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マンチカン(munchkin)の誕生・起源
マンチカンの歴史はまだ30~40年
マンチカンは1980年代にアメリカで注目され始めた猫種で、突然変異による短い脚が特徴です。
短足の猫はそれ以前にも世界各国で確認されていましたが、現在のマンチカンのルーツは1983年、アメリカ・ルイジアナ州でサンドラ・フランスさんという女性が、脚の短いメス猫「ブラックベリー」を保護したことに始まります。
ブラックベリーは短足の特性を子に遺伝させ、これをきっかけに本格的な繁殖が始まりました。
交配や繁殖が反対された歴史
しかし、可愛いからといって遺伝子の突然変異で生まれた猫を交配させたり繁殖させるのは、「健康に異常が出るのでは?」「猫種として認めるのはどうか」という論争が続いていました。
これらのことから、健康を重視する基準を採用しているCFAでは公認されていませんが、マンチカンの場合、足が短いことによる健康状態や運動機能、寿命や骨格など他の猫と同じように健康状態を保てることが分かり、TICAでは1995年に正式に猫種として認められました。
「オズの魔法使い」の小人族が由来
マンチカンという名前は、アメリカの児童文学オズの魔法使いに登場する小人族マンチキンが由来で、「小さい」「子供」という意味があります。短足で背が小さく見える愛らしいマンチカンにぴったりの名前ですね。
日本での人気は?
マンチカンは猫種の中でも非常に人気が高く、猫種別の人気ランキングなどを見ても常に上位に食い込んできます。マンチカン×スコティッシュフォールドなど、他の猫種と掛け合わせたミックスも高い人気を誇っています。
アニコムの人気の品種ランキング(2024年)によると、マンチカンの飼育頭数は18,998頭で、4位に位置しています。
マンチカンの性格

愛嬌たっぷりで遊び好き
マンチカンは短い脚と活発な動きが特徴的な小型猫種で、その外見に劣らず愛嬌たっぷりでフレンドリーな性格でも知られています。
- 明るく好奇心旺盛
→家中を探検したり、おもちゃに夢中になる姿がよく見られます。 - 社交的で人懐っこい
→飼い主だけでなく、来客や子どもにも物おじしないことが多いです。 - 甘えん坊な一面もある
→スキンシップを好み、膝に乗ったり後をついてくることも。 - 活発で遊び好き
→短い脚でも素早く動き、高低差をつけた遊びにも意欲的。 - 順応性が高い
→環境変化や他の動物との同居にも比較的慣れやすいです。
意外にも運動神経抜群!
足が短いため運動は苦手なイメージがありますが、実は活発で元気な猫が多く、運動神経抜群で俊敏な動きが得意です。むしろ体が地面に近い分、走ると他の猫よりすばしっこく見えます。
また、短足でもジャンプ力はあるので、ソファーや高さのある家具にも跳んできます。短足だと思ってなめていたら痛い目をみるかも…?(笑)
マンチカンの毛色・模様

マンチカンはほとんどすべての毛色が認められているため、非常にバリエーションが豊富です。
単色(ソリッド)
- ホワイト(白)
- ブラック(黒)
- ブルー(灰色がかった青)
- レッド(明るめのオレンジ系)
- クリーム(淡いベージュ系)
- チョコレート(深い茶色)
- シナモン(明るい茶系)
- フォーン(淡い茶系)
- ラベンダー(薄い紫がかった灰色)
タビー(縞模様)
- クラシックタビー(渦巻き模様)
- マッカレルタビー(縦じま)
- スポッテッドタビー(斑点模様)
- ティックドタビー(一本の毛に複数色)
さらに、それぞれのタビー模様に下記の毛色が組み合わされます。
- ブラウンタビー
- ブルータビー
- シルバータビー
- レッドタビー
- クリームタビー
- チョコレートタビー
など
バイカラー・その他の模様
- ブラック&ホワイト
- ブルー&ホワイト
- レッド&ホワイト
- キャリコ(三毛)
- ダイリュートキャリコ(パステル三毛)
- トーティ(サビ猫)
- ダイリュートトーティ
- スモーク(毛の根本が白く先が黒・グレー)
- シェーデッド(毛先だけ色が乗る)
- ポイントカラー(顔・耳・足・尻尾に色が集中)
中でも人気が高いのは優しい印象のクリームやブルー系の毛色や、おしゃれな印象のシルバータビーです。
このようにマンチカンは非常に多くの毛色と模様を持ち、色の組み合わせや模様の入り方によって印象が大きく変わるため、見た目の個性が際立つ猫種でもあります。
さらに短毛種と長毛種もいるため、自分好みの配色に出会えるのもマンチカンの楽しみのひとつです。
マンチカンの顔・体型

