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犬と猫はストレスなく一緒に飼える?
犬と猫は一緒に過ごすうちに種を超えた信頼関係が築かれることもあり、愛情深い多頭飼育の魅力に惹かれる飼い主は少なくありません。
ペット保険「PS保険」を提供するペットメディカルサポート株式会社が犬や猫の飼い主856人に「ペットの多頭飼い」についてのアンケートを実施したところ、実際に多頭飼いをしている家庭は全体の45%にのぼり、犬と猫を一緒に飼っている家庭も16%と比較的多く、異種多頭飼いが一般的になりつつあることがうかがえます。

※PS保険|ペットメディカルサポート株式会社のデータを元に作成
しかし、犬と猫を一緒に飼うには、しっかりとした準備や理解が必要です。
そこで今回の記事では、犬と猫を同居させる際のポイントや注意点、相性の良い組み合わせ、猫が先住の場合/犬が先住の場合の対応方法まで解説します。
犬と猫を一緒に飼うメリットと難しさ
犬と猫を一緒に飼うメリット
犬と猫を一緒に飼うにはさまざまなメリットがあります。アンケートによると、一番多かったメリットが「先住犬・先住猫が活発になった」でした。
犬や猫が同じ空間で暮らすことで、種の違いを超えて互いにさまざまな影響を与え合っていることがわかります。例えば、犬の活発さに影響を受けて猫が以前よりも活発になったり、逆に猫の落ち着いた行動に影響されて犬が穏やかになることもあります。
こうした相互作用は、動物同士の刺激となるだけでなく、情緒の安定や社会性の発達にもつながると考えられており、多頭飼育の魅力のひとつといえるでしょう。

※PS保険|ペットメディカルサポート株式会社のデータを元に作成
難しさと向き合う心構え
一方で、犬と猫は生活リズムやボディランゲージが大きく異なるため、すぐに仲良くなれるとは限りません。犬の吠え声やしつこい追いかけが猫のストレスになるケースや、猫の急な動きに犬が過剰に反応するなど、衝突の火種が多いのも事実です。
そのため、段階的な距離の縮め方や、お互いに安心できる空間づくりが欠かせません。
犬と猫の相性はここで決まる
性格の相性が最も重要
犬と猫の相性は、犬種・猫種よりも個々の性格に左右されることが多いです。
■猫と相性の良い犬種の傾向
一般的に、猫と相性が良いとされる犬種には下記のような特徴があります。
- おっとりしていてしつこくない
- 吠える頻度が少ない
- 飼い主の指示に従いやすい
例えば、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、パグ、ゴールデンレトリーバーなどは比較的猫との同居が成功しやすい犬種です。
■犬と相性の良い猫の傾向
下記のような性格の猫は、犬と上手く付き合いやすい傾向があります。
- 社交的で好奇心旺盛
- 他の動物に対して寛容
- パニックを起こしにくい
例えば、ラグドール、アメリカンショートヘア、サイベリアンなどは犬と一緒に飼うのに向いている猫種です。
ただし、同じ品種でも性格は個体差があるため、事前の性格チェックが不可欠です。
年齢や性別のバランスも考慮する
「どちらかが子ども」で「もう一方がシニア」という組み合わせは、体力や遊び方にギャップがあるためストレスの原因になることがあります。
また、「同じ性別同士」よりも「異性同士」の方が緊張感が少ないケースもありますが、去勢・避妊手術の有無も相性に影響することがあるため、事前に相談しておくとよいでしょう。
犬が先住の場合の注意点
猫の導入は慎重に
犬が先にいる家庭に猫を迎える場合、犬の性格によっては猫を「侵入者」として警戒することがあります。
とくに縄張り意識の強い犬種や、狩猟本能が強い犬は、猫を追いかけ回してしまう危険性があるため、初対面の際はしっかりと距離を取り、犬にリードをつけておくなどの工夫が必要です。
犬のしつけがカギ
犬が興奮しやすい性格であれば、「待て」「おすわり」などの基本的なしつけがしっかり入っているかが重要です。興奮したまま猫に近づけると、猫が恐怖を感じて警戒心を強めてしまい、良い関係が築けなくなってしまいます。
まずは犬を落ち着かせてから、猫に会わせるようにしましょう。
猫が先住の場合の注意点
猫の生活空間を守る
猫が先に暮らしている場合、新しく来た犬に対して強い警戒心を抱くことがあります。
慣れるまでは、犬との過度な接触を避けられるような安全スペースを作っておきましょう。キャットタワーやキャビネットの上など、高さを活かしたレイアウトで逃げ道を作ってあげることが重要です。
猫のペースに合わせる
猫は環境の変化に敏感で、急激な変化に強いストレスを感じます。新入りの犬をすぐに近づけるのではなく、まずは匂いや音だけで存在に慣れさせてから、徐々に姿を見せるようにしましょう。
猫が自分から近づいてくるのを待つくらいのペースで進めることが理想です。
同居を成功させるための環境づくり
飼育スペースは分けるのが基本
犬と猫を一緒に飼うときは、それぞれのトイレ・食事・寝床を完全に分けることが大切です。
とくに猫はトイレの環境に敏感で、犬に見られただけでも使わなくなり、我慢してしまうことがあります。また、犬の食事も猫にとっては高カロリーすぎるため、誤食を防ぐ工夫が必要です。
無理に仲良くさせようとするのはNG
犬と猫を一緒に飼うことにおいて、最も避けたいのは「仲良くさせなければならない」という飼い主の思い込みです。無理に仲良くさせようとすると、かえって関係が悪化してしまう可能性もあるため、動物たちのペースに合わせた環境と配慮を忘れないようにしましょう。
たとえ距離が近づかなくても、お互いにストレスを感じず、平和に過ごせるならばそれは十分に成功といえます。
相性の良い犬・猫の組み合わせは?
