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日本は地震や台風などの自然災害が多い国です。
「もし今、大きな地震や台風が来たら…」
「猫と一緒に安全に避難するにはどうしたらいいのか?」
そんな不安を感じる飼い主さんも多いでしょう。
いつ起こるか分からない災害に備えて事前に対策を講じておくことは飼い主さんの重要な責任であり、それにより猫の命を守ることができます。
今回は、災害発生前にできる猫の防災対策や準備、必要なものを解説します。
事前対策①猫が隠れやすい場所を把握する

いざと言うときに猫を発見するために
地震の大きな揺れや土砂崩れ、河川の氾濫などの災害が発生すると、飼い主さんの慌てた様子や異様な雰囲気に、猫はパニックになって本能的に安全な場所へ逃げ込もうとします。
しかし、飼い主さんが見つけられない場所や手が届かない場所に隠れてしまうと、避難が困難になったり救助が遅れてしまう可能性があります。
そのため、日頃から猫の行動パターンを確認し、猫が隠れやすい場所を把握しておくことで、いざと言うときに冷静にスムーズに猫を発見することができます。
猫は「狭くて暗い場所」に隠れる
まず、猫は「狭くて暗い場所」を好む習性があります。
とくに家具の隙間、ベッドの下、押し入れやクローゼットの奥などは猫が身を潜める可能性が高い場所です。また、地震の衝撃で開いてしまった戸棚や引き出しの中に入り込んでしまうこともあります。
隙間をふさいだり、ストッパーを付ける
猫がこれらの場所に隠れてしまった場合に備えて、出入りしやすいかを事前に確認し、必要ならば塞ぐ工夫をしましょう。
家具の隙間が狭すぎて救出が困難になりそうな場合は、猫が入り込まないように事前にふさいでおくと安心です。
また、押し入れやクローゼットには地震の揺れで扉が開かないようストッパーをつけることで、猫が閉じ込められるリスクを減らすことができます。
事前対策②キャリーケースに慣れさせておく

キャリーケースが苦手な猫は多い
災害時は、猫をキャリーケースに入れて避難することが一番の安全となります。しかしキャリーケースを苦手と感じる猫も多く、いざという時に嫌がって入らないことも…。
キャリーケースは動物病院への通院時に使うことが多いため、猫にとって「怖い場所」と認識されやすいです。
しかし、災害などのいざという時にスムーズに入ってもらうためには、普段からキャリーケースを「安心できる場所」として認識させ、慣れさせておくことが大切です。
キャリーケースの慣れさせ方
普段からキャリーケースを部屋に置いておき、猫がいつでも自由に出入りできるようにしておきましょう。
キャリーケースの中にお気に入りの毛布やタオル、おもちゃを入れておくと猫が自然とリラックスして過ごせるようになります。また、動物病院に行くとき以外でも、ちょっとした散歩などで移動の練習をすることもおすすめです。
このように、キャリーケースをリラックスできる場所、安心できる隠れ家、居心地の良いベッドとして普段から使ってもらうことで、だんだんとキャリーケースに入ることをポジティブな経験に変えることができます。
事前対策③避難所への移動やルールを確認する

あらかじめ避難所へのルートや所要時間を把握し、定期的に避難訓練をしておくことで、いざと言うときでも猫と一緒に慌てずに安全に避難することができます。
近くの避難所がペット可であるか
まずは近くの避難所がペット可であるかを確認しましょう。
すべての避難所がペット同伴を許可しているわけではないため、事前にペット同伴可能な避難所がどこにあるのかを調べることが大切です。
同伴可能であってもペット専用スペースが設けられていたり、ケージに入れることが義務付けられていたりと、ルールがある場合が多いです。
もしペット同伴の避難が難しい場合は、知人や動物病院、ペットホテルと連携し、預かってもらえる環境を確保しておくことも有効です。
避難所への最短・安全ルートを確認
災害時、猫の命を守るためには自宅から避難所までの最短ルートを確認し、通行止めや浸水の危険がある場所を避けた安全な経路も把握しておきましょう。
猫をキャリーケースに入れて歩くことを想定し、段差や混雑が少ない道を探してみてください。
騒音や人混みに猫が驚いて逃げ出す危険があり、また昼夜や天候によって通行のしやすさが変わる場合もあるため、安全に移動できるルートを複数用意しておくと安心です。
避難所への所要時間(徒歩・車)を確認
猫を連れての避難は通常より時間がかかることが多いため、徒歩・車それぞれの所要時間を事前に確認することが重要です。
猫が不安にならないように配慮しながら移動する必要があり、途中で休憩をはさむことも考えられます。車の場合は渋滞や通行止めを想定し、徒歩での移動も現実的かどうか確認しておきましょう。
事前対策④マイクロチップ装着で身元確認対策