全体的に愛らしい表情を持つ
マンチカンの顔は、丸みを帯びた柔らかな印象が特徴です。丸い目は大きく、表情が豊かで愛嬌があり、見る人に親しみやすさを与えます。鼻は短めで、マズル(口元)もふっくらしており、全体的に子猫のような可愛らしさが残る顔立ちです。耳は中くらいの大きさで、立ち耳が主流。
被毛の長さによって顔周りの印象が少し変わることもありますが、全体的にキュートで愛らしい表情を持つ猫種です。
体型
マンチカンの体型はセミフォーリンタイプに分類されます。
マンチカンは、大人になると体長(頭から足先まで)約50~60cmで、高さは短足の場合約20~30cm程度ととても低く、体重を見ても2~4.5kg程度。歩き方はユニークでよちよちとした動きが特徴的ですが、運動能力は意外と高く、大人になると体ががっちりしてくる子が多くみられます。
そして、マンチカンの最大の特徴である短い足。これは遺伝性疾患の一種である「骨軟骨異形成」によって生じたものとされています。
骨軟骨異形成は骨や軟骨の正常な成長が妨げられる遺伝的な異常で、スコティッシュフォールドのように痛みや変形を伴う深刻な骨軟骨異形成とは異なり、マンチカンの場合は多くの個体が健康に過ごしていると報告されています。
マンチカンが短足とは限らない?
マンチカンのなによりの特徴となる「短い足」ですが、実はマンチカンの8割は中足以上。足の長いマンチカンの数の方が圧倒的に多いそう。
ただ販売・譲渡する側も、こちらが「マンチカン=短足」という印象を持っていることは知っているため、誤解や間違いがあると困るので長足か短足か記載しているサイトも多いです。
マンチカンの飼い方・飼いやすさ

安全でストレスがない生活を送るために、マンチカンの飼い方を把握しましょう。
生活環境
マンチカンは高い場所に登るのは苦手であるため、キャットタワーやステップは段差の低いものや小刻みに配置された低めのものが理想です。
動きやすいように床が滑りにくい素材であることや、ジャンプの負担を減らすためのクッション性のあるマットを敷くのも効果的です。
また、好奇心旺盛なため、室内に探検できるスペースや隠れ家を用意するとストレス発散にもなります。
ブラッシング
マンチカンには短毛種と長毛種がいます。短毛の場合は週に1〜2回、長毛の場合は週2〜3回以上のブラッシングが必要です。抜け毛対策とともに、毛玉や皮膚トラブルの予防にもなります。
とくに長毛タイプは脇やお腹、首まわりなどが絡みやすいので、優しく丁寧にブラッシングしてあげましょう。
食事管理
マンチカンは活発で遊び好きで活発なので肥満にはなりにくく運動不足の解消もしやすいため、その点の心配は他の猫よりは少ないかもしれません。ただよく運動する分食べる量が多くなりがちなので、食事の内容や量の管理はした方がいいでしょう。
そのため、体重管理に配慮した栄養バランスの良いキャットフードが必要となります。早食い対策や満腹感の工夫として食器の形状や給餌器の工夫も有効です。
遊び
マンチカンは脚が短くても俊敏に動き回り、追いかけっこやおもちゃ遊びを好みます。ジャンプよりも、走ったり獲物を追うような動きが得意なので、ねずみ型のおもちゃやボール遊びがおすすめです。
飽きさせないように、日替わりで遊び道具を変えたりして、毎日10〜15分程度の遊びの時間を確保しましょう。
初心者でも飼いやすい?
マンチカンは人懐っこく穏やかで他のペットや子どもともなじみやすいため、初心者でも比較的飼いやすい猫種とされています。鳴き声も控えめでしつけやすい点も魅力です。
ただし、短い脚により関節への負担がかかりやすいため、肥満防止やジャンプ時の安全対策などの配慮が必要です。また被毛の長さによってブラッシングの頻度も変わるため、マンチカンをお迎えするには、日々のケアに無理なく取り組めるかを考えることが重要となります。
マンチカンのかかりやすい病気

