キャットフードに配合される抗酸化成分とは?猫の健康を守る効果と代表的な成分を解説

キャットフードに配合される抗酸化成分とは?猫の健康を守る効果と代表的な成分を解説

猫の健康を長く維持するうえで欠かせない要素の一つが「抗酸化成分」です。

キャットフードの原材料や成分表を見るとビタミンEやビタミンC、ポリフェノールなどが記載されていることがありますが、これらは酸化を防ぎ、細胞や体の働きを守る役割を持つ重要な栄養素です。

本記事では、キャットフードに含まれる抗酸化成分の特徴、代表的な種類、猫にとっての健康効果、そして飼い主が知っておきたい注意点まで解説していきます。

抗酸化成分とは

酸化と猫の体の関係

酸化とは、体内で発生する活性酸素が細胞や組織を傷つけてしまう現象を指します。

猫も人間と同じように、体の中で「酸化ストレス」というダメージが日々起こっています。これは、呼吸で酸素を使うときに「フリーラジカル(活性酵素)」が細胞を傷付けてしまう現象です。

通常は体内の酵素や抗酸化物質によってバランスが取られていますが、加齢やストレス、紫外線、病気などによって活性酸素が過剰になると、細胞が傷つき老化や病気のリスクが高まります。

抗酸化成分は、この酸化のダメージから体を守る防御システムとして働きます。

抗酸化成分が不足すると

抗酸化成分が不足すると、活性酵素によるダメージが蓄積しやすくなります。結果として、慢性的な炎症、免疫低下、老化の加速、生活習慣病リスクの増加につながります。

とくに高齢猫や慢性疾患を抱える猫においては、抗酸化成分の不足が症状悪化の要因になる場合もあります。

抗酸化成分は猫の健康維持に有益である研究

アメリカで行われた「食事性抗酸化物質の効果」についての研究では、成猫40匹と成犬40匹 を対象に84日間にわたり食事内容を変えて、血液中のビタミン量やDNAの傷つきやすさ、体全体の抗酸化力を測定しました。

  1. 普通のフード:すでに十分なビタミンEを含むフード
  2. 強化フード:ビタミンE、C、β-カロテンを含有したフード

研究の結果、②抗酸化成分を強化したフードを与えると次のような効果が確認されました。

  • 血液中のビタミンEが増加(体にしっかり吸収されている)
  • 免疫細胞が守られやすくなった(病気に対抗する力のサポート)
  • DNAの損傷が少なくなった(細胞レベルの老化や病気リスクを減らす可能性)
  • 体全体の抗酸化状態が改善(酸化ストレスへの抵抗力が高まった)

この研究からわかるのは、ビタミンE、ビタミンC、β-カロテンを組み合わせた抗酸化ブレンドが猫の健康維持に有益である可能性です。とくに高齢猫や持病を持つ猫では、細胞の酸化ダメージを抑えることが「元気に長生きするサポート」につながるかもしれません。

猫にとっての抗酸化成分の健康効果

  • 免疫力の維持・向上
  • 老化のスピードを抑える
  • 皮膚と被毛の健康維持
  • 目の健康保護
  • 心臓・腎臓など臓器の保護

キャットフードに配合される主な抗酸化成分

ビタミンE(トコフェロール)

キャットフードで最もよく見られる抗酸化成分がビタミンEです。脂溶性ビタミンで、脂質の酸化を防ぎ、細胞膜を守る働きがあります。猫にとっては免疫力の維持や皮膚・被毛の健康にも関与するため、栄養補助として重要な位置を占めています。

キャットフード ビタミンE

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ビタミンC(アスコルビン酸)

猫は体内でビタミンCを合成できるため必須栄養素ではありませんが、酸化ストレスの多い環境や加齢猫に配合されるケースがあります。ビタミンEと一緒に働くことで相乗効果を発揮し、細胞を保護する力を高めます。

カロテノイド(β-カロテン、ルテインなど)

緑黄色野菜や藻類由来の成分で、抗酸化作用を持つ色素成分です。目の健康維持や免疫系のサポートに役立つとされ、キャットフードに微量配合されることがあります。

ポリフェノール類(緑茶抽出物、ローズマリー抽出物など)

自然由来の抗酸化物質として人気が高いのがポリフェノールです。

キャットフードの酸化防止剤として、人工保存料の代替として配合されることが増えています。体内の抗酸化作用だけでなく、食品自体の鮮度維持にも貢献しています。

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抗酸化成分を豊富に含む食べ物

下記の食べ物には抗酸化成分が豊富に含まれています。

  • 鶏肉・魚類:ビタミンEやセレン、カロテノイド
  • 卵黄:ルテインやビタミンEが豊富
  • レバー:β-カロテンの代謝物であるビタミンA
  • ベリー類:ポリフェノールやアントシアニン
  • 緑茶抽出物・ローズマリー抽出物:自然由来の抗酸化物質

ただし、猫は完全肉食動物なので果物や野菜をそのまま与える(無加工)は適しませんが、キャットフードの原材料やサプリメントに応用される形で取り入れられています。

キャットフードを選ぶ際のポイント

保存料としての役割も確認する

抗酸化成分は栄養だけでなく、キャットフードの酸化防止にも用いられることがあります。人工合成保存料ではなく、ローズマリー抽出物や緑茶ポリフェノールといった自然由来の成分が配合されているかどうかも確認しましょう。

過剰摂取に注意

抗酸化成分は健康に役立ちますが、多ければ良いというわけではありません。脂溶性ビタミンであるビタミンEは体に蓄積しやすいため、過剰に摂取すると逆に健康を損ねる可能性があります。

先ほどご紹介した研究は専門家が栄養設計したフードで行われているため、飼い主が自己判断でサプリを足すのではなく、抗酸化成分を適切に含んだキャットフードを選ぶようにしましょう。

まとめ

  • 抗酸化成分は活性酸素から細胞を守り、老化や病気を防ぐ
  • ビタミンE・C、カロテノイド、ポリフェノールなどが代表的
  • 免疫維持や皮膚・被毛、目や心臓の健康にも効果が期待できる
  • 抗酸化成分は保存料としても働き、フードの鮮度維持に貢献
  • 過不足なく摂取できるバランスの良いフード選びが重要
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ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士の資格を取得。キャットフード勉強会ディレクターとして、猫ちゃんの栄養や病気、生態、キャットフードなどの情報を提供しています。猫ちゃんの魅力を発信し、飼い主さんの悩みや不安を解決することで、猫ちゃんと飼い主さんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。