切なカロリー管理が必要です。
遊び
ロシアンブルーは静かで落ち着いた性格ですが、日々の遊び時間をとても大切にします。とくに追いかけっこや知育トイなど頭を使う遊びを好みます。ジャンプ力があるので、上下運動ができるおもちゃやキャットタワーを活用しましょう。
初心者でも飼いやすい?
ロシアンブルーは比較的飼いやすく、猫を初めて飼う方にも向いている猫種です。無駄鳴きが少なく、穏やかで落ち着いた性格のため、集合住宅でも飼いやすいとされています。また、被毛の手入れも簡単で、抜け毛が少ない点も魅力です。
ただし、警戒心が強く環境の変化に敏感な一面があるため、慣れるまでは時間がかかることも。ゆっくりと信頼関係を築ける方には理想的なパートナーとなるでしょう。
ロシアンブルーのかかりやすい病気

猫種に限らず、猫は猫下部尿路疾患や肥大型心筋症、歯周病にかかりやすい傾向にあります。ここでは、これらの病気以外でロシアンブルーがかかりやすい病気をご紹介します。
肥満
肥満はロシアンブルーによく見られます。運動できる環境が整っていなかったり、食事管理の不備により太りやすくなります。
肥満は糖尿病や関節疾患など他の病気のリスクも高めるため、日常的な体重管理と運動をしっかりと行いましょう。
白内障
研究によると、検査を受けたロシアンブルー66匹のうち約3分の1に白内障の兆候が見られ、なかには1歳未満で発症していたケースもありました。多くは軽度で視力に影響はありませんでしたが、一部の猫では視覚障害や失明を伴う重度の白内障も確認されています。
白内障は遺伝的な要因による可能性が高く、両親からの遺伝で発症するケースがあると考えられています。
ロシアンブルーを飼っている方やこれから迎える方は、定期的な健康診断や眼科検査を行うことで早期発見・早期治療につながります。
参考:Hereditary cataracts in Russian Blue cats
5つの質問でわかるロシアンブルーとの相性診断

実際に猫と暮らしてみると、お世話の大変さや工夫が必要になることに直面します。可愛い・憧れだけでお迎えすると、あとから「思っていたのと違った…」と感じてしまうことも少なくありません。
そのため、猫をお迎えする前に飼いやすさや生活スタイルとの相性を見極め、「自分とその猫種が合っているのか」を確かめることが、猫との幸せな生活を送るためにとても重要となります。
ここでは、あなたとロシアンブルーとの相性がわかる「5つの質問」をご用意しました。ぜひ試してみましょう!
ロシアンブルーとの相性診断 | |
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Q1 | 住まいの雰囲気は?騒音の有無や来客の頻度、家族構成など。 |
静かで落ち着いた環境(+3点) 一般的な生活音はある(+1点) 賑やかで音や人の出入りが多い |
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Q2 | 普段の接し方や距離感についての理想は? |
ほどよい距離感でそっと寄り添う(+3点) 甘えるときだけ寄ってきてくれればいい(+1点) いつもそばにいて甘えてほしい(0点) |
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Q3 | あなたが猫にしてあげたい・得意だと思うお世話の内容は? |
食事管理やトイレの掃除など日常ケア(+3点) 一緒に遊んであげること(+1点) 抱っこやスキンシップ中心(0点) |
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Q4 | あなたの性格や普段の過ごし方にもっとも近いものは? |
静かでひとり時間を大事にする(+3点) 明るくて人付き合いが得意(+1点) 活発でにぎやかなことが好き(0点) |
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Q5 | 理想の「人と猫の距離感」は? |
静かに寄り添うパートナー(+3点) 必要なときにそばにいる存在(+1点) たくさん甘えてくれる家族の一員(0点) |
※この相性診断は、猫を初めて飼う方にも分かりやすく、ロシアンブルーの一般的な性格傾向をもとに作成しています。実際には猫にもそれぞれ個性があるため、何よりも大切なのは今そばにいる猫ちゃんとの関係性です。
診断結果
・13〜15点:相性◎
静かな性格で繊細なロシアンブルーとは理想的な関係が築けます。静かな暮らしを共にするには理想的であり、長く信頼し合えるパートナーになるでしょう。
・7〜12点:相性○
ロシアンブルーの性格や習性と合う部分は多めです。多少の違いがあっても、環境や接し方を少し工夫し、お互いのペースを尊重することで良好な関係が築けます。
・0〜6点:相性△
人懐っこく甘えん坊な猫を好む方には、ロシアンブルーはやや物足りなく感じるかもしれません。より活発な猫種を検討するのもおすすめです。
ロシアンブルーの価格

価格
- ペットショップの場合:15万〜30万円程度
- ブリーダーからの購入:20万〜35万円程度
ロシアンブルーはその希少性と美しいブルーグレーの被毛で人気が高く、価格もやや高めに設定されることが一般的です。とくにシルバーの光沢が美しいスタンダードなブルーは最も人気があり、健康状態や親猫の血統によっては価格がさらに上がることもあります。
日本での人気は?
ロシアンブルーは日本でも高い人気を誇る猫種です。
美しいブルーの被毛と気品あるたたずまい、静かで穏やかな性格も日本の住宅環境に合っているため、多くの愛猫家に支持されています。
アニコムの人気の品種ランキング(2024年)によると、ロシアンブルーは9位に位置しています。(6,835頭)
まとめ
ロシアンブルーは美しいブルーの被毛とエメラルドグリーンの瞳、穏やかで賢い性格が魅力の猫種です。静かな環境を好み、適度な距離感で寄り添ってくれる存在として、多くの飼い主に愛されています。健康管理や遊びの工夫を通じて、その魅力をより引き出すことができます。
ロシアンブルーの特徴や飼育のポイントを正しく理解し、信頼関係を築くことで、心地よく穏やかな毎日を共に過ごしていきましょう。