猫種に限らず、猫は猫下部尿路疾患や肥大型心筋症、歯周病にかかりやすい傾向にあります。ここでは、これらの病気以外でマンチカンがかかりやすい病気をご紹介します。
短足は健康上の大きな問題はない
マンチカンは短い脚の見た目から「動きづらそう」「かわいそう」と言われることもありますが、実際には多くのマンチカンが元気に走り回り、日常生活に支障をきたすような運動障害や健康上の大きな問題は報告されていません。
個体差はあるものの、適切な体重管理や環境づくりを行えば、一般的な猫と同じように健康的に暮らすことができます。
寿命は短めというデータあり?
マンチカンは平均寿命が他の猫より3~4年ほど短いというデータが出ているようです。新しい猫種であり、かつ個体や育つ環境などにもよっても変わるため、一概には言えませんが、寿命が長い猫種というわけではありません。
マンチカンも他の猫と同様、シニア猫になると腎臓病や下部尿路疾患などのリスクが高くなるので、シニア期の食事には注意してあげましょう。
5つの質問でわかるマンチカンとの相性診断

実際に猫と暮らしてみると、お世話の大変さや工夫が必要になることに直面します。可愛い・憧れだけでお迎えすると、あとから「思っていたのと違った…」と感じてしまうことも少なくありません。
そのため、猫をお迎えする前に飼いやすさや生活スタイルとの相性を見極め、「自分とその猫種が合っているのか」を確かめることが、猫との幸せな生活を送るためにとても重要となります。
ここでは、あなたとマンチカンとの相性がわかる「5つの質問」をご用意しました。ぜひ試してみましょう!
マンチカンとの相性診断 | |
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Q1 | 猫が毎日甘えてきたり、後をついてくるタイプでもしっかり相手をしてあげたいと思いますか? |
甘えん坊な猫は大歓迎。一緒に過ごす時間を大切にしたい(3点) できるだけ応じたいけど、忙しいときは難しいかも(1点) 猫とは適度な距離感を置いて過ごしたい(0点) |
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Q2 | 脚の短い猫が安全に移動できるように、家具の配置や段差の工夫ができますか? |
段差や転落防止など、環境作りにしっかり配慮したい(3点) ある程度なら工夫できると思う(1点) とくに対策はできないかも…(0点) |
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Q3 | 肥満予防や関節への負担軽減のために、日々の健康チェックを意識できますか? |
マンチカンの特徴に合わせて、しっかりケアしたい(3点) 意識はあるけれど、続けられるか少し不安…(1点) 細かい管理はあまり得意ではない(0点) |
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Q4 | 走り回ったり、おもちゃで元気に遊ぶ猫を見て、癒されると思いますか? |
活発で愛らしい姿を見るのが楽しみ(3点) 元気ならそれでいいと思います(1点) 運動好きな猫より、おっとりした猫が好み(0点) |
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Q5 | 抜け毛や毛玉予防のために、週に何度かブラッシングやお手入れを続けられますか? |
健康のためなら毎日でも続けたい!(3点) 時間があるときにやる程度なら大丈夫かな(1点) 手間のかかるお手入れは苦手かも…(0点) |
※この相性診断は、猫を初めて飼う方にも分かりやすく、マンチカンの一般的な性格傾向をもとに作成しています。実際には猫にもそれぞれ個性があるため、何よりも大切なのは今そばにいる猫ちゃんとの関係性です。
診断結果
・13〜15点|相性◎ とても向いています!
甘えん坊で活発なマンチカンと理想的な関係が築けそうです。
・7〜12点|相性○ 基本的には向いています
一部に工夫が必要ですが、しっかり向き合えば良いパートナーになれるでしょう。
・0〜6点|相性△ ややギャップがあるかも
負担や不安が先立つかもしれません。他の猫種の性格とも比較してみるのがおすすめです。
マンチカンの価格

短足のマンチカンは相場が高い
短足のマンチカンは相場は25~40万円です。長足のマンチカンは相場は5~25万円。
上でも紹介したように、短足のマンチカンはマンチカンの大きな特徴であり、その愛らしい姿が人気となっています。また短足は生まれてくる確率が低く数が少ないため、短足のマンチカンは相場が高く、中長足の猫は相場が低くなっています。
マンチカンの里親募集
マンチカンは人気も知名度も高いため、マイナーな猫種に比べて里親募集の数も多いです。しかし人気ゆえに里親を希望する人も多く、とくに短足のマンチカンの競争率は高い傾向にあります。
短足かつ子猫のマンチカンは、募集からすぐに里親が決まることが多いです。
まとめ
マンチカンは、愛らしい短い脚と明るく人懐っこい性格が魅力の猫種です。活発でよく遊びますが、運動能力も高く、元気に走り回る姿に癒される飼い主も多いでしょう。
マンチカンの特徴や飼い方をしっかり理解し、安心して迎え入れることで、猫との暮らしはきっとかけがえのないものになります。