犬種と猫種ごとに相性を◎〇×で示した一覧です。
※相性判断はあくまで一般的な傾向であり、個体差も大きいため参考のひとつとしてご活用ください。
◎とても相性が良い組み合わせ
お互いにおっとりした性格、穏やかな性格の場合は、比較的スムーズに距離を縮めやすい傾向があります。
猫種 | 犬種 | 相性 |
---|---|---|
![]() ラグドール | ![]() キャバリア | ➡どちらも穏やかで人懐っこく、争いが起きにくい理想的な組み合わせ。 |
![]() アメリカンショートヘア | ![]() ゴールデンレトリーバー | ➡社交的でおおらかな性格同士。遊び好きな猫とも適度な距離感で付き合える犬種。 |
![]() スコティッシュフォールド | ![]() トイプードル | ➡どちらも適応力が高く、相手のペースに合わせやすい。 |
○比較的相性が良い組み合わせ
猫種 | 犬種 | 相性 |
---|---|---|
![]() ブリティッシュショートヘア | ![]() シーズー | ➡マイペースな性格同士で干渉しすぎず、静かな関係を築ける。 |
![]() ノルウェージャンフォレストキャット | ![]() パグ | ➡社交的なパグに対して、やや慎重だが社交性もある猫種。環境になじめば仲良くなりやすい。 |
![]() サイベリアン | ![]() 柴犬 | ➡柴犬の落ち着きとサイベリアンの親しみやすさで、適切な距離を保てば良い関係に。 |
×注意が必要な組み合わせ
下記のような組み合わせは必ずしも「絶対に一緒に飼えない」というわけではありませんが、一緒に飼うと片方がストレスを感じたり、良い関係を築きにくいかもしれません。
また、「子ども」×「シニア」の組み合わせは体力差・精神的耐性の差が顕著で、関係性構築に時間と工夫が求められます。
猫種 | 犬種 | 相性 |
---|---|---|
![]() アビシニアン | ![]() ジャックラッセルテリア | ➡犬が猫の動きを「獲物」として認識しやすく、追い回してしまう。猫が逃げ続けてストレスを抱えやすい。 |
![]() ロシアンブルー | ![]() ポメラニアン | ➡ポメラニアンの鳴き声や動きがロシアンブルーにとって刺激になりすぎる場合がある。 |
![]() オリエンタルショートヘア | ![]() ビーグル | ➡興奮しやすいビーグルに対して、繊細な猫が過剰反応してしまうリスクあり。 |
![]() ペルシャ | ![]() イタリアングレーハウンド | ➡甘えん坊な犬がマイペースな猫に常に関わろうとすると、猫が過度なストレスを感じてしまう。 |
![]() ラガマフィン | ![]() ミニチュアピンシャー | ➡落ち着いた猫に対して、ピンシャーの活発で警戒心の強い性格が衝突の原因になる。 |
まとめ
犬と猫を一緒に飼うことには、相性や準備、飼い主の心構えが大きく関わってきます。犬が先か、猫が先かによってアプローチは異なりますが、いずれの場合も「それぞれのペースを尊重すること」が共通のポイントとなります。
お互いが安心して暮らせる環境を整えながら、少しずつ距離を縮めていくことで、犬と猫はきっと良き家族となってくれるでしょう。