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イギリスのキャットフードは世界的に見ても高評価です。まず、イギリスはヨーロッパをリードする立ち位置を貫いてきただけでなく、国民全体の動物愛護に対する意識や関心も非常に高いです。それを象徴するのが、イギリスでは子どもをよりも先に、動物を虐待から守る法律が制定されています。
それほど英国国民のペット(コンパニオンアニマル)へのプライオリティーが高いということもペットフード先進国のポイントの一つです
イギリスではペットショップでの生体販売がほとんどない
イギリスでは許可を得れば生体販売を行うことは違法ではありませんが、現在、生体販売が行われることはほとんどありません。
有名なデパートのハロッズでは以前は生体販売を行っていましたが、その販売方法は日本のようにショーケースに並べられて誰でも自由に見ることができるものではなく、購入意欲のある人だけが会うことができます。
万が一飼い主の虐待などが判明した場合にはハロッズが引き取るという条項まであり、動物に対する管理は徹底したものだったと言われていますが、そのハロッズからも2014年には生体販売を行っていたPet Kingdomが撤退しており、生体販売が行われることはなくなりました。
イギリスでは犬猫ペットを愛護団体かブリーダーから迎えるのが一般的
ではどのように猫や犬を迎えるのかというと、イギリス国内で動物と暮らしたい人の多くは、動物愛護団体かブリーダーから引き取るもしくは購入するのが一般的となっています。
イギリスにはロンドンのバタシー ドッグズ&キャッツホームを始め、動物愛護団体が存在しています。その莫大な運営費は国民、全世界からの寄付によってまかなわれ、非常に関心が高いことを示しています。
その動物愛護団体では日本のように生涯を共にする施設ではなく、新しい飼い主を探すためのしつけを行ったり、健康管理、精神的な改善を行い、引き渡しをすることを目指した施設です。
イギリスでは動物の引き取り条件も厳しい
バタシー ドッグズ&キャッツホームでは、犬や猫を引き取るためには「庭が必要」「一日何時間までしかひとりにしてはいけない」など厳しい多数の条件があり、万が一引き渡し後に問題が起これば引き取る条項も盛り込まれています。
それであっても、犬猫を飼育するためには動物愛護団体から引き取ることが一般的な方法の一つとなっています。
犬の便用ゴミ箱の設置やしつけ教室へ通う等、マナーや管理意識も高い
犬を飼う上ではしつけ教室に通うのが当たり前の認識となっています。その結果、イギリスの公園や町中には犬の便を捨てる専用のゴミ箱が設置されていたり、公園内ではリードに繋がなくてもよく、バスなどの公共交通機関を利用できることも多くなっています。
※最近犬の便用ゴミ箱に税金を投入するのは飼っていない人に不平等だという考え方や、公共の場所ではリードに繋ぐべきという考え方も出てきています。
イギリスのペットフード事情と法律
ペットフードの法規制があり、規則も食品と同じ
イギリスのペットフードは法的にしっかりと規制されていると言えます。ヨーロッパ(EU)で加盟国共通の規則と、自国の規則で統一された法規制がされており、さらに食品および飼料の安全に関する原則や欧州食品安全庁の設置について定めている規則ではペットフードを除外していません。
製造や栄養に関する自主基準
またFEDIAF(ヨーロッパペットフード工業会連合)による製造、栄養などに関する自主的な基準の設定も行っています。このようにペットフードに対する表示義務や表示方法が日本よりも厳しく、製造工程も管理された工場での製造が必要です。
実際は最低限の管理以上に自社で上乗せした厳重な管理体制のもとで製造している工場が多く、イギリス国内の工場でも多くが、国際的な基準にプラスした自社管理基準を採用しています。
AAFCOより一歩進んだFEDIAF
アメリカのAAFCOの基準は、世界的に取り入れられており、日本もEUもこのAAFCOの基準を取り入れています。先に紹介したFEDIAFもAAFCOの基準をベースに作られていますが、日本とヨーロッパは同じではなく、FEDIAFではさらに一歩進んだ解釈を行い、独自のルールに基づいた基準が設定されています。
イギリスのEU離脱によるペットフードへの影響
イギリスは2020年12月31日にイギリスが欧州連合(EU)の離脱が完了し、正式にEUではなくなりました。このことから、イギリスはEUの規制を守る必要がなくなります。
これからイギリスで製造されるペットフードは、EUの規制を受けずに製造できるということになりますが、イギリスは国内でも食品やペットフードについて厳しい規制を設けているので、EUから離脱しても安全性がいきなり落ちてしまうことはないかと思います。また、すでにあるペットフードに関しては、これまで通り原材料を仕入れ、これまで通りのレシピで製造となるかと思いますので、大きな変化はないかもしれませんが、これから新しくできるイギリス産キャットフードやリニューアルされるキャットフードについては、どうなるのか気になるところです。
ちなみに原産国ではなくても、ペットフードの一部の原材料がイギリス産だった場合、イギリス産原材料はEU産原材料ではなくなるので、コストが高くなってしまったり、関税の減税の対象にならなくなってしまったりと、費用面で影響が出る可能性があります。
イギリス産のキャットフード
<最新>イギリスで330匹の猫が死亡、キャットフードが原因の可能性も
2021年8月にイギリスで330匹以上の猫が、猫汎血球減少症によって亡くなったことが発表され、イギリス産キャットフードでカビ毒の混入でリコール指定された複数商品が原因の可能性として挙げられています。
リコールの対象となっているイギリス産キャットフードの詳細については下記の記事からご覧下さい。
まとめ
- ペットフード先進国、ペット愛好国
- マナーやしつけ、管理意識が高く動物との共存環境が整っている
- 動物と食品に厳しい法規制がしかれている