地震の大きな揺れや飼い主さんの慌てた様子などにより、パニックになって猫が外に飛び出してしまうケースは少なくありません。
また、無事に避難所に避難できたとしても、避難所は人の出入りが多く、騒音や匂いの変化も激しいため、猫がパニックになってキャリーから逃げてしまうケースがあります。
そのため、マイクロチップの装着が推奨されます。マイクロチップには猫の情報が登録されており、万が一迷子になった際も、保護された後に身元確認がしやすくなります。
また、首輪に名前や連絡先を記載した迷子札をつけておくのも有効です。ただし、猫は首輪を嫌がることがあるため、普段から慣れさせておくと良いでしょう。
さらに、猫の最新の写真を保存しておくことも大切です。迷子になった際、SNSや保健所、動物病院に写真付きで情報提供できると発見の可能性が高まります。
事前対策⑤家の耐震対策

猫は地震の衝撃や騒音、環境の変化に敏感であるため、不安や恐怖から思わぬ行動をとることがあります。
猫の命と安全を守るためには、家の耐震対策と合わせて、猫の避難スペースや安全確保も意識した対策が必要です。
- 家具の固定:本棚・食器棚・冷蔵庫などは壁にしっかり固定し、滑り止めマットやL字金具・突っ張り棒で補強
- ガラスの飛散防止:窓や食器棚に飛散防止フィルムを貼り、破片が飛び散るのを防ぐ
- 高所に物を置かない:棚や冷蔵庫の上に落ちやすい物を置かない、重いものは低い位置に収納するなど配置を見直し
- 猫の避難スペースの確保:クローゼットの下、家具の隙間などに逃げ込めるスペースを確保
事前対策⑥猫の非常用荷物を用意
避難時は混乱が予想されるため、即座に避難できるようにあらかじめ猫の非常用荷物を用意することが重要です。すぐに取り出せる場所(玄関など)に保管し、家族内で共有しておきましょう。
次項で必要なアイテムを解説します。
災害時に備えておきたいアイテム

荷物が多すぎて持ち運びに困らないよう、優先順位を決めて準備するのが大切です。
とくに薬や療法食などの入手が難しくなるものや、猫の命や健康に直結するものを最優先で用意しましょう。
基本必需品
- キャリーケース
- リード・ハーネス
- ドライフード
- ウェットフード
- 軟水のミネラルウォーター
- 食器(シリコンボウルや折りたたみ式)
- 猫用トイレ
- 猫砂
- タオル・ビニール袋
- 毛布・おもちゃ
キャットフード(ドライ・ウェット)と飲み水は最低3日分、できれば7日分を用意しましょう。携帯用のフード皿と給水ボウルはシリコンや折りたたみ式のものが便利です。
また、猫用トイレ(簡易トイレ・ペットシート・猫砂)も必要です。万が一の脱走に備え、リードやハーネスも忘れずに用意しておきましょう。慣れ親しんだおもちゃや毛布があるとストレス軽減にも役立ちます。
健康・医薬品
- 猫用の常備薬
- 猫用の消毒液やガーゼ
- シャンプータオル
- ブラシ
- 健康記録ノート(病歴・アレルギー情報)
慣れない避難生活により体調を崩しやすいため、猫の健康を守るためのグッズや医薬品を用意しておきましょう。
とくに、持病がある場合や動物病院から処方された薬がある場合は必ず持参し、必要なら獣医師の診断書や健康記録も準備しましょう。
応急処置用に消毒液やガーゼを備え、またウェットティッシュやペット用シャンプータオルは衛生管理に役立ちます。
猫と飼い主の情報が分かるもの
- 猫の写真
- 名前や連絡先を記載した迷子札
猫には名前・飼い主の氏名・連絡先が書かれた迷子札付きの首輪をつけ、マイクロチップの登録情報も最新に保ちましょう。
また、猫の写真や特徴(性格・持病・ワクチン接種歴)を記載したプロフィールシートを持っておくと、迷子になったときに役立ちます。
まとめ
地震はいつ起こるか分かりません。普段から地震に備える準備をしたり、避難訓練を行ったりなどの地震の対策をしておくことで冷静に行動することができ、猫の命を守ることができます。
下記の記事は、実際に地震が発生したときに飼い主さんがすべきことをまとめたものです。猫を守るために、今から準備とシミュレーションをしておきましょう。